国立研究開発法人水産研究・教育機構知的財産ポリシー

平成28年4月

 国立研究開発法人水産研究・教育機構(以下「機構」という。)は、我が国の水産業の発展に科学技術的側面から貢献し、水産基本法の基本理念である「水産物の安定供給」と「水産業の健全な発展」に資することを目的に、機構の研究開発成果を論文等で公知するとともに、産業界を含む社会に当該技術を移転することで、技術の発展や向上により社会貢献することが重要な使命である。
 このため、戦略的に特許、ノウハウ等の知的財産権を取得、管理し、活用を図る基本的な方針をとりまとめ、知的財産ポリシーとして内外に明示する。

1.知的財産についての基本的な考え方

 機構は、我が国の社会および水産業に最大限の価値をもたらすことができるよう、戦略的かつ積極的に知的財産をマネージメントし、役職員等(機構役職員と役職員以外で機構の業務に携わる者(以下「役職員等」という。)は、研究開発の全段階において、次の3方法のどれを選択すべきかを意識して、研究開発に取り組む。

1) 論文発表等により広く周知し、公立の試験研究機関や普及組織を通じて広く普及する。
2) 知的財産権として権利化し、実施許諾先の企業活動を通じて普及を図る。
3) ノウハウとして内部で管理し、管理の下で技術移転する。

2.研究開発成果の戦略的な取得、管理、活用

(1)研究開発の全段階を通じた取組

 役職員等は、日頃から研究開発テーマの国内外の特許取得状況や技術動向を調査し、その研究開発テーマの産業界等における位置付け、その方向性を把握した上で、研究開発の企画段階から成果の利活用について具体的な目標を持つとともに、知的財産権の確保を意識した研究開発の推進に努める。
 研究成果の知的財産化にあたっては、その産業上の利用形態に応じて、ノウハウの内部管理か出願かの選択について戦略的に取り組む。

(2)研究開発成果の情報管理

 研究開発成果を外部に公表すると、「新規性喪失の例外規定」を適用する以外には、当該成果に係る発明を特許にすることができない。また、ノウハウとして内部管理下で技術移転することも不可能となる。
 このことから、役職員等は、技術移転につながる可能性のある研究開発成果については、戦略的な知的財産化(特許化、ノウハウ化、公表)を意識し、対外公表や公表時期について留意し、適切な情報管理に努める。

(3) 戦略的な特許化・ノウハウ化

 知的財産の権利化に当たっては、企業等における実用・商品化が見込まれる研究開発成果や、将来的に幅広い応用技術に発展する可能性が高い基本的な技術や論理の研究開発成果について、機構として積極的に権利化を図る。外国への出願については、外国での実用・商品化の可能性が有り、外国において権利化しないと相当の不利益を生じる場合に限って、その有効性等を十分考慮した上で、相手国を厳選して権利化を進める。
 一方、ノウハウ内部管理の下で技術移転する方がよいと判断される場合は、ノウハウとして指定し適切に内部管理を行う。

(4) 質の高い特許出願

 特許権については、国内優先権制度を積極的に活用し、出願から1年以内においては、出願後の改良や周辺技術を含めた研究成果のその後の発展に注目し、最初の出願を含む網羅的・包括的な権利取得に努める。また、技術移転につながる可能性の高い研究成果については、コア技術に加えてその周辺技術、応用技術についても権利取得を意識して研究開発を進める。

(5) 出願後の強化・見直し

 優先権制度を利用し出願の質を向上させる一方、出願後の関連技術の動向等を踏まえ、技術移転の可能性が低下したり、将来性が乏しい知的財産権については、コスト意識をもって、出願審査請求時など適時適切にその保有の見直しを行う。

3.知的財産の利活用の促進

(1)企業等との連携の推進

 産業への直接的利用を目的とする技術開発は、企業等との共同研究を行うことが有効であり、研究開発成果を知的財産として共有することを基本として、積極的に企業等との連携を進める。その際、共有権利保有者に対しては、その利活用を促進する観点から、一定期間に限り独占的実施権を付与し機構の持分相当の実施料を機構に支払う、また、自ら実施しない場合には第三者への許諾を認める、等の条件を明記した共同研究契約を締結する。

(2)効果的な実施許諾及び譲渡

 許諾先企業等が、技術を独占できないと事業化に踏み切れない場合や、当該知的財産権の産業化の促進が見込まれ、かつ公益性、公平性の観点から見ても問題がないと判断される場合には、対外的な透明性にも十分配慮しつつ、一定期間に限り独占的な実施権を付与することや、無償実施許諾をおこなう。
 知的財産権の利活用を促進する上で真に合理的と認められる場合には、透明性や公平性の確保など一定の条件の下で、当該権利を原則として有償で他に譲渡する。
 大学等が行う非営利目的の研究開発については、可能な限り研究開発の自由度を確保し、原則として簡便かつ迅速な手続きによりこれを供与する。その対価については、実費を除き原則として無償とする。

4.知的財産に関する機構・役職員等の責務

(1)役職員等の意識向上と責務

 役職員等は、研究開発成果の戦略的な取得、管理、活用を日頃から意識し、機構の知的財産権の確保や利活用の方針に反することのないよう、本ポリシーの意義と内容の理解に努める。また、機構の知的財産が不正に流出することのないよう、厳に知的財産に係る情報セキュリティの確保に努める。

(2)機構の責務

 機構は、発明補償金を発明者に支払うとともに、知的財産権取得への貢献を個人業績の評価に反映させる。
 また、役職員等の意識向上のため、本ポリシーの基本方針及び運営方法等を役職員へ周知徹底し、随時研修を行うものとし、研究開発時、共同研究時、出願時等、研究管理者並びに本部連携・協力課に相談を徹底させる。

(3)侵害行為への対応

 機構の知的財産権について、権利保護を実効あるものにするため、機構が発明者と協力し、類似技術の出願状況等の確認・把握に努めるとともに、侵害行為を発見した場合には、速やかに警告や必要な法的措置をとる。