水産総合研究センターの放射能対応

 平成23年の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質による水産物の汚染が危惧されています。水産物の安全性について国内外からの信頼を得るためには、水生生物における放射性物質濃度の動向を把握するとともに放射性物質が食物連鎖を通じて水生生物の体内にどのように濃縮され、どのように排出されるかなどを科学的に明らかにすることが重要です。

 このため水産総合研究センターは、平成23年度以降、水産庁委託事業「放射性物質影響解明調査事業」として、調査船調査等により入手した魚介藻類試料とその餌料生物試料(プランクトンやベントス)等の放射性物質濃度を分析しています。得られたデータと他機関による公表データから、水産資源とその生息環境における放射性物質の動態を解析しているところです。

 平成24年度からは、復興関連の交付金による「海洋生態系の放射性物質挙動調査事業」を実施し、海底付近の放射性セシウム濃度予測技術の開発や、福島県海域から離れた水域で高レベルの放射性セシウムが検出されるマダラやヒラメなどの移動・回遊による放射性物質の拡散過程の解明等、放射能に関する風評被害の防止に寄与する科学的知見を蓄積しています。

 一方、平成24年度には、多くの魚種で放射性セシウムの減少傾向が明瞭になる中で、東京電力福島第一原子力発電所の20km圏内で夏に採取されたアイナメから25,800Bq/kgの放射性セシウムが検出され、内水面のイワナやヤマメなどの渓流魚からも高い放射性セシウム濃度が検出されました。このため、東京大学や森林総合研究所、栃木県等と連携して内閣府戦略推進費による「放射性セシウムで汚染された魚類の汚染源・汚染経路の解明のための緊急調査」を実施しました。

 これらの調査研究で得られた成果をここにまとめてお知らせします。