独立行政法人水産総合研究センター平成18年度計画
 
 
平成18年4月1日 18水研本第18号
 
 
第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
 
   運営費交付金を充当して行う事業については、業務の見直し及び効率化を進め、一般管理費については、中期目標期間中、毎年度平均で少なくとも前年度比3%の削減を図る。また、業務経費については、中期目標期間中、毎年度平均で少なくとも前年度比1%の削減を行う。
   人件費については、「行政改革の重要方針(平成17年12月24日閣議決定)」等を配慮し、業務及び組織の合理化、効率化を推進することにより、計画的な削減を行う。
   以上に加えて、センター全体として、管理部門等の効率化を行い、統合メリットを発現することにより、一般管理費等の抑制を行い、業務運営の効率化に努める。
 
 1 効率的・効果的な評価システムの確立と反映
 (1)事務事業評価
   ア.センターの業務運営に関する評価
    評価の客観性・透明性を確保するため、外部委員を加えたセンター機関評価会議等を行い、その結果を業務運営に反映させるとともに、これらを公表する。また、理事会等において評価結果の活用等も含め、業務運営の基本方針について検討を行うほか、独立行政法人さけ・ます資源管理センター(以下「さけ・ますセンター」という。)との統合に伴う新たな評価システムを構築し、業務の効率化に努める。
   イ.研究開発等の課題評価
    研究開発等の各業務において、外部委員を加えた研究開発等の課題評価を行う。評価にあたっては、研究開発の有効性、成果の質を重視する観点から、水産業界、学会等の社会的貢献度を問う科学・技術的価値、波及効果などのアウトカム指標を検討し、早期の実施に努める。
    また、主要な成果の普及・利用状況の把握、研究開発等に係わる資源の投入と得られた成果の分析を行うため、経営企画コーディネーター、研究開発コーディネーター及び広報組織の活動を通じて地方自治体、研究機関、関係団体等との双方向コミュニケーションを図る。
    さらに、評価結果を資源の配分等の業務運営に反映させるとともに、これを公表する。
 (2)個人業績評価
   ア.研究職、調査技術職については、研究開発の業績評価をベースに研究開発資源の配分の重点化方策を検討するとともに、研究職員業績委員会において業績評価を実施し、その結果を管理職の処遇に反映させる。また、管理職以外についても評価結果が処遇へ反映されるよう検討する。
   イ.一般職等については、国の状況を踏まえつつ、組織の活性化と実績の向上を指標とした新たな評価システムの導入に向け試行を行う。
 
 2 資金等の効率的利用及び充実・高度化
 (1)資金
   ア.運営費交付金
     研究課題については、課題ごとの予算査定と企画内容の評価を通じて、研究資源の重点配分等、競争的環境の醸成を進める。
     プロジェクト研究課題についても、中期計画の中での位置づけを明確にしつつ、予算査定と課題評価を通じて、その貢献度を指標とした競争的環境の醸成を進める。
   イ.外部資金
     農林水産省の委託プロジェクト研究や受託事業の企画競争、各種公募による競争的研究開発資金について、他機関との共同提案を含め積極的に提案・応募し、外部資金の獲得に努める。
     また、他機関からの要請に応じ、センターの目的に合致する受託費及び目的寄付金等の外部資金を積極的に受け入れる。
   ウ.自己収入の安定的な確保
     海洋水産資源開発勘定については、開発調査において計画した漁獲物による自己収入を確保し、開発調査業務に係る収支の均衡を図るとともに、販売に係る必要な検査を販売委託先を含めて実施することにより漁獲物の売り払いを適正に行う。
 
 (2)施設・設備
   ア.良好な研究開発等の環境の維持・向上を図るため、施設、船舶、設備については、中期的な施設整備を目指した第二期中期目標期間中の施設整備計画に基づき、18年度においても計画的な更新、整備を行う。
   イ.施設、機械については、利用計画の作成、他機関との共同研究開発の積極的な推進を図るとともに各研究所等の利用状況の把握に努め、法人内相互利用の効率化に努める。特に、機器については配置の見直しも含め、効率的な活用を図る。また、オープンラボ等を行うことにより、業務の実施に支障をきたさない範囲で他法人、地方公共団体、公立試験研究機関、大学等外部の利用を促進する。
 
 (3)組織
   水産政策や消費者及び地域のニーズに対応した成果の効率的な創出、次代の研究開発のシーズとなる基礎的かつ先導的な研究開発の成果を蓄積するため、センター内の資金等を有効に活用し得るよう、本部機能の重点化、法人の経営並びに業務の企画体制の強化、研究支援部門の一元化等の見直しを行う。
   また、研究開発等の業務に効率的に取り組み、その結果として早期に有効な成果を得ることができる体制を構築するため、研究所の企画連絡室・企画連絡科及び総務課の体制を見直す。
   栽培漁業センター等における事務及び事業については、国や地元自治体等のニーズに適切に対応する観点から、北海道、瀬戸内海、沖縄にある法人内組織及び増養殖分野について先行的に見直しを行い、厚岸栽培漁業センターを北海道区水産研究所に、伯方島栽培漁業センター、百島栽培漁業センターを瀬戸内海区水産研究所に、八重山栽培漁業センターを西海区水産研究所石垣支所に、上浦栽培漁業センター、古満目栽培漁業センターを養殖研究所にそれぞれ統合する。
   さけ・ますセンターにおいて資源増大を目的とするふ化放流事業を実施していた3事業所を北海道へ移管し、その業務を民間に移行するとともに、事務及び事業の効率化の観点から支所・事業所の体制見直しを行い、従来の6支所を廃止、15事業所体制に移行する。
   さけ・ますセンターの本所及び支所の管理部門の合理化・見直しを行うとともに、水産庁等の他機関、センターの他部門との人事交流等により業務に見合った適正な規模に縮小する。
   このことにより、さけ類及びます類のふ化及び放流事業に要する適正な要員規模を明らかにする。
   さらに、本州におけるさけ類及びます類のふ化及び放流に係る研究開発や技術の普及に資するため日本海区水産研究所及び東北区水産研究所に人員を配置する。
 
 (4)職員の資質向上及び人材育成
   研究職及び調査技術職については、社会的要請等を反映した研究課題の重点化等に随時、臨機応変に対応できるよう若手研究者や研究管理職等のライフステージに沿った人材育成プログラムを策定し、試行を行う。
   また、研究支援部門等については、社会的要請等を反映した研究開発を積極的に推進するため、一般職の企画部門への配置等を推進するとともに、業務の質、幅の拡充に対応できるよう、企画調整や広報・情報管理等の多様なニーズに沿った人材育成プログラムを策定する。 
   さらに、研究職及び調査技術職については、競争的意識の向上を図るべく、評価結果の処遇への反映を検討する。多様な任用制度を活用したキャリアパスの開拓、国外を含めた他機関との人事交流やセンター内の部門間の人事交流を積極的に行う。
   また、職員の資質向上を図るため、業務実地研修の実施や社会人大学院制度等を活用した学位取得を進めるための制度について検討する。
 
 3 研究開発支援部門の効率化及び充実・高度化
 (1)管理事務業務の効率化、高度化
   研究所、栽培漁業センター、さけますセンター及び開発調査センターと本部の支援部門の役割分担の明確化を計画的に推進するため、センター全体の管理事務業務の効率化に係る検討を本部及び各研究所等の担当者で行い、業務処理過程の重複排除等による迅速化、決裁手続きを含む業務の簡素化、文書資料の電子媒体化、会計システム等の最適化について計画を策定する。特に、さけ・ますセンターとの統合に係る支払い及び決算事務の一元化、重複業務の排除の検討を進める。また、技術専門職の業務については、すでに清掃、警備、施設点検等アウトソーシングを実施しているが、更に可能なところから他職種へシフトし、その後は不補充とするなど、要員の合理化については、支援部門全体として検討を進める。
 
 (2)アウトソーシングの促進
   微生物等の同定、検査、サンプル分析、軽微なデータ入力・解析、電気工作物等の保守管理の業務等について、コスト比較を勘案しつつ極力アウトソーシングを行う。
 
 (3)調査船の効率的運用
   本部に船舶管理課を新設し、調査船の調査計画及び運航計画を一元的に行うとともに、可能な限り共同調査及び多目的調査の実施により効率的な運航を行う。
   資源調査等の実施など、水産施策上必要な船舶を有する独立行政法人水産大学校及び水産庁との継続的な協議を行い連携を図る。
   中長期的観点から、船舶及び乗組員配置等の見直しに関する検討を行い、基本方針を策定する。
 
 4 産学官連携、協力の促進・強化
  水産物、水産業に関する調査研究等を積極的に推進するために、国内外との研究交流や人材交流を積極的に進める。このため、特に重点的に推進すべき研究開発等の分野については、本部主導での計画策定・公募方式につき検討するとともに、諸規定の整備を行う。
  非公務員型独立行政法人への移行のメリットを活かし、兼業については兼業規程を策定し、目的や要望を踏まえて、弾力的な運用を行う。
  水産業や水産物に関する地域の種々の課題の解決を目指して、コーディネート機能を強化し、地域の拠点としての役割を果たすため、本部に研究開発企画部門を一元化した業務企画部を設置し、研究開発コーディネーターを配置するとともに、地域・海流系からなるグループを設置し、担当研究開発コーディネーターがグループ内の水産業の動向、他機関との連携を踏まえた研究開発ニーズを把握し、研究所・栽培漁業センター等施設の融合・横断的な研究開発の課題化に取り組む。
  公的機関や民間企業等との共同研究を積極的に推進し、18年度は、年間70件以上について共同研究を実施する。
 
 5 国際機関等との連携の促進・強化
  二国間協定や国際条約等に基づく共同研究等を積極的に行い、組織レベルでの連携を強化する。特に、MOU(包括的研究協力機構)締結機関とは重点的に具体的取り組みを進めるとともに、他の機関についてもMOU締結等の可能性を含めて連携促進に取り組む。他国の研究機関との国際交流や国際プロジェクト研究への参画に努める。国際ワークショップ及び国際共同研究等を年間7件以上実施する。
 
 
第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達  成するためとるべき措置
 
 1 効率的かつ効果的な研究開発等を進めるための配慮事項
 (1)研究開発業務の重点化
   水産基本法の基本理念に科学的側面から寄与するとともに、「農林水産研究基本計画」及び「水産研究・技術開発戦略」に貢献するため、「水産物の安定供給確保のための研究開発」及び「水産業の健全な発展と安全・安心な水産物供給のための研究開発」を重点的に実施する。また、センターで行っている親魚の養成、採卵、種苗生産、中間育成、種苗放流等の確立した技術を公立水産試験場等(以下「公立試験場」という。)へ積極的に移行するため、ブロック会議等を通じて都道府県が実施している技術開発の進捗状況、ニーズ等の把握と情勢分析を行う。
   また、国が行う資源回復計画の対象種であるサワラ、トラフグでは、都道府県等の実施状況を配慮しつつ、サワラでは種苗生産、トラフグでは種苗生産及び中間育成技術等の技術研修や講習会を開催し、技術移転を図る。
   なお、確立した技術が公立試験場に移行された後においても、公立試験場で十分な対応ができない魚病や複数の都道府県にわたる広域的な課題等については、センターとして必要な協力・連携を図る。
 
 (2)海洋水産資源開発事業の見直し
   海洋水産資源の開発及び利用の合理化のための調査等(以下「海洋水産資源開発事業」という。)のうち、「海洋の漁場における新漁業生産方式の企業化のための調査」については、漁船漁業構造改革推進会議等の施策の動向を踏まえつつ適切な見直しを行い、大中型まき網漁業においては、省人・省エネルギー効果を取り入れた完全単船型まき網漁船を用いて新たな操業システムの開発に取り組むとともに、遠洋底びき網漁業においては、開発された表中層共用型トロール漁具によりアカイカ等を対象に操業調査を行い、収益の改善を図るための漁獲技術の開発に取り組むなど、漁船漁業の安定的な経営に資する調査を実施する。
 
 (3)さけ類及びます類のふ化及び放流事業の見直し
   さけ類及びます類の資源増大を目的としたふ化放流事業を実施していた計根別事業所、敷生事業所及び知内事業所を北海道へ移管し、これら3事業所が行っていた2,900万尾のサケ稚魚ふ化放流業務は民間に移行するとともに、支所・事業所体制の見直しを行い、従来の6支所を廃止、15事業所体制に移行して、個体群の維持を目的とするふ化及び放流に特化する。
   また、ふ化及び放流に係る研究開発の業務については、統合メリットを発揮し、センターの調査船の活用によるさけ類及びます類の生活サイクルに合わせた一貫したデータの収集・解析、研究者及び技術者の知見の結合を図る。
 
 2 研究開発等の重点的推進
(1)水産物の安定供給確保のための研究開発
  ア.水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
  (ア)主要水産資源の変動要因の解明
   @主要な水産資源の生態学的特性の把握を進めるため、生態学的特性に関するデータ整備・手法開発及び生態学的特性に関連する環境要因の抽出を行う。
    @)生態学的特性に関するデータ整備・手法開発及び新たな知見の収集については、以下の通り行う。
     ・マイワシ等小型浮魚類の種特異的な産卵場形成について、第1期において得られた生態特性情報の整理とデータベース化を促進し、海洋環境情報を加味した解析手法の検討と詳細な解析を行う。
     ・第1期において得られた仔稚魚の査定に関する知見・技術を更に発展させるとともに、先行して成果が得られている東シナ海におけるサバ属魚類の春期の産卵状況を把握する。
     ・新たにカツオ・マグロ類稚魚期の水平・鉛直分布の特徴の把握を行う。
     ・これまで得られた生物特性や分布に関する知見に、第1期において得られた新たな情報を加えて、ズワイガニ等の日本海主要底魚類について、生物特性や近年の資源状況の把握を詳細に行う。
     ・これまで知見整備が遅れていたサンゴ礁周辺海域魚類では、フエダイ科魚類の主要種について生物特性や漁業生物学的情報の蓄積を行う。
     ・サケ・マス類については、これまで検討してきた方法論に基づき、体長・年齢構成モデルの構築及び漁獲等の人為的要素や海洋環境変動に関わる複数のシナリオを組み合わせたシミュレーションを行う。
     ・これまでの知見と当該年度に整備する情報をもとに、サケ回帰親魚の漁獲選択および環境変動に対する応答の解析を行う。
     ・アユについては、これまでに得られた知見・技術とデータを整理して、発育に伴う個体数変化に関する調査及び集団遺伝学的解析、沿岸域アユ仔稚魚の栄養状態及び栄養関係の概要を把握する。
     ・これまで未解明の部分が多かったハクジラ類の社会生態について、漁業対象種のハンドウイルカ等を対象として年齢査定、成熟判定、DNA分析を行う。
     ・音響手法による魚類マイクロネクトンの現存量評価について、海域の拡張、採集機器の採集効率の推定精度の向上を図るとともに、餌料環境と仔稚魚群集の違いによる食物網の変化を把握する。
     ・中深層マイクロネクトンの変動様式と表層ネクトンとの相互作用について、主要種の分布及び食性の重複度の統計的解析と浮魚類加入量の統計的モデルをもとに、生物資源量に基づく動態モデルを構築する。
     ・水産重要魚種の飼育実験系の確立と水温等環境影響の評価では、新たにイワシ・サバ類の成熟に関して効果的な指標となる物質の探索を行う。
 
    A)生態学的特性に関連する環境要因の抽出については、以下の通り行う。
     ・主要浮魚類では、マイワシ等小型浮魚類の産卵期の変動に関わる気象・海況要因の抽出を新たに試みる。
     ・マアジについては、これまで知見が不足している仔魚の対馬暖流域への輸送機構の詳細な検討、仔稚魚の減耗原因の検討、九州西岸から太平洋への南下流の変動特性の解析、仔稚魚に対する餌料環境の影響把握を行うとともに、マアジ卵・稚仔魚輸送予測モデルにおいて生残関数に餌料環境パラメータの新たな導入による予測精度の向上を図る。
     ・新たにカツオ・マグロ類稚魚期の水平・鉛直分布と環境要因との関係を解析する。
     ・アユについては、新たに補強されつつあるアユ生命表をもとに、親魚数とその仔魚の遡上量を予測する個体群動態モデルの作成へ着手するとともに、これまでに確立した仔魚飼育実験システムを用いて仔稚魚の発育段階と塩分・水温耐性の関係の検討及び測定系に基づく生残への決定的影響を及ぼす遺伝子の検索を行う。 
 
    A餌料環境や捕食者が資源変動に及ぼす影響の解明を進めるため、対象種の食性解析並びに捕食者及び餌料生物の把握に関するデータ整備・手法開発、データ解析・検討や新たな知見の収集を以下の通り行う。
     ・亜寒帯生態系におけるスケトウダラ等重要魚種について、これまで不十分であった親潮沿岸域における底魚類の種組成と豊度の把握、アブラガレイ・カジカ類等捕食性底魚類によるスケトウダラ等の被食状況の解明を進める。
     ・親潮域生態系、特に亜寒帯海域のスケトウダラ等多獲性魚類生産における物質とエネルギーの転送に果たすマイクロネクトンの役割の定量化を新たに試みる。
     ・黒潮沿岸域におけるヒラメ等では、これまで知見の乏しい東京湾、相模湾におけるヒラメ仔稚魚の食性、餌生物の分布及び捕食生物の把握、仔稚魚の耳石日周輪からの成長速度の把握及び海域間比較を実施する。
     ・アユ仔稚魚の胃内容物分析から発育に伴う食性変化及び年度による食性等の違いを解析する。また、前年度に確保したアユ試料を用いて核酸比及び安定同位体分析を行い、沿岸域アユ仔稚魚の栄養状態及び栄養関係の概要を把握する。
     ・内湾域のアサリについては、これまでに得られた知見・情報と新たに取得するデータをもとに、アサリ稚貝の餌料環境の季節変動の解析、並びに海域の餌料環境と稚貝の生残との関係を把握する。
 
    B海洋環境変動の低次生産等への影響が水産資源に及ぼす影響の解明を進めるため、餌料生物を含む低次生態系の生産構造把握及びこれらと水産資源生物との関係に関するデータ整備・手法開発、海洋環境変動に対する餌料生物を含む低次生態系及び水産資源生物の応答の解析を行う。
 
    @)餌料生物を含む低次生態系の生産構造把握及びこれらと水産資源生物との関係に関するデータ整備・手法開発については、以下の通り行う。
     ・カタクチイワシについては、日本海中部海域における当該年度の主たる餌生物と栄養蓄積の程度を把握する。
     ・イワシ・サバ類等については、新たに成熟・再生産、成長・生残等の生活史上の重要なポイントにおける生物活性の指標となる各種ホルモン類等のバイオマーカーの検討とその動態の生理・生化学的解析を行う。
     ・不明の点が多い混合域生態系におけるピコ、ナノ、マイクロ植物プランクトン及びマイクロ、マクロ動物プランクトンの種組成分析、動物プランクトンの摂餌生態の把握と種間の被捕食関係の解明を行う。
     ・これまでの知見が少ない東北沿岸域における仙台湾〜常磐海域でのヒラメ親魚の成長・年変動の解明、ヒラメ仔魚の分布特性、食性、成長の解析を行うための適当な手法を検討する。
     ・これまでの知見が少ない南極海各海域における上位分類群ごとの生物量の水平・垂直分布の実態把握、水塊やクロロフィル量の分布との関係把握、各上位分類群において優占するナンキョクオキアミ、コオリオキアミ、コオリイワシ等の生物特性に関するデータ蓄積と分析を行う。
 
    A)海洋環境変動に対する餌料生物を含む低次生態系及び水産資源生物の応答については、次の検討・解析を行う。
     ・ブリについては、新たに日本周辺海域における年齢別回遊様式の解明、過去の資料及び漁況資料の解析から回遊パターンと来遊量の関係の検討、沿岸各海域へ加入する主群の由来推定及び仔稚魚の成長履歴と海洋環境との関係を解析する。
 
    C漁獲対象資源への加入量予測モデルの開発を行うため、加入量把握及び加入量予測モデルに関するデータ整備・手法開発を以下の通り行う。
     ・スケトウダラについては、これまで進めてきた発育段階別の資源量データの蓄積を継続しつつ、加入量変動に関わる環境要因の抽出のため、第1期からの加入量変動モデルの構築を促進する。
     ・アカイカ類については、これまでに蓄積した知見・情報に加えてデータ整備を進め、漁場への加入水準の変動把握と初期成長の解析を行う。
     ・サンマについては、これまで継続してきた漁期前調査で得られる当歳魚の体長別資源尾数と諸環境要因との照合を進めて、新たに資源変動要因の明確化及び産卵期の海洋環境が当歳魚の分布と資源量に与える影響の検討を行う。
     ・日本系さけ・ます類については、地域起源個体群の割合の見積及び海洋生活初期資源評価のための作業仮説項目を新たに検討する。
     ・我が国太平洋側で浮魚類の加入量決定の場として注目されている春季の黒潮親潮移行域におけるハダカイワシ類やフウライカマスなどの中深層性マイクロネクトンが浮魚類の加入量に与える影響を推定するために、新たに生物資源量に基づく動態モデルの構築を行う。
     ・アサリ稚貝の初期減耗と餌料環境との関係を解明するため、アサリ稚貝の餌料環境の季節変動の解析並びに稚貝の生残の良い海域と悪い海域の餌料環境の比較を行う。
     ・イカ類、スルメイカについては、これまで進めてきた新規加入量水準の早期把握システム構築のためのデータ蓄積を継続しつつ、新たに該当年のデータ解析による加入量水準決定時期の推定を行う。
     ・マグロ類については、新たに仔魚の高密度群(パッチ)の大きさと形状を把握する方法を検討する。
     ・マイワシやカタクチイワシ等の小型浮魚類については、開発に必要な産卵生態と仔稚魚の行動生態の解析、海洋環境を加味した加入量予測モデルを検討する。
 
   (イ)水産資源を安定的に利用するための管理手法の開発
    @主要な水産資源が分布する海域の環境収容力の把握を行うため、餌料環境及び餌料生物利用様式の把握に関するデータ整備・手法開発を以下の通り行う。
     ・第1期までの知見・情報と継続したデータ収集をもとに、新たに東北海域における主要魚種の食性分析、底生生物採集及びリスト作成、過去の漁獲物の種組成や操業漁区と努力量の分析、漁獲物の変遷と漁場の関係解明を行う。
     ・本州東方外洋域におけるオキアミ類の分布域、生物量等の成長段階ごとの把握、過去の長期間にわたる各種生物調査によって得られたオキアミ類保存標本について再解析を行う。
 
    A水産資源の適正漁獲量決定のための生態系モデルを開発するため、資源動態及び生態系のモデルに関する作業仮説の構築、データ整備を以下の通り行う。
     ・さけ・ます類を鍵種とした生態系モデルを開発するため、日本の沿岸漁場に回帰するサケ資源量の早期把握手法の開発、ベーリング海及び北太平洋におけるモニタリングデータを利用した資源レベルを決定する発育段階・要因についての作業仮説の構築、観測値を再現するサケ生長モデルのパラメータ設定と数値実験を行う。また、新たに国際水域におけるさけ・ます類の種別年齢別分布様式のモデル化を行う。
     ・海洋環境の中長期的変動及び種間関係を考慮した日本海の高次生態系モデルを開発するため、ブリ、スルメイカ及びイワシ類等の主要魚種に関わる物理的・生物的データの整備、各魚種の資源変動に及ぼす環境要因の影響を検討する。また、新たに栄養段階や生活史特性を考慮し、グループ化した主要対象種の群集構造解析、群集構造を表す指数の推定とその変動の特徴の把握、中長期的環境変動への応答パターンの解明を行う。
 
    B水産資源の管理手法の高度化を進めるため、これまでのデータ整備と作業仮説の構築を以下の通り行う。
     ・ヒラメについては、第1期は放流漁の移動・分散、回収率が明らかになったが、更に放流効果の判定手法を高度化するため、人工種苗の躯幹部の色素異常に関するデータを解析し、全個体調査を基本とした市場調査体制について検討する。
     ・マグロ等を代表とする季節回遊資源については、新たに単一の空間構造を仮定し、資源評価モデルを適用した場合の影響とシミュレーションによる評価を行う。
     ・ツチクジラについては、これまで実施してきた目視調査法の改善点の整理を行いつつ、新たに実施する他の管理方式のレビューを通じて本種への適応性を検討する。
 
    C資源変動の大きい浮魚類等の個体群動態推定モデルの高度化を進めるため、データ整備と作業仮説の構築を以下の通り行う。
     ・ベイズ統計学的手法等の最新の手法及び理論を整理するとともに、新たに資源解析手法及び資源動態モデルへの組み込みを検討する。
     ・マイワシ、マサバ太平洋系群の過去の資源変動を再現した動態モデルによる最適な管理方策について、年齢構成を考慮しない単純な管理モデル等と性能比較する。さらに、漁獲対象年齢の異なる複数の漁業を想定した新たな管理モデルを作成する。
 
    D資源変動の大きい浮魚類等の安定的な管理技術の開発を行うため、調査データの集積及び解析・作業仮説の構築を以下の通り行う。
     ・資源変動の大きいアジ類、イワシ類、サバ類等の浮魚類について、複数種の資源管理に有効な漁獲方策の提案を行うため、新たに我が国及び周辺国のまき網漁業等の実態調査、漁業情報収集計画の作成、国際情報収集の可能性の検討、各種既往知見の整理と既往データの検索及び基礎的情報収集のためのサンプリングを行う。また、新たに他分野等の既往理論の漁業管理への導入可能性の把握、不確実性下での意思決定を支援する定量的分析手法の検討を開始する。
 
   (ウ)水産資源の維持・回復技術の開発
    @地域の重要資源の漁獲努力量管理による資源量や漁獲量のシミュレーション技術の開発するため、調査データの集積及び解析・作業仮説の構築を以下の通り行う。
     ・瀬戸内海産トラフグ等については、トラフグ等資源回復が必要な栽培対象重要資源について既往の種苗放流結果を検証し、より精度の高い資源量推定を実施する。また、隣接海域との混合率を加味した資源変動モデルを新たに開発するため、トラフグ資源変動モデルに必要なパラメーター(年齢、成長、成熟等)を収集・整理し、既往の知見を合わせて再検討する。さらに、サワラについては平成11〜17 年に行われた種苗放流の資源添加効果を把握する。
 
    A地域の重要資源の維持・回復に必要な管理システムを開発するため、魚類生産構造の把握及びパラメーターの収集を以下の通り行う。
     ・被捕食魚資源動態等を考慮した高次捕食魚の統合的管理手法について、定量モデルを開発して総合的な生態系モデルへの展開を検討するために、サワラ等の高次捕食魚を中心とした生産構造情報及びパラメーター等の既存知見の収集整理、解析手法の適用、捕食や成長等の情報パラメーターの収集、更に既存の生態系モデルソフトウエアの検討を行い、モデル適用の準備を進める。
     ・亜寒帯底魚主要魚種について、新たに漁獲量や分布を始めとする資源生態的特質の経年的な変動解析を行うとともに、各種データベースを利用して、漁場環境の改変を検討するための指標の探索を行う。
 
    B資源の減少が著しい水産資源の生産に影響する原因の解明と資源の維持・回復技術を開発するため、調査解析手法の検討、パラメーターの収集を以下の通り行う。
     ・アワビ類については、特にエゾアワビの変態直後から越冬後までの分布密度を追跡し、これまでの結果とあわせて生活史初期の生残過程を明らかにするとともに、冬季水温と当歳貝生残率の関係を詳細に解明する。また、前期の結果から推定された初期稚貝の主要捕食者について、捕食者の分布密度、殻長の異なるアワビに対する摂餌圧などを明らかにし、被食減耗の程度を推定する。
     ・イセエビについては、これまでに得られた知見・情報及び仮説をもとに、変動実態の把握に重要な環境条件である海藻類との関係を新たに解析するため、藻場や貧海藻地帯において、加入後の成長・生残過程を把握するとともに、主要な餌生物を解明・比較検討する。
 
   (エ)水産資源の合理的利用技術の開発
    @水産資源の合理的利用のための漁業生産技術を開発するため、調査データの集積・解析及び新技術の検討・開発を以下の通り行う。
     ・熱帯太平洋海域及びインド洋海域のカツオ・マグロ類資源を対象に、海外まき網漁業において両海域における対象資源の資源状態に対応した効率的な操業パターンの開発に取り組む。また、省コスト化技術として海外まき網漁船による新たな投網技術の開発等に取り組む。
     ・北太平洋のアカイカ資源を対象に、いか釣り漁業において漁獲効率の向上に必要な脱落防止技術の改良や新たな集魚方法の開発に取り組む。また、ニュージーランド海域のスルメイカ類資源を対象に表面水温を指標とした漁場選択技術の開発に取り組む。
     ・主に太平洋南緯西経海域におけるビンナガ資源を対象に、遠洋かつお釣り漁業における新たな漁場の開発に取り組む。また、イワシ類に代わる活餌としてサバヒーを用いた投餌方法の改善に取り組む。
     ・太平洋中・東部海域におけるマグロ類の資源を対象に、遠洋まぐろはえなわ漁業においてメバチマグロの日周行動に合わせた効率的な漁獲方法の開発に取り組む。また、漁獲物の凍結処理において新たな省エネ技術の開発に取り組む。
     ・日本海西部海域における沖合底びき網漁業の2そうびきによる漁獲資源を対象に、包括的資源回復計画の推進に必要な小型魚を逃避させるための選別式コッドエンドの開発に取り組む。また、三陸沖海域におけるキチジ等の資源を対象に、沖合底びき網漁業の2そうびきにおいて資源の合理的利用のために小型魚を逃避させるための選別式コッドエンドの開発に取り組む。
     ・ヒラメについては、第1期での放流魚の移動・分散、回収率の解明をもとに、更に放流効果の判定手法を高度化するため、人工種苗の躯幹部の色素異常に関するデータを解析し、全個体調査を基本とした市場調査体制について検討する。
 
    A混獲回避など生態系機能の保全を考慮した漁業生産技術の開発するため、調査データの集積・解析等を以下の通り行う。
     ・まぐろはえ縄漁業については、これまでに開発された各種混獲回避措置を導入することにより、混獲削減効果を検証する。また、新たにこれまで行われていない混獲死亡が個体群に与える影響を評価するためのモデルを開発する。
     ・環境保全型漁業生産技術については、海底や底生生物に与える影響が懸念される漁具の仕様や構造等を調査するとともに、漁具の構造特性と環境に与える影響との関係を既存の資料に基づいて把握し、環境に与える負荷を軽減させる漁具の構造について検討する。
 
    B漁業管理の手法の高度化を図るため、調査解析手法の検討、パラメーターの収集を以下の通り行う。
     ・多様な環境行政現場における生態リスク管理の実情を把握し、生態リスク管理の可能性について、知床世界遺産科学委員会における海域管理計画の作業を受け、当該海域における漁業管理との整合性を考察する。
 
 
   イ.水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発
   (ア)種苗の安定生産技術の開発と飼養技術の高度化
    @種苗生産過程における安定生産の阻害要因を解明するため、カンパチ、アミメノコギリガザミ等について以下の課題等に取り組む。
     ・カンパチでは、第1期に開発した水温コントロールによる催熟技術を進め、量産規模での安定採卵技術の開発に取り組むとともに、初期飼育における減耗要因を把握する。
     ・医薬品を使わないで細菌性疾病を防除する種苗生産技術として、アミメノコギリガザミを例に、有用細菌を用いた疾病防除技術の検討を行う。
     ・ハタ類等では、第1期に明らかにした飼育初期の生残、成長に影響を与える条件等を考慮し、適正飼育環境の把握、形態異常魚の防除技術を開発する。
     ・湖沼性ニシンについては、再生産を支える卵及び精子の分子生物学的特性を解明するため、卵膜表面に局在する精子運動開始因子(SMIF)遺伝子のクローニングとカイコによる リコンビナントタンパクの合成を行う。また、精子膜表面タンパクに対する抗血清を作製し、精子検出法を開発する。
     ・熱帯無脊椎動物ついては、シャコガイ類では種苗生産の良否を左右する発生初期における褐虫藻の取り込みについて検討するため、共生している褐虫藻の培養方法の検討を行う。イシサンゴ類では、室内で人工授精により幼生を得て基盤上に着生させ、定着基盤の位置等による幼生の生残率等を比較する。
 
    A餌料生物の効率的な培養法の開発を進めるため、ワムシ等動物性生物餌料、微細藻類等植物性生物餌料について以下の課題等に取り組む。
     ・ワムシ等の動物性生物餌料の培養技術の開発のため、ワムシにおいては、第1期で確立した安定培養技術を栄養価の観点から更に向上させるため、培養法の違いが栄養強化に及ぼす影響と栄養価の経時的変化を把握する。また、コペポーダ等の新たな餌料生物の探索とその培養方法の検討を行う。
     ・微細藻類等の植物性生物餌料については、16年度に完成させた廃液を基本にした培養液の処方に基づき低価格の培養液を大量に作製するとともにこの培養液で微細藻類を培養し、その餌料価値を水産動物への給餌試験により評価する。また、豚尿と鶏糞の双方を用いて、それらから抽出できた栄養塩類を効果的に利用して、栄養価の高い微細藻類を培養するプラントを作製する。
 
    B健全な種苗の安定的生産技術の開発を進めるため、ヒラメ、ホシガレイ等の異体類、貝類、クルマエビ等について以下の課題等に取り組む。
     ・ヒラメの種苗生産技術を例に、量産飼育における省力化及び低コスト化等、種苗生産技術の高度化に取り組む。
     ・第1期で量産規模の採卵が可能となったホシガレイを例に、良質卵の安定確保技術に取り組む。
     ・貝類では、主要な卵黄タンパク質を同定し、抽出・精製し、主要卵黄タンパク質のアミノ酸配列、遺伝子の塩基配列を決定する。
     ・クルマエビでは、第1期に開発した養成エビの成熟手法をもとに、成熟と産卵結果に影響を与える諸条件の最適な組み合わせを飼育実験により実証する。また、一般的に用いられている眼柄切除処理による催熟と飼育下の自然産卵の比較・評価を行い、水槽飼育における親エビ養成手法の構築を図る。
     ・クルマエビについて、マイクロアレイ解析により未成熟期と卵黄蓄積で発現量に違いがあった遺伝子の成熟に伴う詳細な発現パターンを明らかにし、成熟との関連が認められた遺伝子の機能を解析する。また、眼柄神経ペプチドホルモンである卵黄形成抑制ホルモンの測定法を開発し、ホルモン量と成熟度の関係を調べてホルモンの役割を検討する。
 
    C飼料の品質向上等飼養技術の高度化により環境負荷軽減や高品質な養殖魚生産のための技術の開発を行うため、リン付加軽減に有効な低魚粉飼料の開発等の課題に取り組む。
     ・リン負荷軽減に有効な低魚粉飼料を開発するため、従来の知見以上に環境負荷低減を達成しうる大豆油かす等の原料を用いた試験飼料を作製し、長期間の飼育試験を行って、成長等の飼育成績から栄養障害等の影響を明らかにする。
     ・サケ科魚類の養殖技術を高度化し、医薬品に頼らない養殖技術を開発するため、ヒメマスのスモルト化に与える流水刺激の影響を明らかにする。また、若齢期サケ科魚類の血中生理活性物質の濃度変化を培養細胞においてシミュレートする実験系を構築する。
     ・アサリ・マガキ等の無脊椎動物の安定生産のための飼養技術の高度化を目的として、捕食生態等の実態を把握する。食害については個体全体が食害されるケース及び個体の軟体部の一部が食害されるケースに分け、飼育実験及び現場実験・調査によって実際の捕食生態を把握する。また、原因不明の減耗については、いくつかの漁場において斃死発生時期に環境及び生物の連続モニタリング調査を行い、原因とされる要因を推定する。
 
   (イ)生態系機能の保全に配慮した種苗放流・資源培養技術の開発
    @健全種苗の評価手法、中間育成技術を開発するため、さけます類、トラフグ、ヒラメ等において以下の課題等に取り組む。
     ・さけます類については親魚の質の評価基準の開発を行うため、健全な雄親魚の選定に有効な評価基準を生理学的観点から明らかにする。また、増殖技術の改善を図り、地域特性に合わせた新たな手法を確立するため、主要な増殖事業実施地域における親魚の管理実態を把握する。
     ・トラフグ、ヒラメついては、第1期では種苗の質が放流初期の生残に影響することを明らかにした。これを受け、放流に適した種苗の健全性の評価指標を開発するため、放流初期の行動特性の評価基準を作成する。
 
    A標識技術の高度化を進めるため、以下の課題等について取り組む。
     ・安全・安心な体内標識手法の検討
      標識技術の開発では、第1期までにアリザリンコンプレクソン(ALC)等の内部標識技術開発により大量標識が可能となった。更に安全性の高い標識技術を開発するため、ヒラメでは食品添加物と市販色素等を用いた安全・安心な標識の装着手法を、クルマエビではDNAマーカーの有効性を把握する。また、ヒラメではALCで標識した耳石の解析から、放流個体の生残に及ぼす天然個体の着底量、時期、餌料環境等の影響を明らかにする。
     ・簡便な外部標識手法の検討
      簡便な外部標識として、第1期には、クエ、ガザミ等において鰭切除による標識可能期間を明らかにしたが、更に実際の標識放流での切除標識の有効性を把握する。
 
    B放流効果実証技術を開発するためサワラ等について以下の課題等に取り組む。
     ・サワラにおいては、第1期は瀬戸内海東部海域での放流効果について明らかにした。これを受け、瀬戸内海西部海域市場調査に取り組む。また1歳までの放流の経済効果を試算するとともに、日本近海のサワラの遺伝的集団構造を把握するため、サンプル収集を行う。
     ・ヒラメ、ニシン等では、第1期における地域的な放流効果の解明を受けて、より広域的な調査を行い、精度の高い放流効果を把握する。
     ・第1期に種苗が生産できるようになったシロクラベラについては、放流に適した標識の探索と装着試験を行う。
 
    C遺伝的多様性に配慮した資源培養技術を開発するため、さけます類及びマツカワ等について以下の課題等について取り組む。
     ・さけます類の遺伝的変異を分析するためのDNAマーカーを開発する。特に、サケ、カラフトマス及びサクラマスについて、魚種ごとに最適な遺伝分析方法を開発するとともに、遺伝標本を収集し分析を開始する。
     ・マツカワでは、第1期は放流後の移動範囲を明らかにしたが、遺伝的な問題が解決されていない。このため、DNAマーカーを用いて親魚と種苗の遺伝的調査を実施する。
     ・アカアマダイ、オニオコゼ等については、第1期では基本的な飼育技術が向上し、種苗を放流できるようになったため、本年度は日本海中部海域において、アカアマダイ及びオニオコゼの稚魚の成育場を探索し、その環境条件を把握する。
     ・ワカメ・アワビについては、DNAマーカーを開発するため、ワカメではサンプリングとミトコンドリアDNAの多サンプル解析技術の確立を、エゾアワビではサンプリングとマイクロサテライトDNAを用いた集団解析を行う。
     ・ヒラメ・アユについては、地域間の遺伝的特性評価と放流魚の再生産等への影響評価を行うため、ヒラメでは、着底天然稚魚のミトコンドリアDNA及びマイクロサテライトDNAの分析を行い、放流された種苗のDNAデータベースと照合することにより放流魚由来の稚魚の割合及び放流魚由来の遺伝子の拡散範囲を推定し、放流魚の再生産への貢献を評価する。アユでは、マイクロサテライトDNAマーカーによる個体群構造等の比較を行うとともに、過去5カ年に得られた河川における放流アユの資源添加・再生産過程を整理し、アユの環境収容力と密度変化を考慮した競争関係、産卵期の重複による交雑の影響並びに生活史を通したアユの生き残り過程と機構の解析を行う。
 
   (ウ)新規増養殖技術の開発
    @種苗生産が難しい魚介類の減耗要因の把握と生残率向上技術を開発するため、ウナギ、イセエビ、クロマグロ等について、以下の課題等に取り組む。
    @)ウナギについては、今期中に100日齢までの生残率を10倍向上させることを目標として下記の課題等に取り組む。
     ・卵質低下卵巣から孵化酵素遺伝子を検出、クローニングし、それをもとに定量PCRによる孵化酵素遺伝子の発現解析系を作製する。
     ・天然海域においてウナギ及びマアナゴのレプトケファルスを採集し、生態的特性と成長過程の対応を検討する。沿岸域で採集可能なマアナゴのレプトケファルスについては、飼育環境下における成長生残と耳石成長との対応を調べ、天然個体の耳石構造から成長過程を再現する。
     ・平成17年度に採取した天然仔魚を用い、消化管内容物からDNAを抽出して分析し、レプトセファルスが嗜好し摂餌している餌料生物を明らかにする。また、同じ海域で採取したアナゴ類等も同様に分析する。
     ・天然仔稚魚の消化管内容物及び栄養・飼料学的知見にもとづいてサメ卵を主成分とする従来飼料の改良品を試作し、飼育実験によって評価する。 また、サメ卵の有効画分の再分画、再構成を行って、摂餌促進物質の絞り込みを試みる。さらに,サメ卵に代わる新規飼料原料の探索を行う。
     ・発育に伴う体組織中の甲状腺ホルモンの変動を調べ、発育期の甲状腺ホルモン動態を明らかにする。さらに、飼育水への高分子物質添加が仔魚の生残に及ぼす効果を調べ、初期大量斃死防除法を開発する。
     ・飼育水の水質及び微生物数の動態を測定し、仔魚ロット間並びに飼育水槽間にどの程度の差異が生じているのかを把握する。それらの中から斃死率に影響する因子を明らかにし、その緩和・軽減方法の開発につながる特性を解明する。
     ・第1期では催熟のためのホルモン注射のタイミングを把握することにより卵質が向上した。人工生産されたウナギ仔魚口器の形態形成を連続標本を用いて各種の飼餌料に対する摂餌性、嗜好の差を実験的に明らかにし、基礎的飼育技術を検討する。
 
    A)イセエビについては、今期中に稚エビまでの生残率を10倍向上させることを目標に、下記の課題等に取り組む。
     ・生体防御関連遺伝子の単離を行い、フィロソーマの成長と遺伝子発現の関係を調べる。また、フィロソーマ体表や餌料中の細菌を分離し同定を試みる。
     ・過去の調査例が乏しい秋期の西部太平洋上において調査航海を行い、中期フィロソーマ及びプランクトン類の分布生態を把握するとともに,連携課題の分析用となるフィロソーマとプランクトン類の標本を得る。
     ・幼生全体の発現遺伝子の解析を行い、成エビと比較する。また、消化及び脱皮と関連すると考えられる遺伝子発現を幼生を使って調べる。
     ・第1期ではムラサキイガイの餌料としての有効性を明らかにした。今期はムラサキイガイの成熟過程に関与する水温・日長等の環境要因を飼育実験で解明し、餌として好適な状態を安定して確保するための条件を検討するとともに、飼育初期の減耗要因を明らかにする。
 
    B)クロマグロについては、減耗要因を把握し、今期中に生残率を5倍程度向上させることを目標に、下記の課題等に取り組む。
     ・第1期ではVNNの防除技術を開発し稚魚を生残させることができるようになったが、生産は不安定である。このため、生残率を向上させるためDNAマーカーを用いて仔稚魚の家系別の生き残りを把握する。
 
    A希少水生生物の保護及び増養殖技術の開発するため、以下の技術開発等に取り組む。
     ・タイマイについて、第1期では養成親ガメの産卵に成功したが、産卵周期には年変動があることが推測された。このため、安定採卵技術を開発するため産卵周期の調査を継続する。
 
    B養殖対象種の新品種作出等のため、遺伝子情報に基づく人工交配等の育種技術を開発するため、ブリ等について以下の課題等に取り組む。
     ・ヒラメ及びブリにおけるDNAマーカー選抜育種技術を開発するため、解析家系作成のための交配実験、細菌感染症及び寄生虫症に対する耐病性試験を行うとともに、連鎖解析用の遺伝子連鎖地図の充実を図る。
 
   (エ)病害防除技術の開発
    @新たに発生した魚病の発病機構、病原体の諸性状や伝搬経路を明らかにし、その防除技術を開発するために、コイヘルペス病、アワビの不明病、ウイルス性神経壊死症等について以下の課題等に取り組む。
     @)コイヘルペスウイルス(KHV)病については、病原体ゲノム遺伝子配列の分析と検出法を開発するために、次の課題に取り組む。
     ・人為感染耐過マゴイに含まれるウイルス量を定量PCR法により定量するとともに、ウイルスmRNAの検出を試みる。また、天然湖の網生簀内で長期間飼育されているKHV自然感染耐過マゴイからのウイルス検出を試みる。
     ・感染耐過させたコイ親魚の生殖巣におけるKHVの有無を調べる。さらに、感染耐過親魚からの産卵を試み、採卵出来た場合は種苗生産を行い、垂直感染の可能性を検討する。
     ・KHVに最も近縁で、キンギョ(フナ)を宿主とするウイルスGFHNVの膜タンパク質遺伝子領域に加え、次に近縁でKHVと同じくコイを宿主とするウイルスCHVの同領域を同定比較し、宿主特異性という最も重要な特性の解明を試みる。
     ・定量PCR法及びRT-PCR法を用いたウイルス検出を試み、検出感度及び反応特異性について、改良したPCR法やnested PCR法と比較検証する。
     ・第1期に開発したELISA法によるコイ血中KHV抗体価の測定を霞ヶ浦や琵琶湖等の水系について大学、県水試等と協力しながら継続して実施する。また、組織切片上でのKHV遺伝子の検出法を開発する。
     A)アワビの不明病については、大量死を起こしているアワビ類について、疾病の特性解明のため、病理組織学的な検討を行う
     B)ウイルス性神経壊死症については、第1期では、多くの天然魚がVNNウイルスを保有することを明らかにした。更に、伝播経路及び感染様式を把握するため、餌料及び、海面生簀周辺の生物のウイルス保有調査を実施する。
 
    A海外重要感染症や問題の感染症等の迅速・高感度診断法を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     @)特定疾病等の重要疾病の病原体のタンパク質やゲノムを検出するためのツールを開発するため、コイ春ウイルス血症の病原体に対する抗血清を作製し、精製や吸収等により反応性を向上させ、感度の高い間接蛍光抗体法を確立する。
     A)さけます類のせっそう病の水産試験場等の診断現場に適応した迅速・高感度・簡便な診断方法の検討を行う。
     B)マイクロアレイ技術による診断法を確立するため、DNAチップの改良と診断現場での検証を下記の通り行う。
     ・各種ウイルス特異的な複数のプライマーを用いるPCRの条件の検討を更に進める。また、得られた増幅産物を推定するために行うハイブリダイゼーションについても、オリゴDNAの検討等の最適化を行い、チップ上の全てのウイルスが検出できるようにする。更に、作成したDNAチップの実証試験を行うとともに、必要に応じて改良する。
     ・作成した魚病細菌検出用DNAチップ及びビブリオ属検出用チップについて、技術的な手法は第1期にほぼ確立された。更に水産試験場等での実証試験例を積み上げ、必要に応じて改良する。
     ・ニジマス及びヒラメについては、ワクチンの有効性と関連する遺伝子を決定する。
     ・培養細胞レベルでのマダイイリドウイルス遺伝子発現と細胞遺伝子の発現とのインタラクションをDNAチップを用いて解析し、更に魚体レベルでの遺伝子発現を調べる。
     ・エドワジエラ症の自然発症魚からサンプリングを行い、DNAチップで遺伝子発現量の変動を解析し、実験感染魚の結果と比較し、自然発症魚での診断指標となりうる有用遺伝子を同定する。
 
    B免疫・生体防御関連遺伝子の同定とその機能解明及びより効果の高いワクチンやその投与法の開発を開発するため、アユ冷水病ワクチン、ヒラメ免疫機構等について、以下の課題等に取り組む。
     @)アユ冷水病ワクチンで、ワクチンを製造する株及び野外株について、菌株の由来に関する情報の収集、生化学的性状試験等を行う。また、引き続き共同機関に試験用のワクチンを供給する。
     A)ヒラメ免疫機構については、各白血球細胞に対する抗血清の作成と、仔稚魚期の生体防御機能の検討について次の通り実施する。
     ・ヒラメの白血球の各種細胞集団を認識するモノクローナル抗体を作製する。この抗体を用いて血球からリンパ球、顆粒球等を分取する。
     ・第1期の結果から、ヒラメ仔稚魚が大型の稚魚や成魚に比べてレンサ球菌に対して感受性が極めて低い原因は、体表に傷が無いため菌が侵入しにくいためであることが示唆された。そこで実際に体表にごくわずかな傷を人為的に作り、浸漬感染を行うことによってこの仮説を検証する。
     ・ウイルス性出血性敗血症(VHS)ウイルス感染・昇温処理により感染耐過魚を作出し、低水温下で再度ウイルス攻撃試験を行い、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現の変動を解析する。
 
   ウ.水産生物の生育環境の管理・保全技術の開発
   (ア)沿岸域生態系の保全・修復技術の開発
    @栄養塩等の循環実態を解明するため、生物群集構造の把握を以下の通り行う。
     ・コンブ藻場漁場では、第1期において得られたコンブの鉛直分布及び生育限界深度に関わる主要な環境要因について、更に詳細な環境要因と繁茂・衰退期の群落構造を把握するためのデータを整備する。
     ・陸棚砂泥域では、第1期において得られた主要な漁獲対象種の出現状況、底質の硬度や陸起源と推定される有機物の堆積について、更に詳細に様々な水深帯における海洋環境と出現生物種分布状況への陸起源物質の影響を把握するためのデータを整備する。
     ・富栄養化した干潟域では、第1期において得られた微小な付着珪藻が主要な餌生物について、更に詳細な藻類の量・組成、水質・底質等の季節変動を把握するためのデータを整備する。
     ・利根川沿岸河口域では、第1期において得られた河川水に対する基礎生産の応答を定量的に評価する流動・一次生産モデルについて、更に詳細な水・物質循環と生態系変動予測の統合モデルにより、沼から河口域の事例を解析するためのデータを整備する。
     ・造成アマモ場では、第1期において得られたアマモ由来有機物の食物網への寄与について、更に詳細な炭素・窒素安定同位体比から食物網の変化を解析するためのデータを整備する。
     ・亜熱帯河口域(マングローブ汽水域、アマモ場、サンゴ域、砂地)では、第1期において得られたコぺポーダ類の生態特性や魚類仔稚による捕食等について、更に詳細な生物生産に影響する栄養塩や重金属等の分布・挙動を把握するためのデータを整備する。
 
    A干潟、藻場、サンゴ礁等の消失や生産力低下の実態をの解明するため、生物生産及び食物網の構造把握を以下の通り行う。
     ・外海性浅海砂浜域では、第1期において得られた海域の食物網構造について、更に詳細な陸域からの物質拡散範囲、底生動物の餌料源、及び食物網構造を解析し、沿岸生態系に与える海洋起源及び陸起源物質の影響を総合的に考察するためのデータを整備する。
     ・瀬戸内海においては、陸域からの栄養塩負荷量と低次生物生産量との関連性について、主要な海域における栄養塩負荷量、低次生産生物の現存量・生産量等の季節変動を把握するためのデータを整備する。
     ・沿岸の水質変動では、第1期の成果を発揮して、構築された予測モデルによる河川負荷変動の沿岸環境及び有用生物生産に及ぼす影響について、更に詳細な低次生態系モデルにより河川負荷が生物生産・水質環境変動に及ぼす影響を解析するためのデータを整備する。
     ・有明海では、第1期の成果を発揮して、構築された水質データベースについて、更に詳細な陸起源物質負荷の海洋環境への影響を自動観測装置等によって把握するためのデータを整備する。
 
    B沿岸域の生態系に備わる機能の評価手法を開発するため、沿岸域の物質循環の把握を以下の通り行う。
     ・五ヶ所湾の魚類養殖場では、第1期において得られた持続的養殖生産確保法に対応した環境基準値及び運用手法について、更に詳細な海底における養殖由来有機物の分布状況を把握し、数値計算シミュレーションにより養殖由来有機物の沈降・堆積量を推定するためのデータを整備する。
 
    C土木工学的な手法による保全・修復技術を開発するため、沿岸域の生態系の実態把握及び群集構造と「場」の利用形態の把握を以下の通り行う。
     ・瀬戸内海においては、アサリ稚貝の集積・分散と地形との関係等を詳細に解析するとともに、藻場・干潟の群集構造解析・新規モニタリング手法及び漂着海藻類がベントス群集に及ぼす影響評価手法開発の予備調査を実施する。
     ・有明海では、新規にタイラギ等大型二枚貝類漁場における懸濁物の生物化学的性状を把握するとともに、アサリ個体群の特性と生理状態の時間的変異を解明するためのデータを整備する。
     ・本州太平洋岸の河口域では、第1期において得られたモデルを高精度化し、概略的な漁場形成と海洋環境の関係について、更に詳細な流動・一次生産モデルにより河口域の物質循環の健全性を評価し、環境管理法を提案するためのデータを整備する。
     ・亜熱帯のサンゴ域では、第1期において得られたサンゴの分布特性をもとに、更に詳細な近年の八重山諸島でのサンゴの回復状況を把握し、積極的なサンゴ増殖候補地を抽出するためのデータを整備する。
     ・本州太平洋岸の冠砂域では、新規に海藻の初期生残に及ぼす漂砂の影響及び漂砂による底質攪乱状況と底生生物の種組成との関係、来遊魚類と葉上動物との分布量を把握するためのデータを整備する。
     ・砂浜や干潟に生息するアサリなどの有用水産生物について、環境応答実験及び現地調査から、好適環境を把握する。
 
   (イ)内水面生態系の保全・修復技術の開発
    @水産生物に良好な環境を保全・管理する技術を開発するため、人為的インパクト(流量の減少、水温の変化、河床の変化、河畔林の伐採等)の因果関係の整理及び湖沼の魚類群集の繁殖期における湖−ヨシ帯−河川−水田(農業水路)の利用実態の把握を以下の通り行う。
     ・ダム等の河川工作物が流量・河床の変化など河川漁場環境やアユ等の資源に及ぼす影響の解明については、第1期では河川環境影響実態に関するデータベースが構築され、河川環境影響を類型化し、解決すべき問題点の優先度が明らかとなっているが、更に詳細なダム建設による人為的インパクトと因果関係を整理したフローチャートを作成する。
     ・湖沼の魚類群集については、第1期において在来淡水魚のメタ個体群の生息地の分断と外来種の侵入データをリンクさせつつ生態学的モデルが構築されているが、更に代表的な魚類相について生息地の湖-ヨシ帯-河川-水田(農業水路)の利用実態を把握し、在来淡水魚保全の為の生息地ネットワーク形成技術に資するためのデータを整備する。
 
    A内水面域の重要魚種の生理・生態特性の把握及び環境の変化が河川・湖沼の生物多様性に与える影響を解明するため、重要魚種の生理・生態特性の把握を以下の通り行う。
     ・絶滅の可能性の高い淡水魚種へ及ぼす移入種の影響についてモデルにより解明し、限られた保全努力による最善の結果に導く環境設計法を提示する。
 
    B生息環境の評価技術や資源の維持・増大技術の高度化するため、陸封性サケ科魚類の資源動態の解析を以下の通り行う。
     ・イワナについては、自然河川及び実験河川における天然魚と養殖魚の移殖実験により、共通環境下における両者の個体数変動、成長速度、生残及び種間関係のデータを整備する。
     ・ヒメマスについては、第1期において得られた中禅寺湖の生理生態特性情報を参考に、各種漁業統計の解析や資源動態の把握を通じてヒメマス資源量に影響する環境要因に関するデータを整備する。
     ・サケ産卵場所の時空間変化及び個体群内における産卵環境の変異について把握する。また、サケ・マス増殖河川でサクラマス野生魚の河川内分布と移動様式を把握する。
 
   (ウ)外来生物や有毒・有害生物等の影響評価・発生予察・被害防止技術の高度化
    @外来生物が生態系に与える影響評価手法を開発するため、導入遺伝子の遺伝特性の評価を以下の通り行う。
     ・遺伝子組換えアマゴについて、第1期では導入遺伝子の検出手法が開発されると共に導入遺伝子の環境への動態が明らかとなっているが、第1期の成果に基づき、更に詳細な導入遺伝子の遺伝特性を評価し、繁殖特性の評価に資するためのデータを整備する。
 
    A新たに出現した有毒・有害生物等の発生機構の解明するため、新たに出現した有毒・有害生物の生活史の解明及び有毒赤潮藻(HA)とウイルス(HAV)の動態追跡を以下の通り行う。
     ・主要な有害・有毒プランクトンについては、栄養細胞の出現と休眠期細胞の動態(分布、発芽率など)との関係を調査する。休眠期細胞の検出のため、遺伝子情報(リアルタイムPCRなど)を用いた手法の開発に着手する。休眠期細胞の生理・生態(形成、休眠、発芽過程など)及びそのメカニズムとそれらに及ぼす物理・化学的環境因子の影響を検討する。
     ・貝毒原因プランクトンについては、LAMP法等の分子生物学的手法を用いて、新奇種を中心とした迅速・簡便・精確な検出・同定・定量技術を確立する。また、新たに確立した手法を用いて、新奇種を中心とする有毒プランクトンの動態と環境要因との関係をこれまでより詳細かつ正確に把握する。
     ・ギムノディニウム・カテナータムについては、栄養細胞の増殖と物理・化学的環境要因との関係、シストの形成条件及び休眠・発芽条件を明らかにする。また、栄養細胞の毒量や毒組成に及ぼす環境要因の影響を明らかにし,本種が内湾域においてブルームを形成する機構の解明に必要な生理・生態学的知見を提示する。
     ・ヘテロカプサ・サーキュラリスカーマについては、ヘテロカプサ赤潮頻発海域における同種感染性ウイルス(HcRNAV)の挙動比較を行うとともに、すでに明らかとなっているHcRNAVの塩基配列に基づき特異的プライマー及びプローブを設計し、RT-nested PCRおよび定量RT-PCR法等によるHcRNAV量測定技術の基礎構築を行う。また、有害赤潮藻を含む真核性微生物を宿主とする新規ウイルスの探索を試みる。
 
    B新たに出現した有毒・有害生物等の予察・被害防止技術を開発するため、出現動態と環境要因の関係解明を以下の通り行う。
     ・大型クラゲでは、第1期において得られた日本海西部海域における出現状況(出現個体数、分布特性)に関する情報の蓄積及び、回遊予測アルゴリズム開発のためのモデルについて、更に詳細な幼体〜小型成体の分布、成熟段階及び共生藻を把握する。また、生息水深・行動様式など日周変化を計測し、分布様式・回遊過程、沿岸漁場への出現過程、炭素収支及び漁場・漁具の近傍における行動特性を解明する。以上の成果などから、混獲を低減できる底びき網漁具を開発し、沿岸定置網等への入網に関わる風輸送メカニズムをモデルで検証するとともに、回遊予測モデルによる対馬海峡から流入の回遊シミュレーションの予測精度を検証するためのデータを整備する。
 
    C毒化原因生物・物質の簡易・迅速な分析手法を開発するため、下痢性貝毒及び既知代謝物の一斉分析条件の検討を以下の通り行う。
     ・毒化原因生物のうち下痢性貝毒及び既知代謝物では、第1期において得られたホタテガイやイガイ類での毒の蓄積と変換について、更に詳細な一斉分析条件を検討し、毒化二枚貝の貝毒及び既知代謝物含量の定量的な比較に資するためのデータを整備する。
 
   (エ)生態系における有害物質等の動態解明と影響評価手法の高度化
    @有害化学物質等の生態系への蓄積機構や動態を解明するため、底質中の分布の把握を以下の通り行う。
     ・底質及び間隙水中の多環芳香族化合物では、第1期において得られた海水から魚類への蓄積性について、海域における対象化合物の更に詳細な水平分布や存在状態を把握するとともに、実験用イソイシゴカイの飼育に適した人工底質の組成を解明するためのデータを整備する。
     ・海水試料については、新規にニトロアレーン分析に供する試料の量、試料量に最適な抽出方法・クリーンアップ方法及び定量機器を検討し、検出下限値を下げ、海域環境試料に適した分析法を確立するためのデータを整備する。
 
    A有害化学物質等の生態系に及ぼす影響を評価する手法の高度化を図るため、抽出法の検討及び魚類の精子形成に及ぼす直接的な影響の分子生物学的手法を用いた解明を以下の通り行う。
     ・有機スズ化合物の生物への影響では、第1期において得られたマミチョグ精巣の生殖細胞の分裂活性の低下及び精子形成関連遺伝子の発現量減少について、更に詳細な曝露魚の精巣での発現遺伝子の同定と定量測定系の確立し、生殖細胞の分裂活性及びアポトーシスの出現について検討するためのデータを整備する。
     ・海水試料では、新規にニトロアレーン分析に供する試料の量、試料量に最適な抽出方法・クリーンアップ方法及び定量機器を検討し、検出下限値を下げ、海域環境試料に適した分析法を確立するためのデータを整備する。
     ・ピリチオン類では、第1期において得られた主要分解生成物である2-ピリジンスルホン酸の海産魚類及び甲殻類に対する急性毒性値が明らかとなっているが、更に詳細な分解生成物の生物(海産魚・甲殻類)への毒性評価方法を検討するためのデータを整備する。
     ・銅・亜鉛ピリチオンでは、第1期において得られたピリチオン類の主要分解生成物である2-ピリジンスルホン酸を含めた数種の分解産物の海産植物プランクトン及び動物プランクトンに対する急性毒性値について、更に詳細な分解生成物の海産植物・動物プランクトンへの急性毒性値を明らかにするためのデータを整備する。
     ・底質及び間隙水中の多環芳香族化合物では、第1期において得られた海水から魚類への蓄積性について、更に詳細な水平分布や存在状態を把握するとともに、実験用イソイシゴカイの飼育に適した人工底質の組成を解明するためのデータを整備する。
     ・天然水中の化学物質では、新規に水中からの検出頻度及び有害性等の優先順に効率的な抽出法を開発し、市販抽出用メディアで抽出効率を解明するためのデータを整備する。
     ・マミチョグでは、第1期において得られた生殖腺刺激ホルモンに対するユニバーサル抗体を作成し、有機スズ化合物がホルモン産生細胞数に及ぼす影響について、更に詳細にマミチョグの初期生活史における有機スズ化合物の影響及び生殖腺刺激ホルモン濃度の測定法を確立するためのデータを整備する。
     ・鉄鋼スラグでは、第1期において得られた魚類胚に対する高濃度の抽出物の毒性について、更に詳細なスラグ成分の生物への影響を明らかにするためのデータを整備する。
 
 (2)水産業の健全な発展と安全・安心な水産物供給のための研究開発
   (ア)水産業の経営安定に関する研究開発と効率的漁業生産技術の開発
    @我が国水産業の動向を分析するとともに、貿易ルール改変の影響等も含めた水産物の国際的需給動向が我が国水産業に及ぼす影響を解明するため、以下の課題等に取り組む。
     ・国産さけ・ます類の産地価格決定に係わる経済的要因を抽出するとともに、産地価格と漁業生産量の因果関係を需給分析に基づいて予測する。また、民間ふ化場の経営状況を調査する。
 
    A水産物の効率的な流通・加工構造の解明を含め、水産業の経営安定条件を解明するため、以下の課題等に取り組む。
     ・イカ類加工業を対象として、原料供給過程から製品流通過程までを見通した実態調査、統計解析、文献調査等を行い、構造分析のための基礎データを収集する。
     ・漁業安定経営支援のための漁場形成予測情報システムの構築に向け、日本海におけるスルメイカの分布密度と水温の関係のパラメーターを見直すとともに、スルメイカの定量的分布密度の推定手法を開発する。3次元循環モデルの精度向上を行う。定量的分布密度の推定技術に合わせてスルメイカの分布情報提供システムの改良を行う。
 
    B省エネルギー、省コスト化等による漁業の経営効率の向上に必要な漁業生産技術を開発するとともに、自動化技術等を応用した軽労・省力・安全な漁業生産技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・第1期で開発した沿岸沖合漁船の総合評価システムを応用し、沿岸漁船に適用可能なシステムへの改良を図る。
     ・省エネルギー化の促進に必要な船体要素課題を精査し、特に未知課題である船体付加物に関する検討を行う。
     ・漁業の省人・省力化技術の開発では、沿岸の二そうびき漁業を対象に、複数地域の漁業実態を調査してそれぞれの漁業生産システムの特徴と課題を整理し、現行の生産システム及び作業の分析に基づいて当該漁業の省人・省力化方策を検討する。
     ・北部太平洋海域の大中型まき網漁業において、15名体制を目指した完全単船型まき網漁船において実証が必要な技術の開発に取り組む。
     ・北太平洋公海域の遠洋底びき網漁業において、収益の改善を図るため開発された表中層共用型トロール漁具によりアカイカ等を対象とする漁獲技術の開発に取り組む。
     ・北海道日本海海域の沖合底びき網漁業(かけまわし)において、選別作業の省力化のために小型カレイ類を水中で逃避させる選別式漁具を開発する。また、省コスト化のための魚種兼用選別式漁具の開発に取り組む。
     ・北太平洋西部海域の近海まぐろはえなわ漁業において、新型揚げ縄装置等の省人・省力化技術及びポット式魚倉等の導入による漁獲物の付加価値向上技術の開発に取り組む。
     ・南西諸島及び九州西方海域の近海かつお釣り漁業において、次世代型漁船のシステム設計のための効率的な操業パターンの開発に取り組む。
 
   (イ)生産地域の活性化のための水産業の生産基盤整備技術の開発
    @水産業の経営安定と生産地域の活性化のために必要な基盤整備技術を開発し、また、その手法を高度化するために以下の課題等について取り組む。
     ・漁場環境を把握するため、千葉県のキンメダイ漁場において、計量魚探や測深器を用いて、地形と蝟集場所の関係に関するデータを取得する。併せて流速や水温等の生息環境についての観測も行い、大水深における魚礁設置を目的としたキンメダイの生息適地としての条件を抽出する。また、既存漁場施設の調査を行い、利用可能施設の選定も行う。
     ・漁港に存在する、あるいは発現しうる様々な機能を、施設種類と関連づけて詳細に整理する。次に漁港がすでに多面的に利活用されているモデルケースを現地調査し、各機能の発現状況及びある機能の存在が他の機能に及ぼしている影響を整理する。更に海外における漁港の多面的な活用の事例についても資料を収集・整理する。
 
    Aリサイクル素材を用いた環境にやさしい水産基盤整備技術及び藻場・干潟等の再生のための水産工学的造成技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・第1期では漁港浚渫底泥の個体化技術を開発し、個体化ブロックの特性とアマモの成長との関係を解明したが、更に軟弱底質を再利用した固化体ブロックを海面下に設置し、それらの耐久性及び海藻の着生、付着生物の付着状況等の経過観察を行い、着生基質等としての適用性を明らかにする。また、最適と思われる単一の条件で大規模な造成試験を実施し、試験体の設置による周辺海域に及ぼす影響と形成されるアマモ場の水質等改善作用を検証する。
 
   (ウ)水産物の機能特性の解明と高度利用技術の開発
    @水産物が持つ生活習慣病の予防に役立つ機能等、人体にとって有用な機能の解明及び評価を行うとともに、食品としての利用技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・ノリ等の紅藻類、ワカメ等の褐藻類あるいはアオサ等の緑藻類等に含まれるグリセロールガラクトシド(以下GG)等機能性成分の分布や機能特性の解明、及びその変動等を追跡する。
     ・色落ちノリに含まれるGGを実験室レベルで抽出・精製し、主として実験動物を用いて、急性毒性試験、長期投与による成長・一般状態への作用試験等により安全性及び安全投与量を確立する。
 
    A加工残滓や未利用資源等に含まれる有用物質の探索を行い、利用技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・大型クラゲのタンパク質画分によるラット脂質代謝機能変動を、肝臓での脂質代謝関連酵素活性を指標として評価する。
     ・種々の条件で抽出したゼラチンを魚肉加熱ゲルに添加し、凍結・解凍時ドリップ量により品質を評価する。
     ・アコヤガイ中のスフィンゴミエリンの構造を明らかにし、得られたセラミド化合物の安全性を明らかにするとともに、二次残滓の処理を検討する。
 
    B水産物の科学的評価手法を開発するとともに、品質を保持する技術及び水産物の利用を高度化するための技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・バイオプシーによって採取した10ミリグラム程度の微量の組織を試料として、各種プロテアーゼ、代謝系酵素群、筋原繊維タンパク質、コラーゲン、脂質、核酸、アミノ酸等の肉質に関連する成分組成及び含量を測定する。各遺伝子の発現動態を解析するため、筋肉で発現する遺伝子群を用いたマイクロアレイを作製する。
     ・マアジ・マダイの活魚を対象に、死後(凍結前)変化及び凍結条件と、凍結保存及び解凍中に起こるATP関連化合物等の成分変化・pHとの関係を解明する。
 
   (エ)安全・安心な水産物供給技術の開発
    @水産物表示の適正さを確保するために、水産物の種や原産地を迅速・簡便に判別する技術や凍結履歴等の生産・流通状態を識別する技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・韓国及び日本産マガキをMSマーカーにより集団解析し、集団の遺伝的特徴及び集団間の差異を明らかにする。
     ・種判別に必要なDNAデータベースの基礎情報の収集を目的とし、将来的に組換え体水産物の作出が予想されるサケ科魚類や有用魚介類を用いて、水産物の種、産地を特定できるDNA領域を探索し、種判別等が可能なDNA多型の抽出を行う。
     ・ヒラメについて脂質成分による天然・養殖判別技術開発を試み、アユについても天然・養殖それぞれの成分特性の特徴を把握する。
     ・数種の養殖魚を用い、死後の凍結保存に伴う近赤外スペクトルの変動を明らかにするとともに、核酸関連化合物等、各種鮮度指標の消長との関連を検討する。
 
    A食中毒等の原因となる有害微生物等の防除等に関する技術、人体に対して危害を及ぼす可能性のある生物毒や有害元素の防除等に関する技術など、水産物の利用に伴うリスクを低減する技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・ヒジキ加工における「乾燥」「蒸煮」「水洗」等の各種加工処理や組み合わせが、ヒ素含量や化学形態に及ぼす影響を明らかにし、無機ヒ素を効率的に低減できる加工法を探索する。
     ・水産発酵食品等から好塩性乳酸菌を分離し、魚醤油中で増殖能、乳酸発酵能の優れた菌株を選抜、その菌株の生理活性物質生成能、呈味成分蓄積能及びヒスタミン生成菌に対する抗菌物質生成能を評価し、発酵スターターとして付加価値の高い株を選抜する。
     ・全貝毒簡易測定キットのマニュアルを作成するとともに、簡易測定キット、LC-MS法、蛍光HPLC法を効果的に組み合わせた安全で効果的な貝毒監視体制について提言する。
     ・微生物作用による毒性変化をスクリーニングするためのスモールスケールでの麻痺性貝毒の毒性測定法として、培養細胞を用いた毒性測定手法を検討する。
 
  (3)研究開発の基盤となる基礎的・先導的研究開発及びモニタリング等
   (ア)基盤となる基礎的・先導的研究開発
    @先端技術の利用による水産資源に影響を与える海洋構造や低次生物生産の変動を把握するため、以下の課題等に取り組む。
     ・親潮(A-Line)、沿岸親潮(厚岸沖)及びオホーツク海南西部(N-Line)における海洋環境を定期調査船調査によりモニタリングするとともに、これらの結果と長期にわたる既存データとを組み合わせて海洋物理環境及び低次生産環境の季節変動様式を把握する。また、得られた海洋環境変動の情報を漁業資源変動予測手法の開発に係わる各種調査研究の共通基礎データとして管理・配布する。
     ・北西太平洋の水産資源動態に影響を及ぼす表層水塊形成過程を解明するため、既存調査データの整備と中央モード水塊特性の解明を行う。
     ・日本海東部海域における対馬暖流の変動特性の解明及びモニタリング手法の開発を行うため、既存調査データの整備・解析及び調査定線を設定して精密観測を実施する。
     ・九州西方海域の流速・密度構造とその短期変動の解明を行うため、過去データの整理、解析を行うとともに、調査船による4往復調査を広範囲で行い、流速、塩分、水温を測定する。また、フェリーによる表面水温観測を開始し、調査船調査との比較を行う。これにより、トラフ斜面に沿った時計回りの流れの有無や暖水渦の水平分布を把握し、表面水温変動特性を捉える。
     ・御前崎沖の定線調査において得られた結果を取りまとめ、クロロフィルや動物プランクトン現存量の経年変動、基礎生産力の季節・経年変動を明らかにする。また、従来の定期的な乗船調査に加えて動・植物プランクトンや懸濁粒子の組成に関する調査を開始する。更に、ホームページにて公開中のデータベースを更新する。
     ・東シナ海微小動物プランクトンが炭素循環に果たす役割の評価を行うため、微小動物プランクトンの摂餌量の見積もりに用いる「希釈法」を東シナ海に応用した場合の問題点を把握し、その改善に取り組む。
     ・親潮水による炭素輸送量の見積もりと現実性が向上した数値モデルを用いたカイアシ類を模した粒子実験により、物理過程による中深層への物質輸送に対する効果を総合的に評価する。
     ・珪藻、大型カイアシ類やその他のプランクトンによる輸送量の結果をあわせ、表層から深層への輸送量の定量的評価を行うとともに、その変動機構を明らかにする。
 
    A海洋モデリング技術の高度化により、海況予測モデルを開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・観測データの比較検証で明らかになった問題点を踏まえ、データ同化手法とモデルスキームを改良する。また、海況予測モデルFRA-JCOPEに、観測情報を取り込むためのデータ同化手法の改良に取り組む。具体的には、同化に用いる解析値(観測データ格子点値)の精度を検証し、改良方針を明らかにする。
     ・海洋変動予測システムの精度検証と改良を繰り返し行い、実運用を考慮した太平洋全域と我が国周辺の海況(水温・塩分・流れ)を2〜3ヶ月先まで予測する実用的なシステムを構築する。
     ・高精度調査船調査等により黒潮−沿岸水系の相互作用でもたらされる黒潮域〜沿岸域の海洋環境変動を把握し、海況予測モデルの再現性検証型モニタリングを実施する。
 
    B地球温暖化が海洋生態系や水産資源に及ぼす影響を解明し、水産業が受ける影響を評価する技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・藻場生態系における炭素循環を解明するため、対象海域の物理化学環境及び生物の概略把握を行う。
     ・親潮域・混合域における海洋環境と低次生態系の影響評価を行うため、モニタリングを継続し影響評価のための基盤の整備・モデル検証用データの提供体制を確立する。
     ・黒潮・黒潮続流域における海洋環境と低次生態系の影響評価を行うため、モニタリングを継続するとともにデータベースを構築し、影響評価のための基盤の整備を確立する。
     ・東シナ海域における海洋環境と低次生態系のモニタリングと影響評価を行うため、東シナ海定線での観測データを蓄積及び整理を行う。
     ・寒海性魚類生産に及ぼす地球温暖化の影響評価と対策技術を開発するため、高温側成長限界温度付近での生理的状態把握を行う。
     ・水温上昇に伴うニシンの生活史の変化を解明する目的で実験群を設定し,宮古湾ではTL50mm未満の小型群を、厚岸湾では同一ロットの種苗群を早期・小型群と晩期・大型群に分けた放流実験を,それぞれの海域で40〜50万尾規模で実施する。
     ・観測データの比較による低次生態系モデルの精度検証を進めるとともに、感度実験を進めてモデルの改良方針を示す。さらに、資源変動メカニズムの解明を行うための、過去の魚類生産に関わるデータの整備を進める。
 
    C水産生物ゲノムの構造・機能、器官の分化、成長、繁殖等に関する分子生物学的な解明とその制御技術の開発に取り組むため、以下の課題等に取り組む。
     ・水生生物の環境ストレス応答を解明するため、ヒートショックタンパク質(Hsp70)遺伝子に着目し、その温度ストレス等による発現動態を解析する。
     ・孵化酵素腺細胞分化に働くFox遺伝子を中心に、体節形成に関与する遺伝子の機能と奇形との関係を明らかにする。
     ・ストレス応答及びアポトーシスに関わる遺伝子発現調節機構を解析する。
     ・ゼブラフィッシュの受精卵におけるサイトカイン遺伝子翻訳阻害を行い、初期発生におけるサイトカインの機能を分析する。
     ・食欲の制御機構や栄養成分による形態異常の発生機構の解析のため、トラフグ初期発生過程においてレチノイン酸の影響下にある遺伝子を収集する。
     ・マダイ脂肪細胞の初代培養系での脂肪細胞分化に伴い発現する遺伝子の単離・同定を行うとともに、それらが脂肪細胞分化に果たす役割について検討する。
     ・卵濾胞における卵黄タンパク質の取り込み機構に関わる卵黄タンパク質の受容体遺伝子の単離・同定とその動態を明らかにする。
     ・精巣分化過程における精巣組織構築に関与する遺伝子の発現動態を明らかにするとともに、性転換誘起による性分化過程における発現解析を行う。
 
    D海藻等のバイオマスを資源化し利用するため、コンブ等について、微生物を用いた分解・発酵、有用物質の抽出等の技術を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・日本沿岸部のサンプリングから海藻分解菌の探索と取得を行う。また、緑藻や褐藻に対して高い分解能力を持つ菌を特定し、分解菌の性状及び分解特性を解析する。
 
    Eその他の基盤となる基礎的・先導的研究開発として以下の課題に取り組む。
     ・第1期に蓄積されてきた水中生物鳴音のデジタルファイル化を行い、データベース構築を進める。
     ・無響水槽内でハダカイワシ類などの小型生物の姿勢を変化させながらターゲットストレングスの精密測定を行うための測定システムを整備する。
     ・カタクチイワシなどの開鰾魚を中心に、球面波水槽などの実験水槽におけるターゲットストレングスの精密測定および軟X線装置による鰾形状の測定を行う。また、無鰾魚の3次元形状をデジタル化し、数値モデル計算用のデータ作成に取り組む。
     ・イルカ型ソナーの生物学的設計仕様を確定し、工学的応用に反映させる。工学的検証実験については、複数魚種を用いた弁別実験を海上で行い、その有効性を実証する。今後に向けた実機開発を念頭に、実際に資源の様々な特性を判断できるソナーの設計仕様を確定する。
     ・人工放射性核種の頭足類における蓄積機構と藻類における吸着機構の解明のため、頭足類における人工放射性核種蓄積の原因タンパク質を特定し、それらを精製する。
     ・ハダカイワシ類の種査定、生殖腺の組織学的解析及び胃内容物の分析を行う。
      同時に、ハダカイワシ類の被食について、漁獲対象種(浮魚類)の胃内容物の分析を行う。
 
   (イ)地域活性化のための手法の開発及び多面的機能の評価・活用技術の高度化
    @地域特産資源の増大・利活用による地域振興や地域における重要問題の総合的解決など、地域特性を活かした地域活性化のための手法を開発するため、以下の課題等に取り組む。
     ・北太平洋地域では未利用資源であるカタクチイワシの加工利用方法を開発するため、漁獲後の処理・保存方法の違いによる魚の脆弱化の比較、すり身化の基礎的試験を実施する。
 
    A漁業・漁村が持つアメニティや自然環境保全等の多面的機能の評価手法の開発を行い、多面的機能の向上のための指針を示すため、以下の課題等に取り組む。
     ・里山生態系において水産が有する多面的な機能の位置づけを明確にするため、小規模な実験水田において魚及び稲の成長、並びに生物多様性の経時変化、環境条件の経時変化等について調査し、フナの有する生態機能を評価する。
 
   (ウ)主要水産資源の調査及び海洋環境等のモニタリング
    @主要水産資源、水域環境、生物、放射性物質等について先端技術等を用いた長期モニタリングを実施し、海洋生態系データベースを構築・充実するため、以下の課題等に取り組む。
     ・センターの各研究所に保管されている水産海洋調査資料の所在を調査し、電子化可能なデータの整理を行う。また、既存の電子化済みの海洋観測データについて品質管理処理を施し、日本沿岸海域の長期水温時系列を作成し、長期変動の実態を明らかにする。
     ・日本周辺海域に生息する主要海産生物及び日本周辺海域の海底土を採取し、これらの試料について、人工γ線核種分析を行い、更に必要に応じて一部試料についてPu同位体の放射化学分析を行う。また、検出された人工核種について、異常値の有無の判定及び異常値が出た場合の起源の探索、変動傾向の把握を行う。さらに四半期ごとに定められた海産生物(計6種)を採集し、乾燥・炭化・灰化後Ge半導体検出器によってγ線放出核種の分析を行う。また、原子力軍艦寄港に伴う安全性をモニタリングすると共に、不測の事態に備える。
     ・さけ類及びます類の地域集団の遺伝特性や増殖実態、生息環境等についてモニタリングを行い、個体群の維持に資する。
 
    A増殖対象種の放流効果を実証するため、都道府県等と連携して必要な調査として、以下の課題等に取り組む。
     ・第1期で得られた放流魚の移動・分散に関する知見をもとに,道府県の栽培センターや漁業協同組合等と連携して、ニシン、ヒラメ、サワラ、ガザミ等の中間育成技術及び放流調査を実施し、地域の状況に即した応用技術の確立を進める。
 
    B我が国周辺水域に分布する国際的水産資源について、近隣諸国間での持続的利用技術に関する調査研究として、以下の課題に取り組む。
     ・我が国周辺水域の水産資源や国際資源についての調査、海洋環境・生物中の放射性物質についてのモニタリング、野生水産生物の多様性保全のための調査等に継続的に取り組む。
 
   (エ)遺伝資源等の収集・評価・保存
    育種素材として有用な大型藻類(コンブ・ワカメ・アマノリ類)、微細藻類及び水産微生物(海洋細菌・病原体微生物)等については、収集及び継代培養や低温保存を継続するとともに、適切な特性評価を実施し,共同研究も含めて依頼等に基づいて20回以上配付する。特に、大型藻類では特性評価の基準・方法の見直しを行う。
    また、これら遺伝資源等の産業利用及び試験研究材料としての利用の促進と利便性を図るため、インターネット等を通じて公開すべき情報の基準・様式の見直しを行う。
 
   (オ)さけ類及びます類のふ化及び放流
    さけ類及びます類の個体群を維持するため、水産資源保護法(昭和26年法律第313号)に基づき大臣が年度ごとに定めるさけ・ますふ化放流計画に則り、遺伝的特性を維持するためのふ化及び放流並びに耳石温度標識等による資源状況等を把握するためのふ化及び放流を以下のとおり実施する。
    @)遺伝的特性を維持するためのふ化及び放流
    ・サケについて、地域個体群を代表する徳志別川(11,100千尾)、石狩川(30,000千尾)、西別川(25,000千尾)、十勝川(15,300千尾)、遊楽部川(7,500千尾)において、遺伝的固有性と多様性を維持するためのふ化及び放流を行う。
    ・サクラマスについて、地域個体群を代表する斜里川(600千尾)、徳志別川(500千尾)、石狩川(100千尾)、尻別川(1,200千尾)、伊茶仁川(100千尾)、標津川(200千尾)において、遺伝的固有性と多様性を維持するためのふ化及び放流を行う。
 
    A)資源状況等を把握するためのふ化及び放流
    ・サケについて、斜里川(11,600千尾)、天塩川(5,000千尾)、伊茶仁川(8,000千尾)、釧路川(9,100千尾)、静内川(6,400千尾)において、資源状況等を把握するためのふ化及び放流を行う。
    ・カラフトマスについて、常呂川(1,000千尾)、徳志別川(1,700千尾)、伊茶仁川(4,500千尾)において、資源状況等を把握するためのふ化及び放流を行う。
    ・ベニザケについて、釧路川(50千尾)、静内川(50千尾)、安平川(50千尾)において、資源状況等を把握するためのふ化及び放流を行う。
 
 3 行政との連携
  行政機関等からの依頼に応じ、行政施策の推進に必要な資源調査等を実施するとともに、行政施策上重要な各種委員会及び国際交渉等について、積極的に対応する。また、研究開発等の成果等を活用し、水産政策の立案及び推進について、科学技術的側面から積極的に助言・提言を行う。
 
 4 成果の公表、普及・利活用の促進
 (1)国民との双方向コミュニケーションの確保
   研究開発等の円滑な推進を図るため、科学技術の進歩と国民意識の乖離を踏まえ、センター及び研究者、技術者の国民に対する説明責任を明確化するため、研究所等における外部への説明体制を充実することとし、本部広報体制の強化を図る。
   新たに、経営企画コーディネーター、研究開発コーディネーター制度を導入し、これらコーディネーターが地域や関連業界、消費者等の社会的要請等を積極的に収集・把握し、それらに機敏に対応した研究開発プロジェクト等を推進する。 
   広報誌、ニューズペーパー、メールマガジン、ホームページ、成果発表会等多様な広報ツールを用いて、積極的に国民に対しセンターの研究開発やその成果等に関する情報を発信するとともに、メールやアンケート等を通じて幅広く国民の意見や要望を聴取する。 
   センターが主催する各種推進会議等を通じ、地方公共団体、民間等の試験研究機関とのネットワークをより一層強化することにより、地域や産業界等のニーズを的確に収集・把握し、それらを研究開発に反映させる。
 
 (2)成果の利活用の促進
   ア.研究開発等の企画段階から、技術や成果の受け手となる関係者の意見を取り入れ、成果の活用・普及及び事業化まで見据えた取り組みとするため、経営企画コーディネーター、研究開発コーディネーターや広報組織の活動を活発に行うとともに、重点的に推進すべき分野等につき、アンケート等の実施を検討する。
   イ.単行本やマニュアルを刊行図書として1回以上刊行する。
   ウ.主要な研究成果をマスメディアやホームページで積極的に広報する。
   エ.ホームページの年間アクセス件数15万件以上を確保する。
   オ.継続的なデータベース化を実施する。
   カ.水産資源、水産工学、経営経済及び漁場環境分野等で得られた成果を積極的に広報し、行政機関等の策定する基準・指針等へ反映すべく努める。
   キ.成果発表会を年1回以上開催する。
   ク.各研究所、支所等は年1回以上一般に公開する。
     また、さけますセンター千歳事業所構内に設置されている「さけの里ふれあい広場」(体験館・展示館)を活用し、一般に公開する。
   ケ.中央水産研究所日光庁舎では、展示施設を活用して観覧業務を実施する。
 
 (3)成果の公表と広報
   ア.得られた成果はマスメディアやホームページ、国内外の各種学術誌、専門誌、普及誌、学会等を活用して積極的に発表する。
   イ.適切なテーマを設定して、センター主催のシンポジウムを開催する。
   ウ.学術誌等の論文公表数は、年360編以上とする。また、研究報告を発行する。
   エ.技術開発業務の成果は技術報告としてまとめ、年1回以上刊行する。
   オ. 「広報誌」は年4回発行する。
   カ.「ニューズレター」は年6回発行する。
   キ.「メールマガジン」は年12回配信する。
   ク.栽培漁業に関する技術開発の成果を積極的に普及するため、センター職員及び都道府県等の栽培漁業関係者の成果を掲載した雑誌「栽培漁業技術開発研究」を刊行する。
   ケ.体験学習や職場体験又は社会見学等の教育活動に対応し、青少年の育成活動に努める。 
   コ.各種機関や一般からの問い合わせの対応を通して、研究成果の広報活動に努める。
   サ.海洋水産資源開発事業の調査で得られた結果は、調査航海終了後2ヶ月以内に取りまとめ、速やかに関係漁業者等へ情報提供する。調査報告書を8編以上発行する。
 
 (4)知的財産権等の取得と利活用の促進
   知的財産権等の取得と利活用を促進するため、本部内に知的財産マネージャーを設置するとともに、所要の規程整備を進める。
   センターが業務によって得た種々の成果のなかで、特許等として保全する必要がある場合は、迅速に出願を行う。出願した特許等はホームページによって情報開示すると共に、TLO(技術移転機関)を活用して民間への利活用を図る。出願については、費用対効果の視点からセンター承継の可否に反映するとともに、経費の必要な特許維持のうち一定期間利用許諾実績のない特許等については、センター職務発明規程に則って所有の維持又は放棄を行う。
 
 5 専門分野を活かしたその他の社会貢献
 (1)分析及び鑑定
   行政、各種団体、大学等からの依頼に応じ、他機関では対応困難な貝毒成分等の分析、赤潮プランクトン等の同定・判別、魚介類疾病の診断など、高度な専門知識が必要とされる各種分析・鑑定を積極的に実施する。
 
 (2)講習、研修等
   センターの特性を活かして企画・立案した講習会を25回以上実施し、技術情報の速やかな提供を行う。また、センター以外が開催する講習会に講師を派遣する等、積極的に協力する。人材育成、技術向上や技術移転のためにも、国内外からの研修生を積極的に受け入れる。
 
 (3)国際機関、学会等への協力
   ア.国際機関及び国際的研究活動への対応
    国際食糧農業機関(FAO)、東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC)等の国際機関への職員の派遣及び諸会議への参加等に関して積極的な対応を行うとともに、国際協力機構(JICA)等の要請に応じて、職員を専門家として海外に派遣する。
    北太平洋の海洋科学に関する機関(PICES)、天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)等の諸活動において、センターが事務局を担うなど、運営に積極的に貢献する。
    センターと外国機関との間で締結された研究協力協定(MOU)に基づき、積極的に研究交流を推進する。
    国際的研究活動を推進するため、国際共同研究、国際ワークショップ・シンポジウムを積極的に実施するとともに、国際研究集会等に職員を派遣する。
    水産庁からの委託を受けて、大型クラゲに関する国際共同調査を関係国と連携して実施する。
 
   イ.学会等学術団体活動への対応
    日本水産学会、海洋学会、水産工学会等に研究成果を報告するとともに、シンポジウム等の運営協力、論文の校閲、各種委員会・評議委員会等への委員派遣等を通じ、これら学会等の諸活動に積極的に貢献する。
 
 (4)各種委員会等
   センターの持つ高度な専門知識が必要な国内外の各種委員会等については、要請に応じて職員を推薦し、積極的に派遣する。
 
 (5)水産に関する総合的研究開発機関としてのイニシアティブの発揮
   研究開発コーディネーター等による地域連携の促進や多様な広報ツールの活用等を通じて、水産に関する総合的研究機関としてのイニシアティブの発揮に努める。
   海洋環境モニタリング情報等を収集するとともに、その結果等について各種データベースを構築し、内容の改善・充実を図りつつホームページで迅速に外部に提供することにより、データの効率的利用を促進する。
   センター及び公立試験場における水産に関する研究成果情報をデータベース化してホームページで公表し、研究成果の普及・利活用の促進を図る。
   FAOが運営する国際的な水産海洋学術データベース「ASFA」については、センターが我が国のナショナルセンターを担い、他機関の協力を得つつ我が国水産関係文献情報の登録を行う。
   地方公共団体、民間等の試験研究機関の参画を得て各種推進会議を開催することにより、これら機関との連携を強化し、研究情報の共有、研究ニーズの把握、共同研究課題の提案・検討を行う。
   必要に応じて、各種推進会議の下に部会及び研究会を設置し、地域・分野の水産に関する諸問題の解決に向けた研究開発の企画・連携・調整を行う。
 
 
 (6)「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」   (カルタヘナ法)への対応
   遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づく立入検査等について、農林水産大臣から指示があった場合には的確にこれを実施する。
第3 予算(人件費の見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画
 
 1 予算及び収支計画等
  T 平成18年度予算
(単位:百万円)

























 


区     分
 

 
センター全体
 

試験研究・技

術開発勘定

海洋水産資源

開発勘定

収入
 運営費交付金
  施設整備費補助金
  船舶建造費補助金
  受託収入
  諸収入

  計


17,396
1,607
0
4,886
2,335

26,224


14,480
1,607
0
4,886
17

20,990


2,916
0
0
0
2,318

5,234

支出
  一般管理費
  業務経費
   研究開発等経費
   開発調査経費
  施設整備費
  船舶建造費
  受託経費
  人件費

  計
 


1,098
9,145
4,357
4,788
1,607
0
4,886
9,488

26,224
 


975
4,357
4,357
0
1,607
0
4,886
9,165

20,990
 


123
4,788
0
4,788
0
0
0
323

5,234
 
 
  U 平成18年度収支計画
(単位:百万円)































 


区     分
 

 
センター全体
 

試験研究・技

術開発勘定

海洋水産資源

開発勘定

費用の部
  経常費用
   一般管理費
   業務経費
    研究開発等経費
    開発調査経費
   受託業務費
   人件費
   減価償却費
  財務費用
  臨時損失

24,494
24,494
988
8,618
3,864
4,754
4,886
9,488
514
0
0

19,273
19,273
865
3,864
3,864
0
4,886
9,165
493
0
0

5,221
5,221
123
4,754
0
4,754
0
323
21
0
0

収益の部
  運営費交付金収益
  受託収入
  自己収入
  資産見返運営費交付金戻入
  資産見返承継受贈額戻入
  資産見返寄付金戻入
  資産見返補助金等戻入
  寄付金収益
  財務収益
  臨時収益
純利益
目的積立金取崩額
総利益
 

24,494
16,762
4,886
2,335
398
99
9
5
0
0
0
0
0
0
 

19,273
13,877
4,886
17
385
99
9
0
0
0
0
0
0
0
 

5,221
2,885
0
2,318
13
0
0
5
0
0
0
0
0
0
 
 
  V 平成18年度資金計画
(単位:百万円)
























 


区     分
 

 
センター全体
 

試験研究・技

術開発勘定

海洋水産資源

開発勘定

資金支出
  業務活動による支出
  投資活動による支出
  財務活動による支出
  次年度への繰越金

28,424
23,980
4,044
0
400

20,990
18,780
2,210
0
0

7,434
5,200
1,834
0
400

資金収入
  業務活動による収入
   運営費交付金による収入
   受託収入
   自己収入
  投資活動による収入
   施設整備費補助金による収入
   船舶建造費補助金による収入
   投資有価証券の償還による収入
   その他の収入
  財務活動による収入
   無利子借入金による収入
  前年度よりの繰越金
 

28,424
24,617
17,396
4,886
2,335
3,407
1,607
0
1,800
0
0
0
400
 

20,990
19,383
14,480
4,886
17
1,607
1,607
0
0
0
0
0
0
 

7,434
5,234
2,916
0
2,318
1,800
0
0
1,800
0
0
0
400
 
 
 2 短期借入金の限度額
  中期計画に定める上限24億円(うち、海洋水産資源開発勘定については5億円)以内とする。
 
 3 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画
   −
 
 4 剰余金の使途
  中期計画に記載された計画どおりに実施する。
 
第4 その他主務省令で定める業務運営に関する事項
 
 1 施設及び船舶整備に関する計画
  施設整備計画
   施設整備に関しては、水産工学研究所における干潟環境実験設備新設その他工事他を行う。
 
平成18年度施設整備計画
(単位:百万円)






















 

内          容

予 定 額

干潟環境実験設備新設その他工事(水産工学研究所)

閉鎖循環飼育棟新築その他工事(屋島栽培漁業センター)

系群保全施設等更新工事(さけ・ますセンター千歳事業所)

餌料培養棟更新その他工事(宮古栽培漁業センター)

実験池改修その他工事(瀬戸内海区水産研究所百島実験施設)

魚類成熟生理実験設備新設その他工事(養殖研究所)

排水処理施設新設その他工事(西海区水産研究所八重山栽培技術開発センター)

種苗量産水槽上屋更新その他工事(能登島栽培漁業センター)


         計
 

196

299

250

308

230

77

124


123


1,607
 
 
  船舶整備計画
   センターの所有する船舶の老朽化等を考慮し、西海区水産研究所の陽光丸代船建造等についての検討を行う。
 
 2 職員の人事に関する計画
 (1)人員計画
   ア.方針
     人件費の効率化減を見据えた研究開発等勢力の維持・向上を図るため、経営企画部において、中期計画全般に係る人事構想を策定し、統合メリットを活かした人員配置の見直しを行う。
     また、業務量の変化に対応した柔軟な組織運営の促進を図るために、新たに人事課を設置し一元的な人事管理を行うことにより、センターの各業務部門間の人事交流を推進する。
   イ.人員に係る指標
     中期計画の円滑な推進を図るため、人件費の範囲内で人員を確保しつつ、組織の見直しを行い効率化を図る。
 
 (2)人材の確保
   応募者と採用者に占める女性割合に乖離が生じないよう努めながら優れた人材を確保するために、国家公務員採用試験合格者からの任用、選考採用及び任期付研究員任用に引き続き取り組む。また、センター独自の採用試験の実施について検討を行う。
   研究担当幹部職員については公募の実施を検討する。
更に他機関との人事交流を行うなど、関係機関と協議を進める。
 
 3 積立金の処分に関する事項
 
 4 情報の公開と保護
  独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)に基づく規程等により、適切に情報の公開を行う。
  独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)に基づく規程等により、個人情報の適切な管理を行う。
 
 5 環境・安全管理の推進
   環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(平成16年法律第77号)に基づき環境に配慮した取り組みを実施し、また17年度の環境報告書については9月までに取りまとめ、ホームページに公表する。
   労働安全衛生法(昭和22年法律第49号)に基づく規程等により、センターの各職場の安全衛生を確保する。