遺伝子解析で明らかになった大西洋メカジキの南北系群


遠洋水産研究所 企画連絡室

[連絡先]0543-36-6013

[推進会議]遠洋漁業試験研究

[専門]資源生態

[研究対象]めかじき

[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

大西洋メカジキの系群構造と系群間の境界を明らかにする。

・メカジキのカルモジュリン遺伝子座における遺伝的変異を検討したところ、2対立遺伝子(AとB)による単純な多型を発見した(図1写真)。
・遺伝子型頻度には大西洋内海域標本間で大きな偏りがみられ、北緯20度以北の標本では、AA遺伝子型が25%、ABが50%、BBが25%であった一方、北緯15度以南では、AAが最も多く80%前後出現し、ABは20%前後、BBは少なく1%程度であった(図1グラフ)。また、過去9年間にわたって南北標本間の遺伝子型頻度の差異は安定していた。
・この結果は、北緯15度から20度付近を境界として、遺伝的交流どころか個体の移動・回遊すらほとんど無い南北2系群が存在することを示している。

[成果の活用面等]

大西洋では北緯5度で区切ってメカジキ南北系群を管理しており、現在北緯5度以北で漁獲したメカジキは全数放流している。 しかし、本研究結果により、少なくとも北緯15度までは南系群に属するため放流する必要がないということを遺伝学的証拠に基づいて指摘できた。

[具体的データ]

図1

[その他]

研究担当者:張 成年
発表論文等:
Chow, S. and Nohara, K. (2002): Further implication on boundary between north and south Atlantic stocks of the swordfish (Xiphias gladius). ICCAT SCRS Report (SCRS/02/141).
野原健司・岡村 寛・中立元樹・平松一彦・鈴木伸明・岡崎 誠・張 成年 (2003): メカジキ(Xiphias gladius)の吻内部に見られる2型の生物学的検討及び大西洋南北系群間の遺伝的差異. 水産総合研究センター報告, 7: 1-13.