より簡便かつ安全な性転換雄*1の作出


岩手県内水面水産技術センター・魚病部

[連絡先]0195-78-2047

[推進会議]水産養殖

[専門]水産遺伝育種

[研究対象]さけ・ます類

[分類]研究


[ねらい・目的と成果の特徴]

・新養殖対象魚種として注目されるヒメマスの種苗および養殖生産を効率化するため、全雌魚生産技術*2を確立する。
・雄化ホルモン*3の天然水域への流出を防ぐことができる浸漬処理*4によって、ヒメマス性転換雄の作出の可能性を示した。

[成果の活用面等]

・種苗生産現場における親魚としての利用

[具体的データ]

*1 性転換雄:本来ならば雌となる個体をホルモンによって性転換させた雄。この雄を用いて受精した子供は雌しか生まれない。
*2 全雌魚生産技術:さけ・ます類の種苗生産には雄の使用量は少なく、大部分の雄が使用されないで廃棄処分している。また、雄は成熟年齢が雌に比べて低い個体が多く、大型魚の生産には雌の方が効率的になる。全雌魚生産技術は雌だけの集団を作出する技術で、雌性発生技術と性転換技術が含まれている。
*3 雄化ホルモン:雌を雄に性転換させるのに用いるホルモン。
*4 浸漬処理:ホルモンを溶かした液に漬ける処理方法。この他に餌にホルモンを混ぜる方法(経口投与)もある。

(1)浸漬処理と従来法の比較
 雌性発生魚を用い、従来法の浸漬処理(ふ化〜浮上)と経口投与(浮上〜60日間)を組合わせた区(No.2)および経口投与のみ区(No.3)の処理効果と、浸漬処理のみ区(No.1)の処理効果を比較したところ、ほぼ同じ効果が認められた(図1)。
図1浸漬処理と従来法の比較

(2)高濃度一回処理の効果
 通常交配卵(魚)を用い、高濃度のホルモン液に1回だけ浸漬する方法について、処理時期を発眼卵期(No.1)、ふ化直後(No.2)、ふ化後11日目(No.3)、ふ化後17日目(No.4)、ふ化後21日目(No.5)と変えてその効果を調べた。その結果、何れの区も処理効果が認められ、特に、発眼卵期とふ化直後に処理した区で高い効果が認められた(図2)。
図2 高濃度一回処理の効果