スケトウダラ太平洋系群の2000,2001年における生育場への加入過程


[要約]噴火湾口で孵化したスケトウダラ太平洋系群の0歳魚の,噴火湾周辺産卵場から道東海域の生育場への移動状況を2000,2001年について明らかにした。

北海道区水産研究所亜寒帯漁業資源部資源評価研究室

[連絡先]0154-91-9136

[推進会議]北海道ブロック

[専門]資源生態

[研究対象]すけとうだら

[分類]研究


[背景・ねらい]

 スケトウダラ太平洋系群の主な産卵場は噴火湾周辺であるが、そこで孵化したスケトウダラが分布域全体に生活領域を広げていく過程は不明である。本研究では,主要な索餌場である道東太平洋海域に分布するスケトウダラがどこの産卵場から来たかを明らかにし,資源評価のためのに必要なスケトウダラ太平洋系群の資源構造の解明を目的とする。

[成果の内容・特徴]

2000年と2001年の春から夏にかけて,北海道太平洋岸から東北地方三陸沿岸にかけて  計量魚群探知機とトロール操業を組み合わせたスケトウダラの現存量調査を時期をずらして各年数回実施し,各海域のスケトウダラの年齢別現存量を求めた。

2000年と2001年に生まれた両年級群は,1995年生まれの大変強い卓越年級群が親になっており,産卵量や孵化した仔稚魚の量は例年に比べて多かった。

・ 各年とも,調査の時期が春から夏に進むにつれて,スケトウダラ0歳魚の分布域が,噴火湾口部から沿岸伝いに東へ移動し,襟裳岬沖を通って道東海域へ到達する状況が示された(1)。

・ このことは,噴火湾口部で採集されたスケトウダラ0歳魚と道東海域で採集された0歳魚の孵化日の組成が一致していることや,北海道太平洋岸の漁協へのスケトウダラ0歳魚の分布聞き取り調査結果からも裏付けられた。

・ 道東海域には春先,スケトウダラ0歳魚の分布は見られず,2000年と2001年に限ってみれば,夏場に道東海域に分布していた0歳魚は噴火湾口部産卵場で産卵された卵や仔稚魚が移動、成長してきたものと考えられた。

[成果の活用面・留意点]

・ 本成果によって,スケトウダラ太平洋系群の主要な産卵場が噴火湾口部であることが確認できた。これによって,噴火湾口部産卵場での産卵状況や仔稚魚の生残状況を押さえることによって,早期に太平洋系群の資源豊度の情報が得られる可能性が高まった。

・ しかし,調査対象の20002001年級群はその主な親が卓越年級群である1995年級であることや,0歳魚の初期生残には環境からの影響も無視できないため,直ちにこの2年間の結果から,現状の太平洋系群の資源評価方法(0歳魚の主な分布域は東北海域として解析)の変更は行わない。

[具体的データ]

1 北海道太平洋岸におけるスケトウダラ0歳魚の移動


[その他]

  研究課題名:

    親潮陸棚水域における漁獲資源への加入量変動と成長過程の解明(委託プロ)

    農林水産技術会議,環境変動が生物生産力と漁業資源に及ぼす影響の解明

  研究期間:平成13年度(平成12年度−平成13年度)

  研究担当者:本田聡(亜寒帯漁業資源部資源評価研究室)

  発表論文等:

 ・ 北海道太平洋側海域におけるスケトウダラ0歳魚の分布と移動.本田聡・大島達樹・

     西村明・服部努,平成13年度日本水産学会北海道支部大会,2001

 ・ 漁業者アンケートに基づく北海道太平洋沿岸におけるスケトウダラ0歳魚の分布およ

     び移動.本田聡,水産総合研究センター研究報告2号,2001