ズワイガニおよびアカガレイの生息密度に及ぼす保護区設置の影響


[要約]細径ケーブル無人潜水機を用いて生息密度の推定を行い、保護区設置の影響を調べた。保護区における生息密度は対照となる一般海域よりも大きく、有意差が認められたので、保護区の設置がズワイガニおよびアカガレイ資源保護に効果があると考えられた。

福井県水産試験場 海洋資源部 管理研究グループ

[連絡先]0770-26-1331

[推進会議]日本海ブロック

[専門]資源管理

[対象]ずわいがに・かれい

[分類]行政


[背景・ねらい]

 福井県では、近年漁獲量の著しい減少から資源管理上重要魚種としているズワイガニの資源量を回復させるために、1985年以降ズワイガニを対象とした魚礁を雌の生息密度の高い水深250m付近に設置し、その一帯を保護区とした。

 カニ資源の研究では、これまでカニ籠やトロールによる採集調査により保護区の効果が検討されてきたが、「しんかい2000」の調査の結果から、直接観察から推定した生息密度がバイアスのかかるトロール等の採集調査による推定よりも有効である例が報告されている。

 そこで本研究では細径ケーブル無人潜水機を用いて保護区内の海底観察を行い、その結果からズワイガニとアカガレイの生息密度を推定した。また、保護区設置の影響を明らかにするために、一般海域のズワイガニとアカガレイの生息密度も推定し比較検討した。

[成果の内容・特徴]

(1)調査した保護区は若狭湾中央部の水深240〜250m付近に位置し、約3,700m四方の広さがある。その中に一辺が3.25mの立方体であるコンクリート製のズワイガニ保護礁が50基設置されている。

(2)細径ケーブル無人潜水機は母船と径約1mmの光ファイバーケーブルで繋がっており、そのケーブルを通して海底の状況を母船内で直接観察することができる。

(3)調査海域は、保護区と一般海域(保護区と同じ水深帯である若狭湾沖230〜260m付近)とした。保護区については12回、一般海域については11回調査を行った。

(4)一般海域におけるズワイガニとアカガレイの生息密度の平均は、前者が0.6(尾/100m)、後者が0.8(尾/100m)であった。一方、保護区におけるズワイガニとアカガレイの生息密度の平均は、前者が1.2(尾/100m)、後者が1.2(尾/100m)であった。

(5)ズワイガニの生息密度について、一般海域と保護区との差を検定したところ有為差があり、両者に差があることが認められた。またアカガレイにも同様の差が認められた。

[成果の活用面・留意点]

 以上の結果から、ズワイガニ保護区の設置がズワイガニおよびアカガレイ資源の保護に効果があると考えられた。よってズワイガニ魚礁の設置が、ズワイガニ資源の保護に対して有効であったことが検証された。

[具体的データ]

表1 保護区と一般海域におけるズワイガニとアカガレイの生息密度


[その他]

研究課題名:深海資源管理技術開発調査事業(県単)

研究期間:平成13年度(平成9年度〜13年度)

研究担当者:森山充、松崎賢 海洋資源部

発表論文:平成8年度福井県水産試験場事業報告書,1997

       平成9年度福井県水産試験場事業報告書,1998

       平成10年度福井県水産試験場事業報告書,1999

       平成11年度福井県水産試験場事業報告書,2000

       ズワイガニおよびアカガレイの生息密度に及ぼす保護区設置の影響 、日本水産学会誌(投稿中)