岩手県沖合における主要底魚類の資源評価


[要約]岩手県沖合における主要底魚類の現存量推定を着底トロール調査により行った。その結果、スケトウダラは2000年級群が1998年級群をやや上回る水準であること、マダラは1999年以降加入量が減少し、資源量も減少していること、キチジは1歳魚が増加したものの大型魚の減少により資源量が減少したこと、ババガレイは2000年に増加した資源量が2001年には減少に転じたことが推察された。

岩手県水産技術センター・漁業資源部

[連絡先]0193-26-7915

[推進会議]東北ブロック水産業関係研究試験推進会議

[専門]資源評価

[対象]底魚

[分類]研究


[背景・ねらい]

 漁獲傾向の的確な予測と資源管理に向けた提言を行うためには、新規加入の動向や資源動態をできるだけ早く捉え、漁業実態に反映させることが求められる。そこで、本研究は、岩手県沖合に生息する主要な底魚類の現存量を明らかにすることをねらいとした。

[成果の内容・特徴]

  1. 1999〜2001年の春季に岩手県指導調査船岩手丸(158t)を用いて岩手県沖合の水深200〜500mで着底トロール調査を行い、面積〜密度法による現存量推定を行った(表1)。
  2. 1996〜2001年の1〜2月に岩手県南部で行っている現存量推定調査に基づき、スケトウダラとマダラの新規加入量(0歳魚)の推移を求め、加入量の相対的な指標とした(図1)。
  3. スケトウダラは、2001年には2000年に卓越していた1995〜1997年級群が大きく減少した反面、1歳魚(2000年級群)が卓越し、推定された全現存尾数の74%を占めていた(表1; 図2)。2001年における0歳魚(2000年級群)の資源水準は、1999年 (1998年級群)をやや上回る水準であった(図1)。
  4. マダラは、2001年には1998年級群が資源の中心を占め、現存量では1999年以降最も低い水準であった(表1; 図3)。0歳魚の資源水準は、1998年級群をピークに大きく減少した(図1)。
  5. キチジは、データの比較可能な1999年と比べると、2001年には体長6cmを中心とする1歳魚が著しく卓越したため、尾数ではほぼ同程度の水準であったが、2歳魚以上の大型魚が減少したことから、重量では1999年の約1/2であった(表1; 図4)。
  6. ババガレイは、1995・1996・1997年級群の卓越により、資源量は2000年が1999年を上回ったが、1998年以降の年級群の加入が少なく、2001年には減少が認められた(表1)。
  7. イトヒキダラは2001年には小型魚と大型魚がいずれも著しく減少したため、現存量も大きく減少し、1999年の1/10を下回る低い水準であった(表1)。
  8. その他、2001年の現存量は、エゾイソアイナメが2000年を大きく下回り、1999年以降最も低い水準、アカガレイが1999年の約1/2の水準であった。

[成果の活用面・留意点]

  1. 調査結果により求められた現存量に基づき底魚類の資源状態と漁期後半における漁獲傾向の予測を行い、例年開催している沖底資源談話会において沖合底曳網関係者に公表している。
  2. 調査結果により求められたスケトウダラとマダラの1歳魚新規加入量は、資源評価調査事業内で行っている新規加入量調査のデータとして活用されている。

[具体的データ]

表1 春季底魚魚類現存量調査により得られた主要底魚類の推定現存量

図1 1〜2月の調査により推定されたスケトウダラ(左)とマダラ(右)0歳魚の資源尾数

図2 スケトウダラの体調組成

図3 マダラの体調組成

図4 キチジの体長組成


[その他]

研究課題名:底魚類資源の評価と管理に関する研究

予算区分:県単

研究期間:平成13年度(平成11年度〜平成17年度)

研究担当者:後藤 友明

発表論文等:

岩手県沖合域における主要底魚類の現存量推定,

東北底魚研究,19号,1999.

岩手県沖合域における主要底魚類の現存量推定結果,

東北底魚研究,20号,2000.

岩手県沖合域におけるタラ科魚類の生態特性,

日本水産学会東北支部会報,51号,2000.