常磐海域におけるマアナゴの漁業実態と生態について


[要約]常磐海域におけるマアナゴの水揚量を整理するとともに、レプトケファルスの来遊時期・変態過程、その後成長、性比、成熟等を把握した。

福島県水産試験場相馬支場・東北大学農学研究科

[連絡先]0244-38-8042

[推進会議]東北ブロック水産業関係研究試験推進会議

[専門]資源生態

[対象]マアナゴ

[分類]調査


[背景・ねらい]

 常磐海域においてマアナゴは、底びき網漁業、胴漁業、かご漁業等により漁獲され、その水揚量、水揚金額は大きく、沿岸漁業に占める産業的ウエイトは高い。

 しかし、本種の漁業実態並びに生態については、不明な点が多いため、本研究においては資源の持続的利用方法について検討するための、成長・成熟等の生態的知見の収集を行うとともに、漁業実態を把握する。

[成果の内容・特徴]

  1. 宮城、福島、茨城のマアナゴの水揚量は、近年下降傾向であり、平成12年には900トン程度まで落ち込んだ。
  2. レプトケファルス幼生は、2〜6月に福島県海域に来遊し、4月中旬には変態期に入る。
  3. マアナゴは1歳で全長30〜45p、2歳で40〜60p、3歳で50〜70pに成長する。
  4. 常磐海域には、雄はほとんど分布しない。
  5. 常磐海域においては、10〜6月に生殖腺が発達する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 常磐海域におけるマアナゴの生態的知見及び水揚量等の漁業実態が把握された。今後本種の資源管理を実施する上での、生物的データとして活用できる。
  2. 常磐海域に来遊する個体群の産卵場所は不明であり、今後、本邦における個体群の構造と産卵生態を把握する必要がある。また、福島県においてマアナゴは、そのほとんどが活魚流通するため、市場にて、全長組成を求めることは非常に困難であることから、資源診断に必要な年齢別漁獲尾数の算出に工夫が必要である。

[具体的データ]

常磐海域のマアナゴの水揚量は、年によって変動するが、近年は下降傾向であり、平成12年には 900トン程度まで落ち込んでいる。

 一方レプトケファルス幼生の水揚量は平成5年以降急激に増加している。年により、他の魚種への操業機会の大小等により水揚量は変動するが、近年では20〜30トンを記録している。なお、宮城県では資源管理面からレプトケファルス幼生の漁獲は自粛している。(図1

 福島県海域では2月〜6月にかけてレプトケファルス幼生が採集された。全長は75〜124oの範囲であった。しかしPAM*100/TMの値は、4月中旬までは70を下回る個体は見られなかったものの、4月中旬以降は30〜70といった低い値を示す個体が出現した。すなわち、4月中旬には変態期に入っている個体が生息していたことが示唆された。(表1

 常磐海域においては、1歳魚が7〜9月にかけて、全長30〜45pとなり漁獲対象資源へ加入し、翌年には全長40〜60p、その翌年には全長50〜70pまでに成長する。年齢の起算日は、Tanaka et al.,1987、Mochioka et al.,1988を参考に12月1日とした。なおサンプルは宮城県〜茨城県海域において漁獲されたものであり、現在まで確認された最高齢は13歳であった。(表2:1−3月4−6月7−9月10−12月

 常磐海域における性比は圧倒的に雌に偏っており、雄はほとんど分布しない。この結果は佐伯(2000)の報告と一致する。なお調査データは平成12年7月から平成13年6月にかけてのものである。(表3

 常磐海域においては、10月以降、各階級ともに平均GSIは増加していき、3月には6%程度になる。全長100p以下のものは4月には1%程度に低下するが、全長100p以上のものは6月まで4%以上を維持し、個体によっては、肉眼で卵粒が確認できるものがみられた。(図2

図1 常磐海域におけるマアナゴとレプトの水揚げ量の推移(宮城+福島+茨城)

表1 福島県におけるマアナゴのレプトセファルスの測定結果

表2 常磐海域におけるマアナゴのAGE−LENNGTH−KEY(上段:実数 下段:頻度)

表2−1(1〜3月)、表2−2(4〜6月)、表2−3(7〜10月)、表2−4(11〜12月

表3 常磐海域におけるマアナゴの全長階級別の雌雄別個体数

図2 マアナゴの全長階級別GSIの季節変化


[その他]

研究課題名:沿岸重要資源高度利用化調査費(福島県単独事業)

予算区分 :水産業振興費

研究機関 :福島県水産試験場相馬支場、東北大院農

研究担当者:石田敏則、片山知史