大阪湾奥海域におけるコノシロKonosirus punctatus卵の分布と環境要因


[要約]大阪湾奥でコノシロ卵分布環境要因の調査をおこなったところこれまで調査されていなかった港内水路部等で多くの卵が採集された。環境要因との関係では降雨の前後で水平分布に変化がみられ、塩分が産卵に影響を与えることが推察された。

大阪府立水産試験場 第1研究室

[連絡先](0724)95-5252

[推進会議]瀬戸内海ブロック

[専門]資源生態

[対象]他の浮魚

[分類]調査


[背景・ねらい]

 大阪府においてコノシロは巾着網の重要な漁業対象種であり、近年漁獲統計においても漁獲量で1位を占める重要種である。このように重要な魚種であるにも関わらず、本種の生態に関する知見は少なく(桑谷ら、1956など)、大阪湾では吉田ほか(1978)のものがあるのみである。

 そこで、本研究ではこれまで調査の行われていなかった大阪湾奥の港内等においてコノシロの資源変動に関わる卵の分布について知見を得ることを目的とした調査を行った。さらに周辺で行われた環境調査の結果とあわせ、環境条件がコノシロ卵に及ぼす影響について考察した。

[成果の内容・特徴]

・これまで調査の行われていなかった大阪湾奥の水路部等でコノシロ卵の分布調査を行ったところ今まで産卵場と考えられていた湾奥の大阪港前面海域に卵のないときでも港内の水路部や淀川河口内などでコノシロ卵が多く採集された。(図1)この海域は夏季には底層のみならず表層近くまで貧酸素水塊の形成がみられる海域であり(図2)、コノシロの資源変動にも影響を与える可能性が示唆される。

・卵の分布の変化をのべ5日間追跡した結果、降雨の前後で卵の分布に変化が見られた。(図1,3)コノシロは産卵期に汽水域に集まるという情報もあり、塩分の変化が卵の分布に何らかの影響を与えたことが推察される。

[成果の活用面・留意点]

 今回の結果から湾奥港内の水路部や河口内がコノシロの産卵場として利用されている可能性が示唆された。そのためコノシロの初期生態や資源の変動を把握する目的で卵稚仔の調査を行う場合、今回調査が行われたような水路部や河口内の卵量についても考慮に入れて調査を行う必要があると考えられる。また、これまでは貧酸素が漁業に与える影響を考える時、ベントスや底魚についてのみ注目されてきたが、浮魚類においても移動力の少ない卵稚仔の時期には貧酸素により影響を受ける可能性があるため注意すべきであろう。

[具体的データ]

図1 コノシロ卵の水平分布の変化

図2 溶存酸素(DO)濃度(ml/l)の分布

図3 調査時における気象の変化


[その他]

研究課題名:コノシロ生態調査

研究期間:平成11年〜13年

研究担当者:山本圭吾・辻野耕實・中嶋昌紀

発表論文等:山本圭吾・辻野耕實・中嶋昌紀(2001)大阪湾におけるコノシロの生態と資源変動.月刊海洋33(4),269-275.