光条件改良による稚ナマコ中間育成技術の効率化


[要約]稚ナマコの中間育成は、遮光ネットを用いた照度調節下で行われていたため、餌料不足が原因と思われる生残率の低下や成長不良が問題となっていた。そこで、直射日光下で餌料となる付着珪藻を十分繁殖させる飼育を試みた結果、生残率、成長ともに大きく向上した。

福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所 浅海増殖課

[連絡先]0979-82-2151

[推進会議]瀬戸内海ブロック

[専門]増養殖技術

[対象]なまこ

[分類]研究


[背景・ねらい]

 マナマコの種苗生産技術開発は多くの研究機関で行われてきたが、放流種苗の安定大量生産技術は未確立であり事業化の妨げになっている。

 従来、稚ナマコの中間育成時の餌料は天然の付着珪藻が有効とされてきたが、光を嫌う性質や紫外線による悪影響等を避けるため遮光ネットによる照度調節が行われており、このことが餌料となる珪藻の増殖を妨げて生残率や成長を低下させているものと思われた。

 そこで、餌料となる付着珪藻の増殖を促進することにより生残率や成長を向上させるため直射日光下での中間育成試験を実施した。

[成果の内容・特徴]

・餌料となる付着珪藻は直射日光下での増殖が良く、50%遮光区に比べて被服度で1.2〜1.7倍であった。(図1

・生残率は遮光率の低い方がよく直射日光下が最も良かった。(図2

・成長についても遮光率の低いほど良く放流サイズである30mm以上の個体の割合も直射日光下が最も良かった。(図3

・心配された紫外線等の影響は水面に珪藻皮膜を形成したため見られなかった。

[成果の活用面・留意点]

・付着珪藻の増殖を自然条件に任せたため天候の影響を大きく受ける可能性がある。

・水槽が深くなると底面近くの餌料不足が起こるため、生産効率が低下する。

・今回はアオナマコを使用したが市場単価の高いアカナマコに適用できるか確認が必要である。

[具体的データ]

図1 付着珪藻の被覆度

図2 2ヶ月後の生残率

図3 2ヶ月後の平均体長


[その他]

研究課題名:栽培漁業効率化推進技術開発事業(補助事業)

研究期間: H12(H10〜14)

研究担当者:福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所 江崎 恭志

発表論文等:福岡水技研報 第11号17〜20 2001