埼玉県内で発生したキンギョ0年魚大量死の原因と対策


[要約]平成9年から平成11年にかけて、埼玉県内のキンギョ養魚場で発生した0年魚の大量死の原因が、Flavobacterium columnare感染症であり、ニフルスチレン酸ナトリウム2ppmとメチレンブルー2ppmによる薬浴による治療が有効であることを明らかにした。

埼玉県農林総合研究センター水産支所

[連絡先]0480-61-0458

[推進会議]水産養殖

[専門]病理

[対象]他の淡水魚

[分類]普及


[背景・ねらい]

 キンギョ0年魚の大量死による被害は、平成10年及び平成11年が特に多く、平成10年は5月から9月にかけ、県内の主要な生産者20経営体137池で、約521万尾の魚が被害を受けた。平成11年にも、20生産者で発生が確認され、ほぼ同様の被害をもたらした。

 このため、大量死の原因究明を行うとともに、治療対策を開発した。

[成果の内容・特徴]

・病魚の初期症状は、吻端やヒレの先端が白濁し、鱗が立ち気味で落ちやすい状態であった。この後、病状が進むにつれて、体表の一部にスレなど発赤や出血が認められるようになった。さらに重症魚では尾グサレ病様となって各ヒレの欠損や出血が起こり、体表は粘液や菌塊におおわれ白点病様になる。

また、発病群の死亡経過は速く、3日間で発病群の殆どが死亡する場合が多い。

・体表患部から粘液と白濁物質をかき取って検鏡すると、長桿菌の集落が見られ、体表の患部組織から、サイトファーガ寒天培地によりFlavobacterium columnareが分離され、感染試験の結果、今回発生したキンギョ0年魚の大量死は、F. columnareの感染が原因であることが明らかになった。

・実験室内及び野外での薬浴試験の結果、ニフルスチレン酸ナトリウム2ppmとメチレンブルー2ppmによる薬浴による治療が有効であることが判明した。

[成果の活用面・留意点]

 本病は、死亡の経過が速いため異常発見後、直ちに発病池で薬浴を行うが、ニフルスチレン酸ナトリウムは日光による効力の低下が著しいため、夕方から夜にかけて薬浴するのが望ましい。このため、異常発見から夕方までの死亡の立ち上がりを抑制するため、まずメチレンブルーを池に散布し、日没後ニフルスチレン酸ナトリウムを水に溶解後、池に散布する。

[具体的データ]

表1 伝染性の確認

表2 分離した長桿菌での病気の再現と攻撃条件

表3 抗菌剤を溶かした飼育水で供試魚と同居感染(実験室での対策試験)

表4 養魚池での治療試験


[その他]

研究課題名: 温水性魚類感染性疾病に関する研究(県単)

研究機関: 平成9年〜平成11年

研究担当者: 田中深貴男、梅沢一弘

発表論文:

1)埼玉県内で発生したキンギョ0年魚大量死の原因について,埼玉県農林総合研究センター研究報告,第1号,113-117,2001

2)埼玉県内で発生したキンギョ0年魚大量死の対策について,埼玉県農林総合研究センター研究報告,第1号,119-121,2001