ニジマス全雌三倍体の効率的な生産


[要約]ニジマス四倍体雌とニジマス二倍体性転換雄との交配により作出したニジマス全雌三倍体は,温度処理による三倍体作出に比べ,発眼率の低下もなく,ほぼ100%で三倍体が確実に得られることから,大型三倍体魚効率的な生産が可能になった。

長野県水産試験場 環境部

[連絡先]0263-62-2281

[対象]水産養殖

[専門]水産遺伝育種

[対象]にじます

[分類]普及


[背景・ねらい]

 二倍体受精卵を用いた温度処理によるニジマス全雌三倍体作出法は,温度処理の影響による発眼率の低下,三倍体化率が不安定であるという問題があった。これら2点の問題の改善を図るため,ニジマス四倍体を用いたニジマス全雌三倍体作出法の確立を試みた。

[成果の内容・特徴]

・ニジマス二倍体受精卵を第1卵割阻止により四倍体を作出した。また,作出した四倍体同士の交配により,四倍体の維持が可能となった。

・ニジマス四倍体雌とニジマス二倍体性転換雄との交配によりニジマス全雌三倍体を作出出来た。また,発眼率はニジマス二倍体と同じであった。

・交配により作出したニジマス全雌三倍体の三倍体化率は,ほぼ100%であった。

・交配により作出したニジマス全雌三倍体の成長は,温度処理で作出した全雌三倍体と比べ,差が認められなかった。また,四倍体や二倍体と異なり,成熟期に成長の遅滞が見られないため,優れた成長を示した(図1)。

・交配により作出したニジマス全雌三倍体は,四倍体や二倍体に見られるような成熟に伴う死亡がなく,温度処理で作出した全雌三倍体に匹敵する高い生残率を示した。

・交配により作出したニジマス全雌三倍体の相対DNA量ならびに赤血球長径は,四倍体と二倍体の中間値を示した(図2)。

[成果の活用面・留意点]

・本成果により、ニジマス大型三倍体魚の生産効率の向上を図ることが期待出来る。

・交配により作出したニジマス全雌三倍体は,赤血球サイズの大型化に伴う酸素利用効率の低下により,低酸素に弱いと予想されることから,低密度収容や曝気による溶存酸素量の維持等の注意が必要である。

[具体的データ]

図1 全雌三倍体、全雌四倍体および雌雄混合二倍体の成長

図2 交配により作出したニジマス全雌三倍体の赤血球長径と相対DNA量


[その他]

研究課題名:地域先端技術実用化研究開発促進事業

予算区分:国費1/2

研究期間:平成11年度(平成8年度〜11年度)

研究担当者:伝田 郁夫、沢本 良宏

発表論文等:

長野県水産試験場,平成7年度地域バイオテクノロジー実用化研究開発促進事業報告書,1996

長野県水産試験場,平成8年度地域先端技術共同研究開発促進事業報告書,1997

長野県水産試験場,平成9年度地域先端技術共同研究開発促進事業報告書,1998