アユ卵の化学的消毒法の検討


[要約]ポビドンヨード製剤は,冷水病及び細菌性出血性原因菌殺菌を目的としたアユ卵表面消毒に,過酸化水素剤は,冷水病原因菌殺菌を目的としたアユ卵表面消毒に有効であると考えられた。

岐阜県淡水魚研究所・技術普及部

[連絡先]0576-52-3111

[推進会議]水産養殖

[専門]病理

[対象]あゆ

[分類]研究


[背景・ねらい]

 近年,アユ養殖業は,冷水病と細菌性出血性腹水病による大きな被害が生じており,安定したアユ人工種苗生産のための防疫対策技術の開発が望まれている。また,冷水病については,アユの卵表面から原因菌が分離されている事例が多く報告されている。そこで,アユ人工種苗生産における防疫対策,特に冷水病と細菌性出血性腹水病対策としてのアユ卵の消毒方法(アユ卵の各種消毒剤に対する安全性)について検討した。

[成果の内容・特徴]

1.供試消毒剤として,ポビドンヨード製剤と過酸化水素剤を用い,アユ受精卵をスライドガラスに150〜200粒付着させ,1時間吸水させたあと,所定濃度の消毒剤に所定時間無通気で浸漬後,飼育して発眼率を求めた。発眼卵はその後飼育を継続して,ふ化率及び奇形率を求めた。発眼卵も同様な処理を行ったあと,飼育を継続して,ふ化率及び奇形率を求めた。また,安全性の判定基準は,無処理対象区の数値の90%以上とした。

2.ポビドンヨード製剤(表1)は,冷水病原因菌では,安全濃度・時間は殺菌濃度・時間より高濃度・長時間となった。細菌性出血性腹水病原因菌では,安全濃度は殺菌濃度と同じであったが,作用時間は長時間となった。このことから,冷水病原因菌及び細菌性出血性腹水病原因菌の両方に有効と考えられた。

3.過酸化水素製剤(表2)は,冷水病原因菌では,安全濃度・時間は殺菌濃度・時間より高濃度・長時間となった。細菌性出血性腹水病原因菌では,安全濃度は,同じ時間で殺菌濃度より低濃度となった。このことから,冷水病原因菌では有効と考えられたが,細菌性出血性腹水病菌では無効と考えられた。

[成果の活用面・留意点]

活用面;アユ人工種苗生産における防疫対策。特に,冷水病及び細菌性出血性腹水病。

留意点;両病原因菌の汚染卵を用いての有効性の確認。

[具体的データ]

表1 ポビドンヨード剤の殺菌力とアユ受精卵及び発眼卵に対する安全性との比較

表2 過酸化水素製剤の殺菌力とアユ受精卵及び発眼卵に対する安全性との比較


[その他]

委託元:(社)日本水産資源保護協会「魚病対策技術開発」

研究課題名:アユの冷水病及びシュードモナス病に関する研究

予算区分:委託

研究期間:平成12年度(平成10〜12年度)

研究担当者:中居 裕

発表論文等:2001年魚病学会秋季大会口頭発表