ヒラメに対するネオヘテロボツリウムの感染実験について(追試)


[要約] ヒラメに対しネオヘテロボツリウムを感染させたところ、感染が成立し、貧血症状が進行した。また、駆虫処理したヒラメは血液性状が回復した。

和歌山県農林水産総合技術センタ− 水産増殖試験場・研究部

[連絡先]0739-22-0506

[推進会議]水産養殖

[専門]病理

[対象]ひらめ

[分類]研究


[背景・ねらい]

 1995年頃に日本海沿岸の一部で貧血症状を主徴とする疾病がヒラメに発生し、その後、本疾病は全国的に広がった。また、天然魚だけでなく養成魚(養殖魚を含む)でも確認され、ヒラメの生産に深刻な問題を投げかけている。その後の研究で、本症は単生目吸虫であるNeoheterobothrium hirameが原因であることが明らかにされた。

 そこで、現場での実用的な防除方法を開発する手始めとして再現実験を行った。

[成果の内容・特徴]

・正常なヒラメと貧血症状を示すヒラメを同一水槽に収容して飼育したところ、正常魚にネオへテロボツリウムが寄生し、貧血症状を呈するようになった(表1)。

・正常なヒラメを収容した水槽にネオへテロボツリウムの虫卵を入れたところ、正常魚にネオへテロボツリウムが寄生し、飼育日数の経過とともに貧血症状が進行した(図1)。

・ネオへテロボツリウムが寄生し、貧血症状が進行したヒラメから虫体を駆除した結果、貧血症状が回復した(図2)。

[成果の活用面・留意点]

 本研究において貧血症状を主徴とするヒラメは、ネオへテロボツリウムの寄生による失血性貧血であることが再現され、本疾病の実用的な防除方法を開発するための実験系を築くことが出来た。今後は種々の条件を設定して防除方法を開発することが重要である。

[具体的データ]

表1 同居感染実験終了時におけるヒラメの血液性状とネオヘテロボツリウムの寄生状況

図1 感染実験におけるHt.値とHb.量の推移

図2 駆虫試験におけるHt.値とHb.量の推移


[その他]

委託先:魚病対策技術開発事業

研究課題名:ヒラメ貧血症に関する研究

予算区分:受託(日本水産資源保護協会)

研究期間:平成13年度(平成10〜12年度)

研究担当者:田中俊充、竹内照文、嶋本有志

発表論文等:ヒラメネオヘテロボツリウム症に関する研究.和歌山農林水技セ研報.第3号、投稿中.