希釈海水によるガザミ幼生真菌症防除について


[要約]ガザミ種苗生産において,希釈海水(塩分濃度23.9,21.4)を用いることで,幼生期の真菌症防除できると推察された。

岡山県水産試験場・増殖班

[連絡先]0869-34-3074

[推進会議]水産養殖

[専門]病理

[対象]がざみ

[分類]研究


[背景・ねらい]

 ガザミ,ヨシエビ等甲殻類の種苗生産において,幼生に発生する真菌症は全国各地で大きな被害を与えている。これまでの真菌症防除として,ガザミ幼生では,ホルマリン浴,飼育水のpH調整等がなされている。また,ヨシエビでは希釈海水による感染率の低下が報告されており,幼生への影響が少ないと思われる希釈海水がガザミの真菌症に対して有効かどうかを調べるものである。

[成果の内容・特徴]

・ガザミ幼生(ゾエアI期)を用い,ハリフトロス属真菌の感染試験を行った。

・試験区は,塩分濃度32(全海水),28.5,25.6,23.9,21.4の5つを設けた。

・フラスコ(水量30ml)内に幼生25尾を収容,感染させる遊走子数を102/ml及び103/mlとした。

・遊走子接種後,無給餌,無通気で25℃,3日間静置し,幼生の生死,真菌の感染の有無を調べた。

・塩分濃度23.9及び21.4の試験区において,感染率,死亡率ともに低下がみられ,特に21.4の区では,全く感染が確認されなかった。

・ゾエアIII期についても同様な感染試験を行ったところ,I期と比較して全試験区で感染率が低下した。また,ガザミ幼生の塩分耐性の低下もみられた。

[成果の活用面・留意点]

・ガザミ種苗生産において,初期幼生(特にゾエアI期)の飼育期間に希釈海水(塩分濃度23.9及び21.4)を使用することで,真菌症が防除することが可能と思われる。

・ゾエアIII期に成長すると,真菌症の感染率が低下するとともに,ガザミの塩分耐性も低下すると思われるため,ガザミの成長とともに塩分濃度を海水に戻す必要があると思われる。

・ガザミ幼生に発生する真菌症の原因菌は数種類存在するため,他の菌株を用い,希釈海水の効果を確認する必要がある。

[具体的データ]

図1 ゾエア1期における感染率

図2 ゾエア1期における死亡率

図3 ゾエア1期死亡個体における感染率


[その他]

研究課題名:種苗期疾病防除研究(県単事業)

研究期間:平成12年〜平成14年

研究担当者:水戸 鼓

発表論文等:水試報告投稿予定