近赤外分光を用いたサバの「脂ののり」の迅速評価法の開発


[要約]光ファイバプローブをサバ各部表面に密着させ、得た魚体内部の反射透過近赤外分光波形を演算処理して導いた脂肪量の測定値は、従来のソックスレー抽出法と相関が高く(R2=0.91)、サバ1尾あたり30〜60秒で迅速に、非破壊で魚体表面から脂肪の測定が可能となった。本技術は市場等での原料の品質管理や製品の品質表示販売に実用化が期待できる。

岩手県水産技術センター・利用加工部

[連絡先]0193-26-7916

[推進会議]水産利用加工

[専門]品質評価

[対象]さば

[分類]普及


[背景・ねらい]

 脂ののりは魚のおいしさにコクと広がりを付与することが知られているが、脂肪量を測定するには、従来のソックスレー抽出法等では、検体を破壊し、しかも長時間を要する。そこで近年精度の著しく向上した近赤外分光光度計によりサバを非破壊で迅速定量する検討を行った。

[成果の内容・特徴]

・ 流水解凍したサバ100検体(平均体重418g)の胸鰭上部,尾部,背部の3部位(図1)にインタラクタンス型プローブを密着させて測定した(波長400nm〜1100nm,32回)。

・ 測定値を平均演算したのち、2次微分による波形処理を行い、線形重回帰により、検量線作成用試料50検体と検量線評価用試料50検体に分けて解析した。

・ 精度検証及び検量線を作成するにあたっては、従来法による分析を行い、1検体あたり水分および脂肪をそれぞれ2回測定し平均値を算出し比較した。

・ 試料は従来法で脂肪が1.7〜14.8%,水分が62.9〜73.0%の範囲であった。

・ 本法による3部位の脂肪測定のうち、背部が最も相関が高かった。(図2図3(3)

・ また背部の検量線は精度がよく(図3(3)、SECとSEPが近似値、Biasが0に近い)、サバを短い測定時間で(従来6時間→5分/6検体)、かつ非破壊で計測することが可能となった。

[成果の活用面・留意点]

 これらの技術は、農産物では、メロンやスイカ等に認められるように、本法による測定結果を表示することにより品質保証として地場産品の信用を高めるための一つの手段となっている。水産物においても既にカツオ、マグロ、アジ、サケフィレ、海苔、カマボコなどで水分、脂肪等の分析が検討され、市場等での原料の選別や品質管理、水産製品の個別成分表示による品質保証に応用が期待されている。しかし、水産物においては産業的展開が図られた事例が未だ少ない。水産業界の多くを占める小規模な生産現場を考慮し、今までの知見や本事例に加えて、多種多様な原料に対応した汎用性の高いソフト技術開発、使いやすさ、機器のコスト的な改善が必要である。

[具体的データ]

図1 サバの近赤外分光測定部位

図2 サバ背部の従来法による粗脂肪分析値と近赤外法による計算値との相関関係

表1 各部位の測定結果から得られた検量線の精度の比較


[その他]

研究課題名:地域水産加工技術高度化事業(補助事業)

研究期間:平成13年度(平成10年度〜14年度)

研究担当者:上田智広、岩手県水産技術センター

発表論文名:平成12年度地域水産加工技術高度化事業報告書(2001)