小型ペヘレイの鱗の簡易除去法の開発


[要約] ペヘレイを加工原料として利用するうえで障害となっている鱗の簡易な除去法を開発して、その効果をみるため甘露煮の試作試験を行った。

 鱗の除去は、洗浄用の小型ステンレス製カゴを冷水中に浸し、魚を網面に擦るように攪拌する方法が、除去率90%以上、かつ魚体の損傷も少なく最も効果的であった。試作品の甘露煮は、鱗の違和感がなく高い評価が得られた。

茨城県水産試験場・利用加工部

[連絡先]029-262-4176

[推進会議]水産利用加工

[専門]加工流通技術

[対象]他の浮魚

[分類]普及


[背景・ねらい]

 近年、霞ヶ浦ではペヘレイが自然繁殖し、漁獲量が年々増加している。ペヘレイの肉質は、白身魚としての優れた特性を備えているものの、鱗が魚体の割に大きく固いという難点がある。漁獲さたペヘレイは、魚体の大きいものはフライ素材等として利用されているが、小型のペヘレイ(全長15cm以下)は、鱗が障害となって、殆ど利用されず廃棄されていた。

 霞ヶ浦周辺では、古くから小魚を利用しての佃煮や甘露煮等の製造に携わる業者が多く、その加工技術を小型ペヘレイにも活用したいと望んでいる。このため、この小型ペヘレイの有効利用を図るために、業者が新たな投資をしないで簡易に鱗の除去ができる方法を開発して、甘露煮等の新たな加工素材として利用できないか検討を行った。

[成果の内容・特徴]

 供試魚は、平成11年から平成12年に霞ヶ浦で漁獲された小型ペヘレイ(全長8〜15cm、体重7〜25g)の解凍魚で、1試験区1kg程度の量で実施した。また残存鱗数の測定は各試験区ともに10尾を用いた。

(1) 鱗数について

 鱗除去前の供試魚の片面の鱗数を推計(側線鱗数は平均58.5枚、上方鱗数は平均6.5枚、下方鱗数は平均11.3枚)すると平均1,040枚であった。一方、供試魚の片面の鱗数の実測値は平均530枚(374〜726枚)で、既に50%程度の鱗が剥がれていた。鱗が剥がれている部位は、いずれの魚体も背鰭から頭部にかかる部位と魚体中央部位に多く見られる特徴があり、漁獲時の網ずれ等により剥がれたものと思われる。

(2) 手法別の鱗除去効果と魚体損傷状況

 手法別にみた鱗除去試験結果を表1に示した。鱗除去率は、カゴ使用区(II・III区)とカゴ無使用区(IV・V区)では前者が高く、その理由としては網面と魚体との接触頻度が高いためと思われた。また、カゴ使用区は、カゴに冷水が1/3満たされ試験区(III区)と全体に満たされた試験区(II区)では、前者が99.8%の除去率であったのに対し、後者は96.0%とやや低い結果となった。これは、前者が冷水が少なかったため攪拌の際の水の抵抗が少なかったため、より強く魚体と網面との接触がなされた結果と思われる。一方、魚体の損傷状況は、逆に鱗の除去率が高いほど魚体の損傷も大きいという結果となった。攪拌時間を一律に10分間としたが、長すぎた面があった。

(3) 作業時間別除去効果と魚体損傷状況

 前述の手法別で鱗除去効果の高かった試験区(III区)について、作業時間を2、4、5、6、8分間の5試験区を設定し、鱗除去率と魚体損傷状況の変化を追跡した。

 鱗の除去は、攪拌時間4〜5分間までは除去率(4分で86.4%、5分で92.7%)が直線的に増加するが、それ以後、緩やかになることが観察された。一方、魚体損傷状況(表2)は、4〜5分間が経過する時点から腹部の損傷や目立った尾鰭の欠落がみられるようになり、以後次第に損傷の程度が進行することが目視された。以上の結果から、5分間の攪拌時間が最も適当と判断された。

(3) 甘露煮の試作結果

 試作した甘露煮について、一部の試食者からワカサギ甘露煮に比べ、「やや出来上がりが固い」との意見があったが、「鱗の違和感は感じられない」「出来上がりの形状も良い」といった、意見が多く寄せられ好評であった。

[成果の活用面・留意点]

 解凍魚で上述した成果が得られ、霞ヶ浦北浦周辺の業者に技術講習会等の場で普及に努めている。今後は、生鮮魚での効果を検討する必要がある。

[具体的データ]

表1 手法別に見た鱗除去及び魚体損傷状況結果

表2 作業時間別魚体損傷状況


[その他]

研究課題名:加工技術開発試験

予算区分:県単事業

研究期間:平成11年〜12年

研究担当者:蔀 伸一・杉山豊樹

発表論文等:蔀 伸一・杉山豊樹(2001).小型ペヘレイの鱗(ウロコ)の簡易除去法の開発 茨城県水産試験場研究報告書.39.