サメ肉からの乾燥珍味の開発


[要約] ヨシキリザメの肉を原料として、乾燥珍味の開発を行った。サメ肉は、ヨシキリザメに限らず、尿素を含んでおり、肉の貯蔵及び加工中に細菌の作用によって尿素から臭気物質のアンモニアを生じる。そこで、サメ肉からの尿素の除去方法について検討し、高品質な乾燥珍味を作るためには、冷水中にサメ肉を静置することで、尿素を除去し、水溶性タンパク質を保持する水さらし法を確立した。

千葉県水産研究センター流通加工研究室

[連絡先]0470-43-1111

[推進会議]水産利用加工

[専門]加工流通技術

[対象]さめ

[分類]普及


[背景・ねらい]

 千葉県では、県南の房総地域でウマヅラハギを原料とした乾燥珍味が特産品として生産されてきたが、原料不足のため生産量が減少し、これに代わる乾燥珍味原料を求められていた。一方、ヨシキリザメなどのサメ類は、フカヒレ原料として漁獲されているが、肉の利用度が低下し、新たな製品開発が望まれていた。サメ肉を原料とした乾燥珍味の開発には、乾燥中に発生するアンモニア臭が障害となった。

 そこで、サメ肉においてアンモニア発生の原因となる尿素を除去する水さらし法を確立し,サメ肉乾燥珍味の製造技術開発を行う。

[成果の内容・特徴]

成果の内容 サメ肉の尿素は、水さらしによって容易に除去できたが、強力な水さらしでは水溶性タンパク質が流出することが判明した。水溶性タンパク質を失ったサメ肉で製造した乾燥珍味は、肉質が硬く、商品性が低かった。そこで、サメ肉から、尿素を除去し、水溶性タンパク質を残すため、両者の水への溶解性の差を利用する水さらし方法を開発した。開発した水さらし法は、サメ肉をフィレーの状態で5℃以下の5倍量以上の冷水中に静置し、これを3回行う。水さらししたサメ肉は、任意の大きさに切断し、以降はウマヅラハギ乾燥珍味と同様な方法で加工し、製品とする。

成果の特徴 乾燥珍味の製造に当たり、サメ肉に含まれる水溶性タンパク質保持しながら尿素を除去する水さらし技術を開発した。本水さらし法は、特殊な加工器具を必要としないため、零細な乾燥珍味製造業者においても簡単に導入できる。このため、従来からウマヅラハギ乾燥珍味を製造していた加工業者が直ぐに取り組める。

 また、ウマヅラハギ乾燥珍味では、原料に生鮮魚を使用していたため、生産が漁獲に左右され計画的に行えなかった。これに対し、サメ肉乾燥珍味は、水溶性タンパク質の効果により、凍結品も原料として使用が可能である。サメ肉は、フカヒレ生産地において相当量が凍結された在庫があるため、この乾燥珍味は計画生産が可能である。

[成果の活用面・留意点]

 サメ肉は、皮のないフィレーで凍結された在庫があり、乾燥珍味加工業者は特別な設備を導入しなくてもこれを利用すれば製品化が可能である。このため、本成果は早期に活用され、サメ乾燥珍味は商品化されると考えられる。

 今後、サメ肉を乾燥珍味としたときの歩留りを高くするため、腹部肉及び血合肉の処理方法を検討する余地がある。

[具体的データ]

図1 水さらしによる尿素含量の変化

図2 水さらしによる尿素と水溶性タンパク質の変化(3℃)

図3 水さらしによる尿素と水溶性タンパク質の変化(15℃)


[その他]

研究課題名:サメ肉を利用した乾燥珍味の開発

研究期間:平成13年度

予算区分:県単

研究担当者:滝口明秀、小林正三

既発表論文:なし