酵素分解法によるイワシエキスの製造法の開発


[要約]煮干し加工に適さない油の乗ったカタクチイワシプロテアーゼペプチダーゼを用いて分解し、真空濃縮してイワシエキスを製造した。イワシエキスの遊離アミノ酸を測定し、調味素材として利用できる可能性が得られた。

長崎県工業技術センター・応用技術部・食品・バイオ科

[連絡先]0957-52-1133

[推進会議]水産利用加工

[専門]加工流通技術

[対象]いわし

[分類]研究


[背景・ねらい]

 長崎県は煮干しの生産量が日本一多く、優良な特産品として全国に出荷している。煮干しの原料となるカタクチイワシは冬場にかけて油が乗り、煮干しの原料としては適さなくなる。油の乗ったイワシは煮干しに加工しても油が多いと保存中に油焼けを起こすことから、等級外の製品として安い価格で取引されている。煮干し加工業者はこれらの油の乗ったカタクチイワシの付加価値を上げた製品を開発し、少しでも収入を上げたいと思っている。そこで油の乗ったカタクチイワシの全魚体をプロテアーゼ及びペプチダーゼで分解し、濃縮して調味素材となるイワシエキスを製造する試験を行った。

[成果の内容・特徴]

1.カタクチイワシを煮沸、蒸し、加圧など、加熱方法を変えて処理し、イワシ魚体に含まれる油分の除去率を調べた。その結果、煮沸30分処理で油分の除去率は70%と最も高かった。

2.プロテアーゼP((株)天野製)とサカナーゼ((株)わかもと製薬製)を選択してイワシ肉身の酵素分解試験を行った。pH、酵素添加量及び反応温度を一定にして反応時間や酵素添加量を変えて蛋白可溶化率を求めた。その結果、プロテアーゼPに較べ、サカナーゼの蛋白可溶化率がわずかに高いことが分かった。

3.プロテアーゼによる1次分解液を調製後、フレーバーザイム((株)ノボザイム製)を用い、2次分解を行った。その結果、pH6.30、エキス分3.2%、蛋白回収率93%、蛋白分解率52.1%のイワシエキスが得られた。

4.フレーバーザイムで調製した2次分解液を真空濃縮機で濃縮してイワシエキスを調製した。得られた濃縮イワシエキスには遊離アミノ酸が4,000mg含まれていた。

5.以上のように、酵素製剤を用いた1次分解並びに2次分解を行うことによって、効率的にカタクチイワシエキスを製造できることが明らかになった。

[成果の活用面・留意点]

1.今回の試験の結果、酵素を利用してイワシエキスが効率よく製造できることから煮干し原料に使えないカタクチイワシの有効な利用ができる。

2.エキス原料としてイワシエキスの呈味性をさらに向上させる工夫が必要である。

3.イワシエキスを用いためんつゆやだしの素といった調味料の試作を行い、商品化を進める必要がある。

4.カタクチイワシエキスの付加価値向上のため、生理的な機能性を付与するための検討が必要である。

[具体的データ]

表1 カタクチイワシの処理条件と油分の除去率(%)

表2 プロテアーゼ添加量と蛋白可溶化率

表3 2次分解液と濃縮エキスの性状


[その他]

研究課題名:イワシエキスの機能性評価と調味素材化に関する研究

研究期間 :平成13年〜15年

予算区分 :県単

研究担当者:松竹寛康、前田正道