福島県裏磐梯の湖沼河川におけるコクチバスの食性


[要約]福島県裏磐梯の湖沼およびその流入河川に生息するコクチバスをもとに食性に関する知見を得た。のものはカゲロウ、トンボ類の幼虫をはじめとする水生昆虫類を、流入河川のものはカジカ、ヤマメ等の魚類を重要な餌料生物としていた。

福島県内水面水産試験場調査部

[連絡先]0242-65-2011

[推進会議]内水面

[専門]資源生態

[対象]

[分類]調査


[背景・ねらい]

 近年、新たな移入種として分布を広げているブラックバス類の一種であるコクチバスは、原産地の知見によると冷水性で流水域でも生息可能とされている。このことからオオクチバス以上に河川等の内水面生態系への悪影響が懸念される。福島県裏磐梯の湖沼および流入河川において生息するコクチバスの調査を実施し、その生態に関する知見と実態の把握を目的とした。

[成果の内容・特徴]

 コクチバスは調査地である秋元湖のほか檜原湖、小野川湖など裏磐梯の主要な湖沼に広く分布している。これらの流入河川においては檜原湖の3河川、秋元湖の1河川で生息が確認されており、河口から最長で1500m上流まで目視確認されている。湖については秋元湖にて4〜11月の各月サンプリングを実施した。流入河川については、8〜9月に檜原湖および秋元湖の流入河川でサンプリングを実施した。

・秋元湖のコクチバスは、調査期間を通じてカゲロウ、トンボ幼虫を主体とする水生昆虫類をもっとも重要な餌生物としていた。また、捕食される魚類や陸生生物については季節性が認められた(表1)。

・檜原湖および秋元湖の流入河川で採捕されたコクチバスの胃内容物からは、カジカ、ヤマメなどの渓流魚が多くみられ、魚類がもっとも重要な餌生物であった。

・湖と流入河川の同時期、同サイズのコクチバスで被捕食生物の種類や種別の重要度指数を比較したところ差が認められた(表2)。

・秋元湖と裏磐梯湖沼流入河川の同時期、同サイズのコクチバスで肉質重量をもとにした肥満度を比較したところ河川のものが肥満度が高く有意差が認められた(表3)。このことから流入河川への侵入後ある程度の期間滞留し、摂食活動していたと推察される。

[成果の活用面・留意点]

 社会的問題となっている外来魚の基礎知見として、一般に情報を提供するとともに今後の調査研究や対策の参考になると考えられる。

[具体的データ]

表1 秋元湖のコクチバスの餌料生物重要度指数(H13.5〜9)

表2 流入河川のコクチバスと湖のコクチバスの餌料生物重要度指数

表3 流入河川のコクチバスと湖のコクチバスの肥満度


[その他]

研究課題名:外来魚対策研究

予算区分:

研究期間:平成13年〜15年

研究担当者:成田 薫・渋谷武久