腸溶性マイクロカプセルに内包させたアユ冷水病ワクチンの経口投与法の効果


[要約]アユ冷水病ワクチンを腸溶性マクイロカプセルに内包して経口投与した群と、ワクチンを配合飼料に吸着させて経口投与した群の血中凝集抗体価を測定した。前者の群一部に抗体価の上昇が認められた。

神奈川県水産総合研究所内水面試験場

[連絡先]042-763-2007

[推進会議]内水面

[専門]病理

[対象]あゆ

[分類]研究


[背景・ねらい]

・ アユ冷水病ワクチンの投与にあたっては、種々の方法で行われているが、現在では注射法が最も有効であるとされている。しかしながら、注射法は手間がかかるうえに、魚に与えるストレスも大きく稚魚には使いにくいことなどから、簡易な投与法の開発が求められている。

・ 経口投与法は、一度に多くの魚を処理できるうえ、ストレスを与えない最も簡易な方法であるが、胃液の消化作用によりワクチンが変性するため効果が低いとされている。

・ そこで、ワクチンを胃で溶けず、腸で溶ける性質のカプセルに内包すれば、ワクチンが効率よく腸から吸収され、効果を発揮すると考えられることから、アユ冷水病ワクチンを腸溶性マイクロカプセルに内包し、平均体重14.8gのアユに経口投与した。

[成果の内容・特徴]

・ 所定量(0.1g/尾)の冷水病ワクチンを配合飼料に吸着させ、試験開始初日と2週目の2回経口投与した対照区においては、2週及び4週経過後ともに血中抗体価の上昇は認められなかった。

・ 一方、冷水病ワクチンを腸溶性マイクロカプセルに内包させて、対照区と同様のインターバルで経口投与した試験区においては、試験開始2週経過後では抗体価の上昇が認められなかったものの、4週経過後では5個体中2個体に抗体価の上昇が認められた。

・ 以上より、腸溶性マイクロカプセルを用いたアユ冷水病ワクチンの経口投与は、ワクチン投与方法として有望であると考えられた。

[成果の活用面・留意点]

・ 簡易なワクチン投与法の開発により、ワクチンの普及推進が期待される。

・ 魚類への新しいワクチン投与法として、他種ワクチンへの応用も期待される。

・ ワクチンの効果について、攻撃試験による実践的な有効性を評価する必要がある。

・ ワクチンのより効果的な投与量、投与回数など検討する必要がある。

[推進会議]

表 ワクチン投与前およびワクチン投与後14日目と28日目のアユの血中凝集抗体価


[その他]

研究課題名:魚病対策技術開発研究(魚病対策技術開発研究推進事業:(社)日本水産資源保護協会)

予算区分:受託研究費

研究期間:平成12年度(平成11〜13年度)

研究担当者:原日出夫

発表論文等:神奈川県水産総合研究所研究報告第6号