産業連関表等を用いて明らかにした人工魚礁等の間接的な効果


[要約]人工魚礁は、本来の水産資源の蝟集・維持・増大等の直接的な効果の他に、間接的効果として他産業への波及効果や漁業管理意識の向上、消費者等への間接的な経済・社会的効果があり、これらを産業連関表消費者余剰から定量的に示すことが出来る。

中央水産研究所 経営経済部 漁業経営研究室

[連絡先]045-788-7672

[推進会議]中央ブロック

[専門]水産経済

[対象]魚類

[分類]行政


[背景とねらい]

 水産基盤整備等の施策によってもたらされる経済的効果には直接効果と間接効果があり、人工魚礁は、本来の水産資源の蝟集・維持・増大等の直接的な効果の他に、他産業への波及効果、消費者等への間接的な経済・社会的効果がある。

 人工魚礁(角形魚礁等の組み合わせによる増殖場造成等も含む)は,多くの間接的効果が知られているが、本研究では他産業への波及効果、消費者等への経済・社会的効果を定量的(この研究では貨幣的尺度に置き換えるの意)に明らかにし、経済・社会的により効果ある人工魚礁等整備の推進に資する。

[成果の内容・特徴]

1) 波及効果の事例として、(1)人工魚礁等を利用するズワイカニ漁業(鳥取県、福井県、石川県)、(2)人工魚礁利用の一本釣り漁業(愛媛県三崎漁協、島根県浜田市漁協、福島県相馬地区イケベ漁)で、産業連関表を利用した直接効果、1次波及効果、2次波及効果を表1に示した。今まで産業連関表を用いた個別の漁業での計量はなかったが、本研究では経営データ等の活用、計算プログラムをエクセルのVBAを用いて作成することによる自由度の増加で、対象漁業は限られるが(検討の対象とした3/4以上はデータの不足等で計量が出来なかった)計量が可能となった。漁業への直接効果を1とした時、1次波及効果は0.18〜0.30、2次波及効果は0.22〜0.45であった。

2) 人工魚礁等を設置することによる水揚げ量の増大に伴う魚価の低下の消費者への効果の変化が考えられるが、これを消費者余剰の変化と仮定し計量化を試みた。いくつかの仮定をおいて消費者余剰を人工魚礁等の設置によるズワイガニで計量し、表2−1、表2−2に示した。人工魚礁等の設置による直接効果との比率は0.29〜0.69であった。

[成果の活用・留意点]

 行政、地方自治体、漁協等の沿整の担当者が、人工魚礁等の漁業施策の経済・社会的な直接・間接効果及び費用対効果等を計量する際の定量分析手法を事例とともに提供。

[具体的データ]

表1 平成7年度の産業連関表から求めた人工魚礁の直接効果、1次波及効果、2次波及効果

表2-1 人工魚礁等設置によるズワイガニの消費者余剰の変化分(千円)

表2-2 直接効果を1とした時の消費者余剰変化分の率


[その他]

研究課題名:漁場整備に係わる簡便でローコストな事前・事後評価手法の開発

予算区分:委託プロ(水産基盤整備)

研究期間:平成13年度(平成13〜15年度)

研究担当者名:中西 孝

発表論文等:中西孝・玉置泰司・松浦勉 、人工魚礁のもたらす間接的な経済・社会的効用の解明、平成12年度人工礁漁場造成事業効果調査担当者会議資料、2001。

        中西孝、漁獲量増大に関する施策の経済的評価―漁場造成を事例として、地域漁業学会第43回大会一般報告報告要旨集、pp.30、2001。