東京湾のシャコ資源の不漁原因の解明


[要約]1992年以降の東京湾シャコ不漁の要因として、4−5月産卵群の資源水準の低下があげられた。一方、漁獲努力量の水準は低下しておらず、従来からの資源管理の実践に加えて、新たな管理対策の必要性が示された。

神奈川県水産総合研究所 資源環境部  

[連絡先]0468-82-2313

[推進会議]中央ブロック

[専門]資源評価

[対象]他の甲殻類

[分類]調査


[背景・ねらい]

 東京湾の小型底びき網漁業にとって、シャコ資源は生産額の80%以上を占める最重要資源であり、従来から先進的な資源管理対策が実践されてきたが、1992年以降低水準の漁獲が継続しており、漁業経営上重大な問題となっている。この原因を解明するとともに、現時点で必要な資源管理対策について検討する。

[成果の内容・特徴]

 東京湾のシャコ資源は、4−5月産卵群と7−8月産卵群とから構成されている(大冨ら、1988)。1992年以来、4−5月産卵群に由来するシャコ浮遊幼生の採集量は7−8月産卵群に由来する幼生の採集量より少なく、中田(1986)の示した好漁期の浮遊幼生の採集パターンと異なっていた。また、標本船調査結果に基づく銘柄別CPUEの変動傾向からみて、1992年以降4−5月産卵群に由来すると考えられる資源の加入水準が低下していることが示された。これらのことは、シャコの不漁の原因として、4−5月産卵群の資源水準の低下があげられることを意味している。また、これまでの漁獲量の変動からみて、シャコ資源には長い周期の変動があることが示唆された。一方、漁獲努力量の水準は不漁期になっても低下しておらず、特定漁場への集中度の増大がみられ、資源に悪影響を与えていることが懸念された。現在実践されている小型シャコの混獲回避に一層努めるとともに、4−5月産卵群の産卵量の確保のための漁獲努力量の制限や禁漁区の設定などが現時点で必要な管理対策であると考えられる。また、小型底びき網の漁業経営として、シャコ資源に高度に依存している現状を見直す必要があると考えられる。

[成果の活用面・留意点]

 業界に対する、成果の説明・普及を図るとともに、指導普及部門と十分連携をとって、新たな資源管理対策を導入する必要がある。

[具体的データ]

図 新規加入資源(銘柄マル中)のCPUEの変動


[その他]

研究課題名:東京湾のシャコ資源の管理に関する研究、複合的資源管理型漁業促進対策事業

予算区分 :国庫補助事業

研究期間 :平成11〜15年度

研究担当者 : 清水詢道

発表論文等:東京湾のシャコの産卵期について.Nippon Suisan Gakkaishi 54(11) 1988

        東京湾のシャコ資源について.神水研研報第7号、2001 (投稿中)