土佐黒潮牧場ブイ漁獲効果調査


[要約]平成12年4月現在高知県沖に10基稼働中の土佐黒潮牧場ブイ(以下「黒牧ブイ」と略す)の年間(1〜12月)漁獲効果について、標本漁船の操業日誌や利用漁業者からの聞き取り調査等により推定した結果、全ブイの合計漁獲金額は約3億3千万円であることが判明した。

高知県水産試験場 漁場環境科

[連絡先]088-856-1175

[推進会議]中央ブロック

[専門]水産土木

[対象]まぐろ・かつお

[分類]調査


[背景・ねらい]

 昭和59年に全国初の鋼製大型浮魚礁として黒牧1号ブイが土佐湾中央部の水深550mの地点に設置され、平成12年4月現在では17号ブイまでが設置されている(1〜5号及び7号ブイは回収済み)。黒牧ブイは耐久性が高く、カツオ、マグロ類に対する蝟集効果が大きいことなどから漁業者の評価は極めて高く、高知県における今後の沿整事業の最重点事業とも位置づけられている。黒牧1号ブイ設置以来、高知水試では浮魚礁によるカツオ・マグロ類等高度回遊魚の漁場造成手法に関する参考資料を得ることを目的として漁業者による黒牧ブイの利用と漁獲に関する調査を毎年続けてきた。 

[成果の内容・特徴]

(1)平成12年は前年末から厳冬期の1月にかけて例年になく13号ブイでカツオの集魚が見られ、出漁前の19トン型カツオ船団を出し抜いた形で土佐清水在港の安芸船団所属船や下ノ加江の5トン級船等少数の小型カツオ船が好漁であった。また、1月末から3月にかけては土佐湾で、この時期としては過去に例がないほどのカツオの好漁場が形成され、近海カツオ船、19トン型船、5トン級小型漁船等が入り乱れてのカツオ竿釣り漁が活況を呈するなど特異現象の続いた一年となった。

(2)黒牧ブイは「沿岸域にカツオの餌となるイワシ類が多いとブイへの魚の付きは悪い」という漁業者の指摘どおり、土佐湾にカタクチイワシ等餌料魚の多かった平成12年春季は足摺沖の13号ブイを含め黒牧ブイは全く不振であった。特に、設置以来毎年安定して2〜3億円の漁獲を上げてきた13号ブイも春季の不振や魚価安もあり、平成12年は1億円程度の漁獲にとどまった。

(3)平成12年は例年黒牧ブイでの漁獲のピークが見られる4〜6月に黒牧ブイでの集魚がほとんど見られなかったことに加え、黒牧ブイでの漁獲が比較的順調であった9〜10月も魚価安が影響し、ブイ10基による合計漁獲金額は約3億3000万円(前年の9基による5億5600万円の59%)、ブイ1基当たりの平均漁獲金額は3300万円(前年6200万円の53%)にとどまった。

(4)足摺沖の13号ブイは1基で約1億円の漁獲を上げ、ブイ別漁獲金額1位の座を保ったが、漁獲金額としては前年の約3億円の3分の1にとどまり、全ブイ合計漁獲金額に占める比率も前年の54%から31%に低下した。

 13号ブイの連年の卓越した漁獲効果については設置位置がいわゆる黒潮流縁辺部にあたることや、陸棚斜面上の湧昇域でもあること等が要因となっているものと考えられる。

 また、西部海域では沖ノ島沖の11号ブイや、豊後水道沖のえひめ1号ブイでの好漁獲が目立った。

[成果の活用面・留意点]

 本調査による成果は浮魚礁設置事業の費用対効果を算定する際や、今後高知県沖合において浮魚礁を効果的に配置するための基礎資料として利用できる。

[具体的データ]

図1 高知県沖土佐黒潮牧場ブイ設置位置

図2 平成12年漁業種類別・黒牧ブイ別漁獲金額


[その他]

研究課題名 :土佐黒潮牧場ブイ漁獲効果調査

予算区分:県単

研究期間:昭和60年度〜

研究担当者:上岡一兄(S60〜63)、篠原英一郎(H1〜3)、浜田英之(H4、10〜12)、 中島敏男(H5〜9)

発表論文等:高知県水産試験場事業報告(平成4年度〜)