室戸海洋深層水取水に伴う迷入生物


[要約]「海洋深層水取水管」迷入してくる生物の実態を調べた。「海洋深層水」1t当たりの大型生物の密度は0.01gだった。小型・中型生物の密度は1t当たり1860個体で、ほとんど円心目の珪藻によって占められていた。

高知県海洋深層水研究所

[連絡先]0887-22-3136

[推進会議]中央ブロック

[専門]飼育

[対象]飼育施設

[分類]調査


[背景・ねらい]

「海洋深層水」の取水設備の管理を円滑に行うためには、取水に障害をきたすおそれのある迷入生物の実態を把握することが必要である。また、迷入生物の中には利用価値の高い生物が含まれていることも考えられる。高知県海洋深層水研究所で取水している「室戸海洋深層水」(以下深層水)中の生物に関する調査を行った。

[成果の内容・特徴]

・2000年4月24日から2001年3月1日の312日間、深層水取水管(取水口の水深320m並びに344m)に設置されているストレーナ(目合い1cm)を1日1回ずつ点検した。ここで採集した生物を大型生物(全長28〜700mm)とし、種と湿重量を記録したところ、5動物門21種の生物が確認された(表1)。富山県で取水されている深層水取水管に迷入してくる魚類(1998小谷口)とは大きく種が異なっていた。大型生物の総重量は3,980.3gで、密度は0.01g/t程度と推定された。ストレーナの目詰まりを起こす危険性の高い生物として、トガリサルパなどが確認された。

・プランクトンネット(目合い45μm)で採集した生物を小型・中型生物(全長82.3〜1120.5μm)とし、種と個体数を記録した(表2)。小型・中型生物の採集は、1998年10月12日から12月22日の期間中、24回行った。個体数の94.4%は珪藻類が占めた。深層水中にも低密度ながら植物プランクトンが存在することが明らかになった。甲殻類では橈脚類、蔓脚類のノープリウス幼生が多く見られた。甲殻類および珪藻の出現個体密度の変化を示した(図1図2)。出現密度は採集日ごとに大きく変動した。

[成果の活用面・留意点]

 生物の密度は低かったが、迷入が全くないわけではないので、ストレーナーの日常点検などの対策は必要かつ重要である。今回の調査で確認された生物には、今のところ有用性は認められないが、多様な動植物プランクトンが出現したことから、今後、有用生物の培養株を得られる可能性がある。

[具体的データ]

表1 深層水中の大型生物

表2 深層水中の小型・中型生物

図1 甲殻類出現密度の変化

図2 珪藻


[その他]

研究課題名:外洋性新餌料開発試験

予算区分:県単

研究機関:平成13年(平成9〜12年度)

研究担当者:林 芳弘、森山 貴光

発表論文等:なし