大型クラゲ情報(第3報)
独立行政法人水産総合研究センター
1.大型クラゲの出現状況
日本-中国間を航行する国際フェリーを使った目視調査により、8月20~23日の間、中国・青島沖の黄海中央海域(北緯35~36度、東経120~125度)において、少数の大型クラゲの出現を確認しました。また、8月17日と8月20~21日には黄海及び東シナ海北部海域でごく少数の大型クラゲが目視されました。さらに、8月23日には日本-韓国間を航行する国際フェリーの目視調査でも、今年度初めて対馬海峡東水道で大型クラゲの出現を確認しました。
一方、対馬近海~山陰西部の日本海海域において、日本海沿岸関係県の調査船および民間用船による大型クラゲ分布調査を実施していますが、現在までのところ、大型クラゲは出現していません。
以上のように、現時点での大型クラゲの出現量は、黄海および東シナ海では出現量の少なかった平成20(2008)年度と同程度であり、対馬海峡を通過した大型クラゲも昨年同様非常に少ない状況にあります。
2.大型クラゲ出現予測について(9月下旬)
8月中旬の黄海中央海域における国際フェリー目視調査の結果を初期条件として,気象庁の海洋大循環モデル1)の流況結果を用いて、大型クラゲの出現予測を行いました。黄海中央部の大型クラゲ群は、今後引き続き黄海内部に滞留することから、日本周辺水域に大量出現する可能性は低いと思われます。
また、日本海海況予測システム(JADE)を用いて、日本海における大型クラゲの出現予測を実施しました。日本海に流入した大型クラゲは、大部分が沖合域に運ばれることから、沿岸域では能登半島以西において散発的に出現する程度で、大量出現する可能性も低いと思われます。
大型クラゲ国際共同調査共同研究機関2)では、大型クラゲによる漁業被害の低減を図るため、大型クラゲの出現状況調査3)を引き続き実施するとともに、必要に応じて大型クラゲの出現予測4)を行い、関係の皆様に迅速な情報提供を行なう予定です。
さらに、中国および韓国の水産研究機関と大型クラゲの出現状況に関する情報交換を行い、新たな情報を提供していく予定です。また、10月初めに今年度第3回目の出現予測を試みる予定です。
(参考)
気象庁の海洋大循環モデル(MOVE):
http://www.data.kishou.go.jp/db/kaikyo/knowledge/model.html
2)大型クラゲ国際共同調査共同研究機関について
平成23年度水産庁補助事業「大型クラゲ国際共同調査」を共同連帯して実施することを目的に、独立行政法人水産総合研究センター、独立行政法人水産大学校、国立大学法人広島大学、国立大学法人山形大学、国立大学法人名古屋大学の5機関から構成されています。
3)大型クラゲ出現状況調査について
東シナ海において、漁業調査船による大型クラゲ分布調査および国際フェリー航路(日本-中国間、日本-韓国間)における大型クラゲ目視調査を実施します。9月の予定は以下の通りです。さらに、大型クラゲによる漁業被害が頻発する夏季から秋季にかけて、詳細な大型クラゲ出現情報の提供を行うため、日本海沿岸各府県の協力を得て、日本海における大型クラゲ出現状況調査を行います
- ・平成23年9月上旬と下旬:日本-韓国間の国際フェリーによる目視調査
- ・平成23年9月中旬:日本-中国間の国際フェリーによる目視調査
- ・平成23年9月中旬~10月上旬:対馬海峡~日本海西部における出現状況調査
4)大型クラゲの出現予測について
大型クラゲ出現状況調査の結果を初期条件として、海況予測システム(東シナ海:気象庁MOVE/日本海:水研センターJADE)の結果を用いて、大型クラゲの出現予測を行います。
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