大型クラゲ情報(第4報)
独立行政法人水産総合研究センター
1.大型クラゲの出現状況
日本-中国間を航行する国際フェリーを使った目視調査により、9月17~20日の間、中国・青島沖の黄海中央海域(北緯35~36度、東経121~123度)において、ごく少数の大型クラゲが目視されました。また、9月6日、9月25日および10月4日に実施した日本-韓国間を航行する国際フェリーの目視調査では、対馬海峡東水道と西水道において、ごく少数の大型クラゲを確認しました。
一方、対馬~能登半島の日本海海域において、水研センターおよび日本海沿岸関係府県の調査船による大型クラゲ分布調査を実施していますが、現在までのところ、対馬海峡周辺海域以外では大型クラゲは出現していません(下図参照)。
以上のように、現時点での大型クラゲの出現量は、黄海および東シナ海では出現量の少なかった平成20(2008)年度より少ない状況であり、対馬海峡を通過した大型クラゲも昨年同様非常に少ない状況にあります。
2.大型クラゲ出現予測について(10月下旬)
黄海中央海域に大型クラゲが出現していた8月中旬の国際フェリー目視調査の結果および中国・東海水産研究所から提供された中国水域の大型クラゲの分布情報を初期条件として,気象庁の海洋大循環モデル1)の流況結果を用いて、大型クラゲの出現予測を行いました。黄海中央部の大型クラゲ群は、今後引き続き黄海内部に滞留することから、日本周辺水域に大量出現する可能性は低いと思われます。
また、日本海海況予測システム(JADE)を用いた日本海における大型クラゲの出現予測およびこれまでの出現状況から、日本海沿岸域では散発的に出現する程度で、大量出現する可能性は低いと思われます。
大型クラゲ国際共同調査共同研究機関2)では、大型クラゲによる漁業被害の低減を図るため、大型クラゲの出現状況調査3)を引き続き実施するとともに、必要に応じて大型クラゲの出現予測4)を行い、関係の皆様に迅速な情報提供を行なう予定です。
さらに、中国および韓国の水産研究機関と大型クラゲの出現状況に関する情報交換を行い、新たな情報を提供していく予定です。また、11月前半に今年度第5回目の出現予測を試みる予定です。
(参考)
1)気象庁の海洋大循環モデル(MOVE):
http://www.data.kishou.go.jp/db/kaikyo/knowledge/model.html
2)大型クラゲ国際共同調査共同研究機関について
平成23年度水産庁補助事業「大型クラゲ国際共同調査」を共同連帯して実施することを目的に、独立行政法人水産総合研究センター、独立行政法人水産大学校、国立大学法人広島大学、国立大学法人山形大学、国立大学法人名古屋大学の5機関から構成されています。
3)大型クラゲ出現状況調査について
東シナ海および日本海において、漁業調査船および民間用船による大型クラゲ分布調査および国際フェリー航路(日本-中国間、日本-韓国間)における大型クラゲ目視調査を実施します。10月の予定は以下の通りです。さらに、大型クラゲによる漁業被害が頻発する夏季から秋季にかけて、詳細な大型クラゲ出現情報の提供を行うため、日本海沿岸各府県の協力を得て、日本海における大型クラゲ出現状況調査を行います。
- ・平成23年10月中旬:日本-韓国間の国際フェリーによる目視調査
- ・平成23年10月中旬:東シナ海北部における出現状況調査
- ・平成23年10月上旬~下旬:日本海における出現状況調査
- ・平成23年10月中旬:日本-中国間の国際フェリーによる目視調査
- ・平成23年10月下旬~11月上旬:日本海北部における出現状況調査
4)大型クラゲの出現予測について
大型クラゲ出現状況調査の結果を初期条件として、海況予測システム(東シナ海:気象庁MOVE/日本海:水研センターJADE)の結果を用いて、大型クラゲの出現予測を行います。
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