大型クラゲ情報

平成28年10月13日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
大型クラゲの出現状況(国際フェリー調査結果等)について-第5報-

1.大型クラゲの出現情報

(1) 国際フェリー(韓国・仁川-中国・連雲港、韓国・木浦-済州)による目視調査結果※1

1) 実施期間 平成28年8月8日~8月12日
フェリー航路 韓国・仁川-中国・連雲港、韓国・木浦-済州
結果 黄海全域における出現量(平均密度)は0.032個体/100m、傘径は20~100cmであった。
2) 実施期間 平成28年9月14日~9月16日
フェリー航路 韓国・仁川-中国・連雲港
結果 黄海全域における出現量(平均密度)は0.11個体/100m、傘径は20~80cmであった。
7月25日~29日の調査時(0.070個体/100m)より、8月8日~12日の調査では平均密度が減少したが、9月14日~16日の調査ではやや増加した。昨年の下関-青島ルートの同時期(9月9日~11日)の結果(0.045個体/100m)とは観測域が異なるので単純に比較できないが、昨年より多い。

(2) 国際フェリー(博多-釜山航路)による目視調査結果※1

1) 実施期間 平成28年8月21日
結果 対馬海峡西水道の対馬北東域で1個体を目撃した。傘径は約50cm、西水道における平均密度は0.00012個体/100mであった。
2) 実施期間 平成28年9月6日
結果 対馬海峡東水道で43個体、西水道の対馬北東域で12個体を目撃した。傘径は30~100cm、西水道における平均密度は0.0015個体/100mであった。
3) 実施期間 平成28年10月4日
結果 対馬海峡東水道で5個体、西水道の対馬北東域で2個体を目撃した。傘径は40~60cm、西水道における平均密度は0.00024個体/100mであった。
8月9日の調査時(0.00032個体/100m)と比べ、9月6日はやや多かったが、8月21日と10月4日は下回った。西水道の平均密度の変動を、平成19年、21年、25年と比較すると(下図)、本年は19年、25年とほぼ同程度の低い水準まで低下した。

           対馬海峡西水道における大型クラゲの平均密度の変動(個体/100m
              (第2報(修正版)記載の修正値を基に作成)
※1.国立研究開発法人水産研究・教育機構及び国立大学法人広島大学により構成される「大型クラゲ国際共同調査共同研究機関」が実施。


(3) 日本海及び太平洋における調査船による調査※2

1) 実施期間 平成28年9月6日~9月8日
調査海域 日本海西部海域(山口県~隠岐諸島沖合)の12地点
調査内容 中層トロール網による採集・目視調査、海洋環境調査
結果 採集された地点はなかった。隠岐諸島北西の2点で1個体ずつ目撃した(傘径60~100cm)。
2) 実施期間 平成28年9月18日~9月27日
調査海域 日本海中部海域(隠岐諸島~能登半島沖合)の25地点
調査内容 中層トロール網による採集・計量魚探・目視調査、海洋環境調査
結果 3地点で1個体ずつ採集し(傘径95~120cm)、1地点で目撃した(傘径120cm)。
3) 実施期間 平成28年9月17日~9月27日
調査海域 日本海北部海域(能登半島~津軽半島)の25地点及び太平洋三陸沖の12地点
調査内容 中層トロール網による採集・計量魚探・目視調査、海洋環境調査
結果 日本海の1地点で1個体採集し(傘径127cm)、2地点で目撃した(傘径20~60cm)。太平洋では採集・目撃ともになかった。
※2.NPO法人水産業・漁村活性化推進機構及びその委託を受けて、一般社団法人漁業情報サービスセンター、国立研究開発法人水産研究・教育機構が実施。

(4) 日本沿岸水域における出現の確認※3

  • 平成28年6月28日に対馬市豊玉町志多浦定置網で出現を確認した(2~3個体、傘径20~30cm):定置網で今年初めての出現。
  • 平成28年7月16日に福井県南越前町定置網で出現を確認した(3個体、傘径100cm):本州の定置網で今年初めての出現。
  • 平成28年7月19日に対馬市美津島町大船越大型定置網で出現を確認した(約200個体、傘径20~100cm):大型定置網で今年初めての100個体を超える出現。
  • 平成28年8月1日に大和堆の底びき網漁で出現を確認した(1個体、傘径100cm):大和堆で今年初めての出現。
  • 平成28年8月3日に対馬市峰町津柳小型定置網で出現を確認した(約300個体、傘径100~150cm):小型定置網で今年初めての100個体を超える出現。
  • 平成28年9月3日に青森県の太平洋側の尻屋大型定置網で出現を確認した(1個体、傘径80cm):太平洋側で今年初めての出現。
  • 平成28年9月13~14日に青森県の日本海側の艫作崎近くの横磯大型定置網で出現を確認した(20~100個体、傘径不明):対馬以外の定置網で初めてのまとまった数の出現。
  • 平成28年9月24日に岩手県久慈の定置網で出現を確認した(1個体、傘径50cm以下):岩手県で今年初めての出現。
  • 平成28年9月24~27日に北海道積丹半島西部の定置網で出現を確認した(6個体、傘径70~150cm):北海道で今年初めての出現。

過去に対馬の定置網で確認された日
平成21年 6月30日 日本沿岸水域で大型クラゲが大量出現した年
平成22年 9月17日 日本沿岸水域で大型クラゲの大量出現がなかった年
平成23年 9月29日
平成24年 7月24日
平成25年 7月26日
平成26年 8月 6日
平成27年 9月15日
※3.NPO法人水産業・漁村活性化推進機構の委託を受けて、一般社団法人漁業情報サービスセンターがとりまとめた情報による。

2.今後の調査計画等

 対馬海峡から日本海への大型クラゲの流入は、昨年と比べてかなり早く始まりました。当初、対馬海峡西水道における分布密度は大量出現年の平成19年とほぼ同程度で推移していましたが、対馬海峡からの流入量は8月上旬以降急激に減少しています。また、黄海・東シナ海の分布密度は昨年よりは多いものの既に低下しており、これまでの事例を踏まえると、対馬海峡からの流入はほぼ終息したと考えられます。一方、日本海にはすでに相当数の大型クラゲが流入したと考えられ、日本海の本州及び北海道の沿岸で出現が確認されているとともに、9月上旬には津軽海峡を通過して太平洋の三陸沿岸でも出現が確認されています。特に、青森県の艫作崎周辺の定置網では散発的にまとまった数の大型クラゲが入網しており、沖合に分布している大型クラゲが東向きの海流(極前線)に沿って移動してきたためと考えられます。今後は、引き続き大型クラゲは主に沖合域を移動すると予測されていますが、若狭湾及び能登半島以東を中心に沿岸へ接近する可能性もありますので、引き続き大型クラゲの出現状況をモニタリング※4し、出現状況に関する情報提供※5を行ってまいります。

※4.主な大型クラゲ出現状況調査の実施予定(10月)
(国際フェリーによる目視調査)
平成28年10月18日 日本−韓国間の国際フェリーによる目視調査

※5.大型クラゲ出現状況調査の結果については、以下でお知らせしております。
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 URL:http://www.fra.affrc.go.jp/kurage/
日本海区水産研究所         URL:http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/Kurage/kurage_top.html

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
研究推進部 研究主幹 渡邊 TEL 045-227-2675
日本海区水産研究所 資源環境部長 渡邊 TEL 025-228-0587