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        おさかな通信 (水研センターメールマガジン)
 
          第 17 号     平成18年2月8日                      
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 
 昨年末からの寒波で、全国的に平年より寒い日が続いており、特に日本海
側を中心に大雪による甚大な被害をもたらしました。ご当地の皆様及びご関係
者の方々には謹んでお見舞い申し上げます。
 少しでも早く、春が来ないか待ち遠しいこのごろです。
 
 
 
【目次】
 
 ◆シリーズ          「栽培漁業のさかなたち」を連載中
 ◆調査船運航状況     今回は水研センター船4隻の紹介です
 ◆お知らせ          研究報告第15号刊行案内
 ◆イベント報告       1月に開催したイベントの報告です
 ◆ローカル便り       各部・各研究所の最新情報です
 ◆プレスリリース報告   1月13日リリース
 ◆編集後記         担当者のひとりごと
 ◆配信手続き        配信停止・配信先変更等
 
 
 
【シリーズ】  
 
  栽培漁業のさかなたち−9 タイマイ
 
 今回は、これまで紹介してきた魚介類とはちょっと毛色が違う「タイマイ」です。
 タイマイはウミガメ類の一種で、そのきれいな甲羅はべっ甲細工の原材料とし
て古来より珍重されてきました。しかし、なぜウミガメの栽培漁業を行っているの
でしょうか?
 
 タイマイを含むウミガメ類は水産庁の「日本の希少な野生水生生物に関するデ
ータブック」に記載されている希少生物で、その生息数は減少し危機的な状況に
あると言われています。タイマイの資源を増大させるためには保護はもちろん必要
ですが、人為的に繁殖させて放流し、効果的に資源の回復を図ることも必要と
考えられます。そのため八重山栽培漁業センターでは、これまでに培ってきた栽
培漁業の技術を基に、タイマイを飼育し、卵のふ化を行い、仔ガメを育てて放流す
るといった増養殖技術の開発に取り組んでいます。
 
 ウミガメ類はトカゲやヘビなどと同じ爬虫類に分類されています。太古に栄え滅
びていった恐竜たちも爬虫類です。約2億年前、中生代三畳紀に陸上の湿地に
甲羅を持つ爬虫類”カメ”が現れました。約1億年前、陸地では肉食竜のティラノサ
ウルスたちが闊歩し、海中ではアンモナイトが泳いでいた頃、甲羅の長さが4m
にも達するウミガメ”アルケロン”が素晴らしい速さで泳いでいたそうです。
 
 さて、現在世界の海に生息しているウミガメ類は甲羅の形、色、枚数、配置、模
様や頭の鱗の形、配置、色などを主な形質として、5属7種に分類されています。
 それぞれの種によって回遊海域や産卵海域は異なりますが、生活する海域は
赤道を中心とした低緯度から、かなりの高緯度まで広範囲にわたります。タイマイ
はウミガメ類の中でも特に熱帯域にその分布が見られるウミガメです。タイマイが
産卵のため営巣を行う場所は、北緯25度から南緯35度の地域に分布していま
す。タイマイの主要産卵場といわれている地域は西インド諸島(大西洋)、モルディ
ブ〜チャゴス、セ−シェル〜モザンビーク(インド洋)、インドネシア〜オーストラリア
北部の島嶼部等です。琉球列島はタイマイの産卵場としては西部太平洋地域で
北限に近い位置にあると思われますが、八重山群島はアカウミガメ、アオウミガメ、
タイマイの3種の産卵が、毎年のように見られることで知られています。
これは、八重山栽培漁業センターがタイマイの増殖事業を担当することになった
理由のひとつでもあります。
 
 八重山栽培漁業センターでは、平成11年度より親ガメの養成を開始し、人工飼育
下で成熟させ、産卵させるための技術開発を行ってきました。その結果、産卵用の
人工海浜を持つコンクリート水槽でタイマイの自然産卵に成功しました。特に平成
16年は2頭の親ガメが合計7回の産卵行動を行って、894個の卵を産みました。
それらの卵からは309頭の仔ガメがふ化しました。
 
参考情報 
  →  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr16/160625/taimai.htm
 
 タイマイに関する生態的知見は少なく、どこで生まれて、どんな生活をしているのか
よく分かっていません。このため1〜4年飼育したタイマイに標識を装着して放流し、
その後の移動・分散状況等を調べています。平成15年度には標識を装着したタイ
マイ1歳30頭と2歳20頭をそれぞれ八重山郡竹富町黒島と八重山栽培漁業セン
ター地先から放流しました。その結果、放流直後の平成15年10月から平成16年
9月までに合計7回の再捕報告が得られています。再捕場所は日本では、栽培漁
業センター周辺と三重県、また海外では中国と台湾となっています。今後は、さら
に異なる年齢のタイマイを放流し、放流後の移動・分散状況等を解明する予定です。
 
 
 
【調査船運航状況】  
 
 ◆北光丸(北海道区水産研究所)は、2月24日から3月20日まで、山陰
  から佐渡沖において、ズワイガニの幼生の分布状況の把握と、これらの
  輸送・分散に大きな影響を及ぼすと考えられる対馬暖流の流動構造の
  把握などを目的に、調査航海を行います。
 
  北光丸の詳細 →  http://hnf.fra.affrc.go.jp/youran/hokko.htm
 
 
 ◆探海丸(北海道区水産研究所)は、2月9日から23日まで、太平洋
  道南から道東海域、根室海峡において、スケトウダラ卵・仔魚の分布
  状態の把握と海洋環境把握を目的に、調査航海を行います。
 
  探海丸の詳細 →  http://hnf.fra.affrc.go.jp/youran/tankai-w.html
 
 
 ◆若鷹丸(東北区水産研究所)は、2月10日から20日まで、東北沖に
  おいて、資源評価及び資源回復計画対象種であるキチジについて、遊
  泳期の稚魚の採集を行い、分布域の生息環境の解明などを目的に、
  調査航海を行います。
 
  若鷹丸の詳細 →  http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/wakataka/index.htm
 
 ◆陽光丸(西海区水産研究所)は、2月20日から3月13日まで、九州西
  岸から東シナ海において、アジ・サバ・イワシなど浮魚類の産卵水域や
  産卵状況などを把握する目的で、調査航海を行います。
  
  陽光丸の詳細 →  http://snf.fra.affrc.go.jp/cont01/yokomaru/yokomaru.html
 
 
 
【お知らせ】  
 
 ◆「研究報告」第15号を刊行しました
 
  このたび、当センター研究報告第15号を刊行いたしました。
  「奥日光湯川におけるキャッチアンドリリース(C&R)制導入効果」
 の報文と、「はえなわ操業における小型水深水温計SBT-500観測デ
 ータのデータベース化」の技術報告、「広島湾における褐藻アカモク
 のフェノロジーとその個体群間分化に関する研究」の学位論文を掲
 載しております。
  是非ご覧ください。
 
  第15号はこちら → 
  http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/bull/bull15/no15contents.html
 
 
 
【イベント報告】  
 
 ◆「平成18年新年懇談会」報告
 
   平成18年1月18日に、水産庁記者クラブ加盟の記者の方々を
 水研センター本部会議室(横浜市西区)にお招きし、平成18年新年
 懇談会を行いました。
  昨年に引き続き今回で3回目を迎えたこの懇談会は、現在、検討・
 作業中である第二期中期計画期間における研究開発推進方針や
 重点研究開発課題等について考え方を説明をしました。
 
 当日の様子 
  → http://www.fra.affrc.go.jp/new/H18nentou/h18nento.htm
 
 
 
【ローカル便り】  
 
 ◆ISC(北太平洋におけるまぐろ類及びまぐろ類似種に関する国際科
  学委員会)のクロマグロ作業部会が開催(遠洋水研)
 
  1月16日〜20日まで、水研センター遠洋水産研究所でISCクロマグ
 ロ作業部会が開催されました。クロマグロは、日本周辺海域が産卵、
 生育の場であり、我が国沿岸の曳縄、定置網漁業、あるいは近海・沖
 合のはえ縄、まき網漁業等にとって大変重要な魚種です。
  今回の会議は、前回(2004年)評価したクロマグロ資源がその後どの
 様になっているか明らかにすることを主目的としています。会議には、米
 国・台湾・全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)および国内の大学と遠洋
 水産研究所から合計25名の科学者が参加しました。解析は、日本の
 漁業データが重要な地位を占めていることもあり、日本の科学者の主導
 により行われました。会議の結果は3月に米国のラホヤで開催されるIS
 C本会議に報告されますが、漁獲圧(資源に対する漁獲比率)を現状以
 上に増やすことはクロマグロ資源にとって好ましくなく、今以上に注意深
 く漁業の動向をモニターしていくことが必要である、とのまとめとなりまし
 た。
 
 
 ◆ISC統計作業部会が開催(遠洋水研)
 
  クロマグロ作業部会に引き続き、ISC統計作業部会が1月23日と24
 日の両日、遠洋水産研究所で行われました。前週に引き続いての参加
 者を主体に4カ国・1機関から合計17名の参加がありました。この作業
 部会では、北太平洋のかつお・まぐろ漁業や資源に関してISC加盟国
 (日、米、加、韓、中、台、メキシコ)から集めたデータを、どの様に維持管
 理し、またISC付属機関である魚種別作業部会にどの様な形式で提供
 していくか等について論議しました。新しく構築し遠洋水研で運用するデ
 ータベースシステムの機能やセキュリティを向上させ、入力データのコー
 ド等を国際化して、システムを早期に完成させることが重要とのまとめと
 なりました。
 
 
 ◆水産庁照洋丸により冬季北太平洋で2ヵ月にわたる海洋環境調査を
  実施(遠洋水研)
 
  北太平洋中央部の黒潮続流周辺海域は世界でも最も大量の熱を大気
 に放出する海域として知られています。このため黒潮の様々な変動が大
 気の変動を主導し、気候変動の引き金になっていると考えられています。
  水研センター遠洋水研では、気候変動の要因としても、さらに浮魚類の
 資源変動の要因としても鍵となるこの海域の調査を計画し、12〜1月に
 かけて水産庁調査船照洋丸により詳細な海洋環境航海を実施しました。
  厳しい条件のなかで30km毎に347点のCTD観測(海水の温度や塩
 分を鉛直的に計測)、栄養塩類・クロロフィルのための採水等を行いました。
  データ解析はこれからですが、気象条件が極めて厳しくデータが少ない
 この海域で収集された今回の膨大なデータが何を語ってくれるのか非常
 に楽しみです。
 
 
 
【プレスリリース報告】    
 
 ◆ 日本海における放流ヒラメの移動を解明 
    −DNA標識による追跡調査で− (1月13日リリース)
 
  人工的にふ化して育てた稚魚(種苗)を放流してヒラメを増やそうという
 試みが全国で行われていますが、稚魚につける適当な標識がなかった
 ことから漁獲されたヒラメがどこで放流されたものかがわからず、放流効
 果の正確な評価が困難でした。
  そこで、水産総合研究センターでは、DNAを標識とした放流ヒラメの追
 跡手法を開発し、関係各県と連携を図りつつ、これまでに約3,000個体
 の漁獲された放流魚を分析しました。その結果、一部には300km以上
 も移動したと考えられるヒラメもあったものの、全体的にみれば放流ヒラメ
 の80%以上は、放流された府県内で漁獲されていると推定されました。
  
  詳細はこちら
   →  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr17/180113/hirame.htm
 
 
 
【編集後記】  
 
 今日は2月8日。 〒でおなじみ「郵便マークの日」だそうです。
 今から119年前の1887(明治20)年、逓信省(テイシンショウと読み、
後に郵政省、郵政事業庁となり、現在は日本郵政公社)のマークが、逓信
の「テイ」に合わせて「甲・乙・丙・丁(こう・おつ・へい・てい)」の「丁(てい)」
に決定しました。
 しかし、万国共通の郵便料金不足の記号「T」と紛らわしいことがわかり、
6日後の2月14日に「テイシンショウ」の「テ」を図案化した「〒」印に変更し、
2月19日付の官報で、「丁」は「テイシンショウ」の「テ」を図案化した「〒」
の誤りだったと発表したそうです。
 
 それから119年間の歴史を経て、現在ではパソコンなどで「ゆうびん」と
入力すると〒(郵便マーク)に変換できちゃうほど大人から子供まで親しま
れていることはすごいことですね。
  
 
 
【配信手続き】
 
 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。
  
  配信解除、配信先変更等 
    → http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html
 
  ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp
 
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