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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 20 号     平成18年5月10日
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 GWも終わり、さあ仕事に勉強に頑張るぞと思う今日この頃ですが、読者の皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
 早いもので、おさかな通信も今号で第20号、言わば成人式を迎えます。
 これからは、いままで蓄積されたノウハウにさらに磨きをかけて情報を発信していきますので、どうぞご期待ください!!

【目次】

 ◆シリーズ         「栽培漁業のさかなたち」を連載中
 ◆調査船運航状況    今回は水研センター船3隻の紹介です
 ◆お知らせ         おさかな瓦版第10号刊行案内
                 さけ・ます流通情報案内
 ◆イベント情報       6月に開催されるイベントの案内です
 ◆プレスリリース報告   4月21日・5月9日リリース
 ◆編集後記         担当者のひとりごと
 ◆配信手続き        配信停止・配信先変更等


【シリーズ】  

 栽培漁業のさかなたち−12  クロソイ


 クロソイは,スーパーなどで見かける機会が少ないので,名前をあまり聞いたことがない方が多いかも知れませんが,最大で60cmほどになる大型のカサゴの仲間で,北海道から九州(沖縄を除く)および朝鮮半島まで広く分布しています。1歳で20〜25cm,3歳で30〜40 cmと初期の成長はいいのですが,60cmになるには10年近くかかると言われています。寿命は不明ですが,飼育したものでは18歳まで長生きした例があるそうです。

 クロソイは,カサゴ,メバルと同様に,卵胎生という魚としては特殊な繁殖生態を持っています。卵胎生というのは,この仲間の他にサメ類やウミタナゴ,グッピーなどでしか見られないもので,通常の魚のように雌が卵を産むのではなく,雌の体内で卵が授精・ふ化し,仔魚や稚魚として生まれてくる生態のことです。人間などで見られる胎生との差は,母親と直接栄養のやりとりがあるかどうかという点で,卵胎生では卵に含まれる栄養だけでふ化・成長し,生まれてきます。卵胎生は魚だけでなく,タニシなどの貝類や爬虫類でも見られます。

 カサゴやメバルでは3〜4mmの仔魚で生まれますが,クロソイは約6〜7mmで生まれてきます。3歳の親からは3〜4万尾,5歳では8〜10万尾,10歳では20〜25万尾のふ化仔魚が生まれます。マダイやヒラメなどの卵を産む魚が1尾当たり数百万の卵を産むのに比べると遙かに少ないのですが,大きくなるまでの生き残りは卵で生まれるよりも高いため最終的に親になる数はマダイやヒラメと変わらず,資源を維持していけるのです。

 クロソイは,ほぼ日本全国で漁獲されますが,特に消費者に人気が高いのが東北や北海道などの北日本です。美味しいソイの仲間の中でも最も美味しい魚と言われる白身の魚で,刺身や煮付けはもちろんのこと,塩焼き,唐揚げ,ホイル焼き,鍋など,様々な料理で親しまれています。ただし,ヒレやエラブタに棘の多い魚ですから,料理する際には十分気をつけてくださいね。

 近年,スポーツフィッシングが盛んになるにつれ,岸から手軽に釣れ,引きも強く,美味しいクロソイもルアーフィッシングの対象として人気が出てきました。例えば,ブラウザでヤフージャパンを開いて「クロソイ」で検索してみてください。最初に出てくる10件のうち,4件はクロソイのルアーフィッシングに関するページです(5月2日現在)。

 クロソイの栽培漁業の歴史は,昭和54年に水研センター宮古栽培漁業センター(当時は(社)日本栽培漁業協会宮古事業場)で始まりました。クロソイは成長が早く,定着性が強くて放流場所近辺に長く留まることから,栽培漁業の対象として適しており,都道府県等でも技術開発に取り組まれてきました。近年では全長30mmまでの生残率が70%を超える例も見られるなど種苗生産の技術もほぼ確立されつつあり,漁協等でも種苗生産が行われるようになっています。平成16年度には,北海道から香川県までの7県,11機関で放流用種苗の生産が行われ,合計約150万尾が生産されました。放流尾数は約110万尾で,放流箇所は68カ所に上っています。放流の効果については,宮古栽培漁業センターで調査しており,10cmで放流した場合,再捕率が20%前後となって費用対効果も1以上になる(放流費用よりも漁獲金額が大きい)ことが分かっています。

参考情報
→ http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_052.html

 また,上にも書きましたが,クロソイは釣り対象魚としても人気が高いので,その放流はヒラメやマダイと同様に漁業者や一般消費者だけでなく,釣り人や釣具店,遊漁船業,釣り人の宿泊施設など周辺の産業にも貢献していると考えられており,放流効果にはこの波及効果も含める必要があります。

 さて,先ほどのヤフージャパンの検索結果をもう一度見てみましょう。最初のページに出てくる10件の中で釣りを除いた6件の半分,3件は栽培漁業に関するものです。今後は費用対効果を上げることを重視して,種苗生産費用の低減や放流方法の改良を行い,クロソイの資源を増大して,幅広い層に貢献できるように取り組んでいきたいと考えています。
 

【調査船運航状況】  
 
 ◆北光丸(北海道区水産研究所)は、5月10日から18日までの予定で、厚岸沖定線(A-ライン)北半部および道東大陸棚斜面において、親潮域におけるブルーム期の植物プランクトン生理観測と微量栄養塩動態把握するための調査航海を行います。

 北光丸の詳細
 →http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/kokaidayori/hokko200602.pdf


 ◆探海丸(北海道区水産研究所)は、5月12日から17日までの予定で、能取沖定線(N-ライン)およびオホーツク沿岸域において、 オホーツク海沿岸域の海洋構造と生物環境のモニタリングをするための調査航海を行います。

 探海丸の詳細
 →http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/kokaidayori/tankai200603.pdf

 
   ◆若鷹丸(東北区水産研究所)は、5月8日から24日までの予定で、厚岸沖定線(A-line)および周辺海域において、混合・親潮海域の海洋物理構造および低次生物生産過程のモニタリング及びマイクロネクトン採集調査をするための調査航海を行います。

 若鷹丸の詳細
 →http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/keikaku/heisei18/0508-0524.pdf

  
【お知らせ】  

 ◆◆「おさかな瓦版」第10号を刊行しました 
 
 このたび、当センターのニューズレター「おさかな瓦版」第10号を刊行しました。
 前号より開始したシリーズ「北の海の魚たち」、今回はスケトウダラの紹介です。
 もうひとつ新たに開始したシリーズ「書籍で知る日本の水産」気になる第2回の内容は、日本最古の釣り専門書「何羨録(かせんろく)」についての紹介です。
 また「おさかなクイズ」でさかなに関する豆知識などもわかりやすく掲載しています。
 次号は、平成18年6月12日刊行予定です。
 
  第10号はこちら
   →  http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/letter/no10.pdf
 
  その他、水研センター発行の刊行物はこちら
   →  http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/bull-index.html
 

 ◆◆さけ・ます流通情報(平成18年3月末情報)
 さけ・ます類の生鮮、冷凍品及び加工品について、輸出入の数量と価格、東京都中央卸売市場の取扱量と価格などをグラフ化して、毎月、見やすくわかりやすいカタチで皆様へ情報提供しています。

 詳しくはこちら
  → http://salmon.fra.affrc.go.jp/zousyoku/ryutu/ryutu.htm


【イベント情報】  

 ◆6月2,3,4日観覧料無料 ひめます放流100周年行事

 明治39年に中禅寺湖に「ひめます」が放流されてから今年で100年になります。これを記念して地元の中禅寺湖漁業協同組合ではさまざまなイベントを行います。

 中禅寺湖の近くにある「さかなと森の観察園」(中央水産研究所日光庁舎内)もこのイベントに協力します。

 下記の期間は「さかなと森の観察園」の観覧料が無料です。
  ■平成18年6月2日(金)〜4日(日)

 ひめますを始め,奥日光に生息するサケ科魚類を観察できます。
 これを機会に多くの方々に奥日光のさかなたちに興味を持っていただければ幸いです。ぜひ遊びに来て下さいね。

 詳しくはこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/nikko/main-index.htm  


【プレスリリース報告】   

 ◆大型クラゲ対策のための漁具改良マニュアル第3版を配布

【要旨】
 水産総合研究センターでは、関係地方公共団体、(社)マリノフォーラム21、(社)海洋水産システム協会等と連携・協力して、大型クラゲによる漁業被害の軽減対策技術の開発を推進しています。また、開発した漁業被害軽減対策技術を生産現場へ早急に普及させ、大型クラゲによる漁業被害を少しでも軽減するために平成17年8月に「漁具改良マニュアル」初版を、平成17年12月に第2版を関係者に配布するとともに、当センターホームページでも公開しています。

 「漁具改良マニュアル」初版はこちら 
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr17/170826/kurage2.pdf
  
 「漁具改良マニュアル」第2版はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr17/171222/kurage2.pdf

 今回、定置網を中心にこれまでおこなわれてきた漁業被害軽減対策技術をまとめるとともに、死亡した大型クラゲの分解過程を知るため関係地方公共団体等において実施された分解試験結果をあわせて「漁具改良マニュアル」第3版として作成し、関係地方公共団体、漁業関係者あてに送付しました。希望される方は随時無償で配布しますので下記照会先までお申し出ください。
 なお、本マニュアルについても、第1版、第2版と同様にホームページで公開しています。

 「漁具改良マニュアル」第3版はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180421/kurage3.pdf  


◆中国産アサリの迅速判別法を開発

【要旨】
 近年、国内のアサリ生産量の減少にともない、海外からの輸入量が急増しています。こうしたなか、一部で輸入アサリを国内産と表示する不適正表示が行われ、アサリの産地表示に関する消費者の信頼が損なわれました。
  
 そこで、水産総合研究センターでは遺伝子並びに成分分析など複数の方法によるアサリ産地判別技術の開発を行っています。

 今回、農林水産省の予算(「農林水産研究高度化事業」緊急課題即応型調査研究)により、国内産と輸入アサリ(中国からのものと韓国南岸からのもの)のミトコンドリアDNAの全長解析と、それぞれの塩基配列の違いを精査しました。その結果、中国産のものは2系統、韓国南岸産のものは1系統に整理されることを明らかにし、それぞれのデータベースを作成しました。これにより、系統のわからない輸入アサリについても、ミトコンドリアDNAの塩基配列解析を行いデータベースと照合することで、その産地の判別が可能となりました。

 さらに、塩基配列解析は煩雑で時間がかかることから、塩基配列の違いが比較的大きい中国産アサリについてPCR法を用いた迅速判別手法を開発しました。
 この技術は、今後、JAS法に基づいて表示の科学的検証を担当している独立行政法人農林水産消費技術センター等の機関に技術移転する予定です。

 輸入アサリの産地判別模式図はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180509/asari1.pdf

 国内アサリの生産・輸入量はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180509/asari2.pdf
 

【編集後記】  

 今日から、バードウィーク(愛鳥週間)が始まります。

 戦後間もない昭和22年に、毎年4月10日をバードデー(愛鳥の日)として、屋外で野鳥に親しみ、自然を保護する心をはぐくむために、いろいろな行事が行われるようになりました。

 昭和25年から、バードデーは5月10日〜16日の1週間に広げられ、バードウィーク(愛鳥週間)という言葉に変更しました。

 この期間には各地で都道府県や日本野鳥の会、日本鳥類保護連盟などの自然保護団体が中心になり、野鳥保護の集い、探鳥会、巣箱の設置などの行事が行われます。

 週末の天気が良かったら、小鳥のさえずりを聞きにピクニックにでも行かれたらいかがでしょうか?


【配信手続き】

配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

配信解除、配信先変更等 
→ http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp

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編集・刊行・配信:
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