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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 21 号     平成18年6月14日
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 今年の5月は、各地で例年にないほど日照時間が少なく、もう梅雨に入ったのかと思うくらい雨や曇りの日が多かったようです。これからが本当の梅雨入りなのに・・・
 サッカーワールドカップ、初戦は実に惜しかったですね。次の試合こそは、日本代表の勝利の笑顔が期待されるところです。梅雨のジメジメを吹き飛ばすよう、みんなで一緒に日本を応援しましょう!

【目次】

 ◆シリーズ        「栽培漁業のさかなたち」を連載中
 ◆調査船運航状況     今回は水研センター船1隻の紹介です
 ◆お知らせ        若鷹丸、気象庁より感謝状を授与される
              おさかな瓦版第11号刊行案内
 ◆イベント報告      第8回地域水産加工技術セミナーが開催されました
 ◆イベント情報      6月29日 おさかな情報館グランドオープン!!
 ◆プレスリリース報告   6月2日リリース
 ◆編集後記        担当者のひとりごと
 ◆配信手続き       配信停止・配信先変更等

【シリーズ】

  栽培漁業のさかなたち −第13回 ニシン−

 本シリーズも開始してから早1年が経ちました。1周年記念の今号は,ソーラン節で知られるニシンの紹介です。
 日本近海のニシンは,太平洋側では茨城県以北,日本海沿岸では渤海(中国)以北に生息します。ニシンは産卵場の環境特性から,海洋性(海の沿岸で産卵する群)と湖沼性(海と繋がった汽水湖で産卵する群)の2つに分けられ,海洋性は回遊範囲によって広域型(北海道,サハリン)と地域型(石狩湾,万石浦,宮古湾)に分けられます。中間型(デカストリ系)という群もあるため,結局ニシンは海洋性広域型,海洋性地域型,中間型,湖沼性(地域型)の4つに分類されます。海洋性広域型のニシンは日本近海だけでなく,遠くカリフォルニアやベーリング海,黄海まで分布しています。

 ニシンの成長は,1歳で全長約15cm,2歳で22〜28cm,4歳以上で30cm以上になります。雌雄とも2歳でほぼ成熟し,卵巣中の卵数は2歳で3〜4万粒,4歳以上で6万粒以上。寿命は,湖沼性地域型・海洋性地域型が5〜8年,海洋性広域型が20年といわれています。かつて北海道の日本海側に大量に来遊し,産卵時には海が白く濁ったというニシンは海洋性広域型に属するものです。その漁の最盛期であった明治から大正にかけては,ニシンの水揚げでいわゆる「ニシン御殿」が建てられました。このニシン御殿は現在でも小樽市などに残されており,文化財として公開されています。昔は保存技術が発達していなかったこともあり,せっかく北海道で大量に獲れていたニシンも,本州に鮮魚として出回ることはほとんど無く,多くは肥料やニシン油として利用されることが多かったようです。肥料として大豆粕が使われるようになってからは,カズノコや身欠きニシンといった食品としての利用が多くなりました。

 現在ニシン料理で思い浮かぶのは,なんと言っても塩焼きでしょう。DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸やビタミンを多く含むニシンは,刺身やマリネでも食べられますが,やはり塩焼きで食べるのが一番です。加工食品としては,身欠きニシンが有名で,ニシンそばや煮付け,山椒漬けなどで美味しくいただけます。また,北海道以外ではあまり知られていませんが,糠ニシンというニシンのぬか漬けもあります。サバやイワシの「へしこ」のようなもので,そのまま焼いたり,三平汁にして食べるそうです。

 栄華を誇ったニシンも,昭和30年代以降,資源が急減し,現在ではほぼ枯渇してしまいました。原因ははっきりしていませんが,海洋環境の変化や乱獲が疑われています。最盛期には約100万トンもあった全国の漁獲量も,近年では1,000〜4,000トンで推移しています。漁獲量のほとんどは海洋性地域型ニシンと湖沼性ニシンと言われており,ニシンの栽培漁業への取り組みはこれらを対象にして行われています。

 宮古栽培漁業センター(旧日本栽培漁業協会宮古事業場)と北海道区水産研究所厚岸栽培技術センター(旧日本栽培漁業協会厚岸事業場)では昭和57年度から種苗生産の取り組みを開始し,現在では50〜70%の生残率で全長40mmサイズの種苗を100万尾前後生産できるようになっています。放流技術開発については,昭和58年度から取り組みを開始し,平成10年以降,北海道風蓮湖や厚岸湾,岩手県宮古湾などで毎年数百万尾を放流しています。風蓮湖では種苗放流を事業化して実施し,刺網の目合い規制,禁漁区の設定等の資源管理方策の導入によって放流効果が向上しました。岩手県宮古湾では,昭和59年から放流試験を開始しました。宮古魚市場での調査によると,産卵期に宮古湾周辺で漁獲されたニシンの20 %前後が放流魚で,これらは放流したうちの0.11 %(0.01〜0.67 %)に当たります。これにより,ニシンもサケのように,産卵のため生まれたところに戻ってくることが分かりました。また北海道厚岸湾では,昭和62年から放流試験を開始し,平成5〜12年の試験では漁獲量の17 %が放流魚と推定されています。

 以前大量に漁獲された海洋性広域型ニシンの資源が回復する兆候は見られませんが,地域性ニシンや湖沼性ニシンは近年増加傾向にあります。これがすべて栽培漁業の効果であるかどうかは分かりませんが,放流調査からも栽培漁業がニシン資源の増大に寄与していることは明らかで,今後も国産ニシンの塩焼きが食べ続けられるよう,栽培漁業による取り組みが必要だと思われます。

【調査船運航状況】

◆俊鷹丸(遠洋水産研究所)は、6月30日から7月13日までの予定で、曳航式VPRにより海洋の水温、塩分、プランクトン画像のデータを収集し、プランクトンの分布構造を計測器により把握する手法を開発する。これに より、ネットによる定量採集が難しいゼラチナスプランクトンなどの現存量を把握するための調査航海を行います。

  俊鷹丸の詳細
  → http://fsf.fra.affrc.go.jp/syunyo/syunyo.html


【お知らせ】

 ◆◆若鷹丸、気象庁より感謝状を授与される

 水産総合研究センター東北区水産研究所の若鷹丸は、長年にわたり海洋の表層水温の観測通報に積極的に協力してきました。
 これにより気象業務に寄与した功績が認められ、6月1日気象庁に於いて気象庁長官より感謝状が授与されました。

  詳しくはこちら
 → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/youran/18hyosho-wakatakamaru.htm


 ◆◆「おさかな瓦版」第11号を刊行しました

 このたび、当センターのニューズレター「おさかな瓦版」第11号を刊行しました。
 シリーズ「北の海の魚たち」、3回目の今号はサケの紹介です。
 もうひとつのシリーズ「書籍で知る日本の水産」気になる第3回の内容は、明治時代の水族館についての紹介です。観魚室と書いて「うおのぞき」と読むそうです。
 また「おさかなクイズ」でさかなに関する豆知識などもわかりやすく掲載しています。
 次号は、平成18年8月10日刊行予定です。

  第11号はこちら
  →  http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/letter/no11.pdf

  その他、水研センター発行の刊行物はこちら
  →  http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/bull-index.html


【イベント報告】

 ◆第8回地域水産加工技術セミナーが開催されました

 長崎市、水産庁と水産総合研究センターの共催による第8回地域水産加工技術セミナー「―異国文化が育む食の街、長崎―豊かな資源を活かす水産加工技術」を6月6日(火)に長崎市の長崎ブリックホールで開催しました。

 このセミナーは、公的試験研究機関等が有する水産利用加工に関する研究成果など、地元の水産加工業関係者に普及するとともに、現場のニーズを把握することにより水産加工に関する技術の向上を図ることを目的として2003年から毎年2−3回開催しているもので、今回で8回目となりました。

 当日は好天に恵まれ、水産加工や流通関係、大学などから約300名の方々に参加いただきました。

  詳しくはこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/topics/180608/index.htm

【イベント情報】

 ◆6月29日 おさかな情報館グランドオープン!!
 中禅寺湖の近くにある「さかなと森の観察園」(中央水産研究所日光庁舎内)に新しい仲間「おさかな情報館」が今月29日(木)にオープンいたします。
 おさかな情報館は、世界の海と水産業に関する情報と(独)水産総合研究センターの研究開発業務の内容について、解りやすく紹介する展示施設です。

 日光にお出かけの際には、ぜひ遊びに来て下さいね。
  詳しくはこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/nikko/main-index.htm

【プレスリリース報告】

 ◆ 高級二枚貝タイラギの生産増大に向けた研究を開始

【要旨】
 タイラギは有明海などに生息する重要な二枚貝で、有明海では最盛期には3万トンを越す漁獲がありました。しかし、近年は春先に殻長約10cmまでは成長するものの、その後、夏から秋にかけて海底に貝殻を立てたまま大量に死亡する現象(立ち枯れ死)がみられ、資源が壊滅的に減少して休漁に追い込まれている地域もあります。

 水産総合研究センターではこれまでタイラギ漁場の特性を明らかにする目的で有明海に面する4県(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県)と連携し、幼生や稚貝の分布等を明らかにしてきましたが、死亡原因の特定には至っていません。

   そこで今年度より5年間の予定で、これら4県や田崎海洋生物研究所、小長井町漁業協同組合と共同でタイラギの死亡原因や好適漁場環境を解明するとともに、海中吊下方式の養殖技術の開発を開始しましたので、お知らせします。

  詳しくははこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180602/

【編集後記】

 今日は、星条旗と五輪旗の制定された日だそうです。
 1777年の今日は、アメリカ合衆国議会は、前年の独立宣言時の東部13州を13本の赤白の線に象徴し、青地に白い星を抜いた「星条旗」を国旗として制定しました。

 1914年の今日は、パリで開催されたオリンピック委員会の席上で、世界の5大陸がオリンピック精神の下に交わることを象徴する五輪旗が制定されました。左から青・黄・黒・緑・赤の5つの輪が「W」になるように考えて作られたそうです。

 水研センターの新しいシンボルマークも、さかなと水をモチーフに研究機関としてのクールでグローバルなイメージと、その活動のたゆまざる変革・躍動感を表現して作られています。

 それぞれのマークには、いろいろな意味や、制作者の気持ちが込められているのですね。


【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

 配信解除、配信先変更等 
  → http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

  ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp

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編集・刊行・配信:
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