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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 22 号     平成18年7月12日
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。ワールドカップ、ウィンブル ドンテニスとどちらも盛り上がりましたよね。そのおかげでTV観戦のた めに連日寝不足だった方々・・・やっと安心してぐっすり寝られますよ〜! といっても、この寝苦しい梅雨のさなかではありますが、、、  梅雨が明ければ夏本番です!!楽しい夏休みを迎えるためにも体調を崩 さぬよう気を付けて参りましょう!


【目次】

 ◆シリーズ        「栽培漁業のさかなたち」を連載中
 ◆調査船運航状況   水研センター調査船2隻の紹介です
 ◆お知らせ        FRAニュース第7号刊行案内
 ◆イベント情報      各水研等で開催される一般公開の情報です
 ◆イベント報告      おさかな情報館の開館式の報告です
 ◆プレスリリース報告  6月13日リリース
 ◆編集後記        担当者のひとりごと
 ◆配信手続き      配信停止・配信先変更等

【シリーズ】

  栽培漁業のさかなたち−14 ブリ

 ブリは、東シナ海南部、朝鮮半島東部から日本列島沿岸にかけて生息す る大型のアジ科魚類で、最大で全長1.5m、体重15kgになります。ブリは出 世魚として知られ、関東地方では30cmぐらいまでを「ワカシ」、約60cmま でを「イナダ」、80cm前後までを「ワラサ」、それ以上になると「ブリ」 と呼ばれます。地方によっても呼び名が変わり、関西ではツバス→ハマチ →メジロ→ブリ、寒ブリで有名な北陸では、ツバエリ → コズクラ→ フ クラギ → アオブリ → ハナジロ → ブリと呼ばれます。また、関西で ブリ養殖が始まったことから、特に養殖ブリを「ハマチ」と呼ぶこともあ ります。

 ブリの産卵は海域により異なり、東シナ海南部で1月下旬から始まり、 桜前線のように徐々に北上して、富山湾では7月まで産卵が行われます。 1尾の雌から産卵される数は数十万粒から250万粒程度です。
 ブリの稚魚は「モジャコ」と呼ばれますが、これは稚魚が流れ藻(ちぎ れて浮遊している海藻)の下に隠れて生活することから、「藻に付く雑魚 (ざこ)」が訛ったものだと言われています。ブリ(ハマチ)の養殖は、 このモジャコを漁獲して生け簀で育てます。
 ブリは成長が早い魚で、天然では1歳魚で40cm前後、2歳魚で約65cm前後、 4歳魚では80cm以上になります。養殖ではモジャコを1年半ほど育てて、約 4kgで出荷します。
 ブリは、養殖魚の生産量の方が天然魚の漁獲量より多く、天然魚の漁獲 量が約5万トンであるのに比べ、養殖魚の生産量は15万トンで約3倍にな っています。

 ブリの料理といって真っ先に思いつくのは、刺身でしょうか、それとも 照り焼きでしょうか?ブリは日本のほぼ全国で漁獲されるため、地方に固 有のさまざまな名物料理があります。有名なのは、ブリ大根やカマ焼き、 塩焼き、粕汁など。また、関西や北陸ではお正月料理に欠かせない食材で、 お雑煮にブリを入れる地方もあります。

 ブリの栽培漁業に関する技術開発は、昭和50年代に天然ブリの漁獲量が 減少したことから、資源の回復と維持を図るために着手されました。この 漁獲量の減少は、養殖用に採捕するモジャコの乱獲が原因の一つだと推測 されたため、稚魚の放流が効果的だと考えられたのです。
 活け込んだ天然の親魚から採卵することはそれほど困難ではなく、技術 開発の開始後、数年で1千万尾を超えるふ化仔魚の確保が可能となりまし た。しかしブリは共食いするため大型の生物餌料が大量に必要とされ、種 苗量産の技術が開発されるまでには長い期間が必要でした。平成になって、 大型の生物餌料の代わりとなる配合飼料の開発が進んだことで、量産技術 がほぼ確立され、 全長30mmサイズの種苗を、生残率20〜30%で数百万尾生 産する技術が開発されました。
これらの技術開発の成果は、栽培漁業技術シリーズNo.12「ブリの種苗生産 技術開発」として水研センターから刊行されています。

http://ncse.fra.affrc.go.jp/03kankou/034series/series-no12.pdf(PDFファイル:15.8MB)

 しかし、ブリの栽培漁業には、種苗生産技術の他にもう一つ大きな問題 がありました。それは、育成した親魚の産卵期が天然魚の産卵期より2〜 3ヶ月遅いため、種苗生産した稚魚が、同時期の天然稚魚よりも大幅に小 さいという問題でした。このため放流しても十分な放流効果が得られず、 ブリの栽培漁業を普及させる大きな妨げになっていました。
 そこで、それまで海上の生け簀で育成していた親魚を陸上の水槽へ移し、 光や水温の条件を変えることで産卵期を早める技術開発に着手し、平成8 年には天然魚と同じ時期に産卵させることに成功しました。この卵を用い て生産した種苗を瀬戸内海東部に放流したところ、漁獲されたブリに占め る放流魚の割合が28 %と推定され、早期生産種苗の放流効果が実証されま した。この放流魚が漁獲されることによって回収された金額と放流に掛か った経費との関係を解析した結果,回収金額が放流経費の1.19〜1.81倍と 推定され,経済効果も確認されました。

http://ncse.fra.affrc.go.jp/03kankou/033saiken/saiken-no17.pdf(PDFファイル:6.1MB)

 また、この早期採卵技術を発展させ、平成14年には天然魚よりも約2ヶ月 早い時期に産卵させることに成功しました。

 水研センターでは「つくり育てる漁業」の一環として、栽培漁業だけで なく、今後は養殖用の種苗として「成長が早い」、「病気にかかりにくい」 、「おいしい」などの付加価値を付けた特徴ある種苗を生産するための技 術開発を進めていくことを考えています。


  【調査船運航状況】

 ◆北光丸(北海道区水産研究所)は、7月24日から8月5日までの予定で、  北海道周辺沿岸域、道東海域において水産資源生物の安全性を確保し漁場を保全する為、また海産生物及び漁場における放射能水準の長期変動傾向を把握する為の基礎資料の収集、また、オホーツク海域における海洋環境の物理、化学、 生物学的モニタリングなどを目的とした調査航海を行います。

  北光丸の詳細
   →  http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/kokaidayori/tankai200606.pdf

 ◆若鷹丸(東北区水産研究所)は、混合・親潮海域の海洋物理構造および低次  生物生産過程のモニタリングおよび中層プランクトン輸送量算出のため、厚岸  沖定線(A-line)において係留系の回収・再設置を行うことを目的とした調査  航海を行います。

  若鷹丸の詳細
   →  http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/keikaku/heisei18/18wakataka/chosakeikakusho/180714A-line.pdf

【お知らせ】

 ◆「FRAニュース」第7号を刊行しました

  このたび、当センターの広報誌「FRAニュース」第7号を刊行しました。
  今号は、特集として平成18年4月から始まった新規プロジェクト研究課  題のうち6課題について分かり易く解説しています。
  FRAニュースは季刊で、次号は10月1日刊行予定です。お楽しみに!

  第7号はこちら
   → http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/news/fnews07.pdf

  その他、水研センター発行の刊行物はこちら
   → http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/bull-index.html


【イベント情報】

 ◆各水研等で開催される一般公開の情報です
  イベントカレンダー → http://www.fra.affrc.go.jp/cgi-bin/event/event.cgi

 ●西海区水産研究所石垣支所一般公開
  開催日 平成18年7月15日 10:00〜16:00
  場 所 西海区水産研究所石垣支所(沖縄県石垣市桴海大田148−446)
  入場料 無料
  テーマ 「豊かに育てサンゴの海」
  概 要 ★講演会「おいしいシロクラベラ(マクブ)を増やそう」
       ★ウミガメのタッチプール
       ★魚やサンゴの水槽
       ★プランクトンの顕微鏡観察
       ★パソコンクイズ
       ★DNA抽出実験
  詳細はこちら → http://snf.fra.affrc.go.jp/temporary/poster_i_H18.png
  お問い合わせ 電話0980−88−2571


 ●漁業調査船「俊鷹丸」一般公開
  開催日 平成18年7月17日 10:00〜15:00
  場 所 清水港江尻埠頭(静岡県静岡市清水区江尻)
  入場料 無料
  テーマ 「中を見る?」
  概 要 ★調査船「俊鷹丸」船内見学
       ★研究紹介(パネル、観測機器)
  詳細はこちら → http://fsf.fra.affrc.go.jp/open/18open/18open.htm
  お問い合わせ 電話0543−36−6013 メール:www-enyo@fra.affrc.go.jp


 ●中央水産研究所高知庁舎・こたか丸一般公開
  開催日 平成18年7月17日 10:00〜15:00
  場 所 中央水産研究所高知庁舎(高知県高知市桟橋通6丁目1−21)
  入場料 無料
  テーマ 「黒潮の海と生き物」−集まれ海の仲間たち−
  概 要 ★展示コーナー...黒潮研究のすべて
       ★パネルの展示・研究機材の展示
       ★体験コーナー: ミクロの世界をのぞいて見よう!
       ★チャレンジ!お魚クイズ
       ★こたか丸船内の公開(雨天・強風中止)
         安全のため、サンダル履きはご遠慮下さい。
         (公開時間)10:00-12:00,13:00-15:00

       詳細はこちら → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/koukai/h18/kochi.htm
  お問い合わせ 電話088−832−5146


 ●瀬戸内海区水産研究所一般公開
  開催日 平成18年7月22日 10:00〜15:30
  場 所 瀬戸内海区水産研究所(広島県廿日市市丸石2-17-5)
  入場料 無料
  テーマ 「大好き!瀬戸内海」
  概 要 ★研究紹介コーナー
       「小さな稚魚が大きく育つ海」
        「生き物からのメッセージ」
       「ミクロの世界をのぞいてみよう」
       「年の功より亀の甲」
       ★お楽しみコーナー
       「海藻押し葉」
       「タッチプール」
       「おさかなクイズ」
       ★漁業調査船「しらふじ丸」公開

  詳細はこちら → http://feis.fra.affrc.go.jp/event/h18koukai/h18index.html
  お問い合わせ 電話0829−55−0666


 ●中央水産研究所横須賀庁舎一般公開
  開催日 平成18年7月29日 10:00〜15:00
  場 所 中央水産研究所横須賀庁舎(横須賀市長井6-31-1)
  入場料 無料
  テーマ 「魚介類の親子の関係」
  概 要 ★水産研究所の紹介 研究内容の紹介など
       ★魚介類の展示 色々な生き物の子ども
       ★タッチプール ヒトデ、ナマコ、カニなど磯の生き物とのふれあい
       ★採集調査機器展示 調査用の網や水質測定機器
       ★ビデオ上映 海や漁業に関するビデオを上映

  詳細はこちら → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/yokosuka/open_day2006.html
  お問い合わせ 電話046−856−2887


 ●小浜栽培漁業センター合同一般公開
(隣接する福井県栽培漁業センター、福井県立大学海洋生物資源臨海
   研究センターと合同で一般公開を行います。)
  開催日 平成18年7月29日 10:00〜15:00
  場 所 小浜栽培漁業センター(福井県小浜市泊26号)
  入場料 無料
  テーマ 「見に来て!海と魚の発見!」
  概 要 ★講演、施設見学
       ★体験ヒラメ稚魚放流
       (体験ヒラメ稚魚放流は13:00〜14:00
        なお、稚魚がいなくなった時点で終了します。)

  詳細はこちら → http://ncse.fra.affrc.go.jp/09event/090event_003.html
  お問い合わせ 電話0770−52−2660


 ●中央水産研究所日光庁舎一般公開
  開催日 平成18年8月1日 9:00〜16:00
  場 所 中央水産研究所日光庁舎(栃木県日光市中宮祠2482-3)
    入場料 無料
  概 要 ★「おさかな情報館」オープン!
       ★池に入ってみよう!
       ★エサやりコーナー
       ★毎年恒例・・・おさかな博士クイズ

    詳細はこちら → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/koukai/h18/nikko/
  お問い合わせ 電話0288−55−0055


【イベント報告】

     ◆広報展示施設「おさかな情報館」開館式の実施

    平成18年6月29日(木)栃木県日光市の当センター中央水産研究所  日光庁舎において、広報展示施設「おさかな情報館」の開館式を行いまし  た。当日は好天にも恵まれ、井貫晴介水産庁増殖推進部長、斉藤文夫日光  市長をはじめとする関係者と、東京都内の小学校の児童ら、約140名が参加し、開館式のほか、開館記念講演、開館記念セミナーを開催しました。

  この「おさかな情報館」は、さかなに関する様々な情報を、資料展示や  映像、ライブラリーなどでわかりやすく展示しています。日光へお出かけの際は、ぜひお立ち寄り下さい。

     当日の様子はこちら
  →   http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180630/


【プレスリリース報告】

 ◆水産研究交流・協力の促進をめざして
(日中韓における水産研究機関の機関長会議開催)
   (6月13日リリース)
  去る6月8日大韓民国の釜山において、日中韓三国の水産研究機関の機関長会議が開催され、日本側より、当センターの川口恭一理事長が出席致しました。この会議で、三国共同の覚書(MOU)締結の方針、増養殖研究、鯨類資源研究、気候変化に伴う海洋環境変動及び水産資源の変動に関する研究や、大型クラゲの共同研究など相互に関心のある分野についての積極的な研究協力、水産関係資料の交換や研究者交流の促進などを確認しました。

  このことにより、日中韓三国の水産研究分野における交流協力が大きく前 進するとともに、日中韓三国が隣接する東シナ海やその周辺海域における漁 業資源の管理方策の確立に大きく寄与することが期待されます。

  詳細はこちら
     → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180613/


【編集後記】

 今日は7月12日です。明日13日は、日本標準時制定記念日だそうです。 日本の時刻制度は江戸時代までは各地の地方時を使っていましたが、明治時 代になって電信や鉄道などの新しい技術が導入されると、国内各地で別々の 時刻を使用するのは非常に不便になってきました。そこで幾つかの動きが出 て、電信局は全国で東京時刻を使用することとし、また気象台では全国で京 都時刻を使用することとしました。

 しかし明治17年(1884)ワシントンで国際会議が開かれ、各国はでき るだけ子午線の度数が15度の整数倍の所の地方時を使用することになりま す。そこで日本でも東経135度線、つまり明石時刻が使用されることにな りました。この会議の結果を受けて明治19年(1886)7月13日勅令5 1号により明石時刻が日本標準時と定められ、明治21年1月1日から施行 されたそうです。

 まさに歴史の1ページを刻んだ記念日ですよね。


【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

 配信解除、配信先変更等 
  → http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

  ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp

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