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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 23 号     平成18年8月9日
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。ようやく長かった梅雨も明け、 夏の高校野球も始まりいよいよ夏本番です!!夏休みをとって海へ、山へと 出かけられる方も多いことでしょう。おでかけの際には熱中症にならぬよう、 十分水分をとるよう心がけましょう。


【目次】

◆ シリーズ        栽培漁業のさかなたち」を連載中
◆調査船運航状況   水研センター調査船1隻の紹介です
◆お知らせ        『夏休みおさかな相談室』を開設しました
               おさかなセミナーくしろ2006
◆イベント情報      各水研等で開催される一般公開の情報です
◆プレスリリース報告  7月21日・8月3日リリースイベント報告
◆編集後記        担当者のひとりごと
◆配信手続き       配信停止・配信先変更等

【シリーズ】

  栽培漁業のさかなたち−15 クエ

 クエは、南日本から東シナ海、台湾にかけての暖かい海に分布するスズキ目 ハタ科の魚です。最大1.5m、100kgにも達し、日本のハタ類ではマハタととも に最大級といえます。生息場所は外洋に面した潮通しのよい沿岸の岩礁域で、 夜行性のため昼間は岩棚の下や岩穴に入り込み、外に出てくることはほとんど ありません。夜になると這い出し、魚やエビ、カニ、イカなどを食べています。 クエの名前は体に九つの絵が書いてあるように見えることから九絵(クエ)と 名づけられたといいます。大型のものはモロコとも称され、大物釣りの対象魚 としても人気があります。

 クエは卵からふ化したときの大きさがマダイやヒラメなどの一般的な魚に比 べて2/3程度と小さいのですが、 1歳で20cm、2歳で40cm、約1kgになります。 養殖ではさらに成長が良く、1歳半で1kg以上に成長した例もあります。ハタの 仲間は性転換することで知られていますがクエもご多聞に漏れず、小さいうち は雌で、10歳以上になると性転換して雄になるものが出てきます。生物学的最 小形(成熟する最も小さいサイズ)は雄で体重7.4 kg(全長74.2 cm)、雌で体 重3.5 kg(全長59.0 cm)と言われています。5月から初夏が産卵期と言われ、 1尾当たりの産卵数は数百万にもなります。

 クエは漁獲量が少ないことから私たち一般庶民の口にはなかなか入りませんが、 白身の魚でハタ類の中では最も美味と言われ、刺身(薄造り)、鍋、唐揚げなど が有名です。旬は産卵期を除いた秋〜春で、大きいものほどおいしいと言われま す。クエはちゃんこ鍋の材料としても有名で、特に福岡では晩秋に大相撲九州場 所が行われて需要が増えるため、通常1kgあたり7千円前後で取り引きされている ものが2万円を超えることもあるそうです。

 市場ではハタあるいはアラという銘柄で他のハタ科魚類とともに取り扱われる ことが多く、全国の正確なクエの漁獲量は不明ですが、統計がとられている長崎 県をみると過去4年間の長崎県における漁獲量は約10〜40トン、五島列島福江島 周辺の漁獲量は5〜9トン程度で増加傾向にあります。その原因の一つとして、 他魚種での漁業不振の影響からクエ漁業に転換する漁業者が急増していることが 挙げられ、漁獲量そのものは増加傾向ですが漁獲されるサイズが次第に小型化す る傾向にあります。

 クエの栽培漁業への取り組みは、昭和58年に五島栽培漁業センターで始まりま した。当初は採卵に用いる雄親魚の確保が困難でしたが、雌にホルモン剤を経口 投与することによって雄化することに成功し、3 kg程度の個体からも精子を得る ことが可能となりました。また、ふ化した仔魚が小さくてショックに弱いため、 従来の飼育方法ではふ化後の10日間に90%が死んでいました。さらにウイルス病 の発生によって種苗が生産できなくなるケースが多くありました。

 そこで、ふ化仔魚の段階では通気量をごく微量に抑え、なおかつ仔魚が水槽の 底に沈まないように穏やかな水流が保たれるように工夫しました。また、仔魚が 餌を摂り始める時期に飢餓状態になるのを防ぐため、水槽内を摂餌に適した照度 に調整するとともに、きめ細かい給餌を行いました。ウイルス病対策では、親か ら子へあるいは外部から水槽内へウイルスが混入しないよう、感染経路の遮断を 徹底しました。

 これらの飼育技術の開発により、平成14年度以降はふ化から30mmまでの生残率 が10〜20%に向上し、10万尾を超える生産もほぼ計画通りできるようになってき ました。平成14年以降は約0.5万尾(0歳魚)を福江島周辺の人工魚礁(築磯)へ 放流し、放流後の成長および滞留状況などの調査を実施しています。クエは放流 場所に滞留する性質が強いようで、放流後3年を経過した後でも放流魚の一部が 滞留していた例もあります。しかし、クエの放流手法(場所、サイズ、時期など) については、未だに解明できていない点も多く、若齢の天然魚などとの相互関係 や生態・行動について、今後も調査を継続していくことにしています。


 【調査船運航状況】

 ◆俊鷹丸(遠洋水産研究所)は、7月25日から9月8日までの予定で太平洋、 東シナ海海域において、マゴンドウやハンドウイルカ等の小型鯨類の資源量推定に必要な目視データを収集する目的とした調査航海を実施します。

  俊鷹丸の詳細
  →http://fsf.fra.affrc.go.jp/syunyo/syunyo.html


【お知らせ】

 ◆『夏休みおさかな相談室』を開設しました。

  小・中学生を対象に魚や海に対する疑問や興味に答えるものです。
 夏休み期間中の毎週金曜日に、電話(0154−92−1725・1702)
 とメールで受付します。(受付時間は16時まで)

 質問内容は魚や海に関してどのような質問でも構いません。
 ふと、頭に浮かんだ謎や素朴な質問、魚や海藻の名前なども大丈夫です。
 夏休みの金曜日はどしどし質問をしよう!

  くわしくはこちら
   →  http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/osakana/osakanasoudan.htm


 ◆おさかなセミナーくしろ2006

  北海道区水産研究所では関係機関と共に「おさかなセミナーくしろ2006」
 “気候の変化、海の生き物の変化”を下記のとおり開催します。

  このセミナーでは、地球温暖化と海の関わりや、北海道で馴染みのあるサンマ  やニシン、また、近年大量発生で騒がれています大型クラゲ(エチゼンクラゲ)  など、わかりやすく紹介します。

  講演会・パネル展への参加をお待ちしております。

  くわしくはこちら
   →  http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/osakana/osakanasoudan.htm


【イベント情報】

◆各水研等で開催される一般公開の情報です
  イベントカレンダー → http://www.fra.affrc.go.jp/cgi-bin/event/event.cgi

 ●養殖研究所一般公開
  開催日 平成18年8月26日 10:00〜15:00
  場 所 養殖研究所(三重県度会郡玉城町昼田224−1)
  入場料 無料
  テーマ 「いろいろな魚のすむ川や湖の環境ー外国からきた魚の問題を中心としてー」テーマ 「いろいろな魚のすむ川や湖の環境ー外国からきた魚の問題を中心としてー」
  概 要★講演会:名古屋 博之 1回目:10:30〜 2回目:13:30〜
      ★金魚すくい
      ★タッチプール
      ★釣り堀コーナー
      ★海藻のしおり作り  
      ★お魚クイズ
      ★研究紹介展示
      ★お魚カフェ
      ★ミニ水族館

  来場に際してのお願い
    ・屋外イベントでは天候により中断・中止の場合もありますので、ご了承下さい。
    ・タッチプールでは服が濡れることがありますので、特にお子様には着替えをご用意下さい。

  詳細はこちら → http://nria.fra.affrc.go.jp/koukai06/koukai06.html
  お問い合わせ 電話0599−66−1830


 ●中央水産研究所一般公開
  開催日 平成18年9月9日 10:00〜16:00
  場 所 中央水産研究所(神奈川県横浜市金沢区福浦2−12−4)
  入場料 無料
  テーマ 「みんなで語ろう魚と海〜私たちはどんな魚を食べているのだろう〜」
  概 要★あさりによる浄化実験
      ★「かたくちいわしを食べてみよう」
      ★サイエンスカフェ/市民講座
      ★調査船「蒼鷹丸」見学
      ★おみやげもあるよ(魚醤油)

  詳細はこちら → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/koukai/h18/yokohama/
  お問い合わせ 電話045−788−7607


 ●東北区水産研究所一般公開
  開催日 平成18年9月23日 10:00〜15:00
  場 所 東北区水産研究所(塩釜市新浜町3−27−5)
  入場料 無料
  テーマ 「きみの海がここにある」
  概 要★観察しよう、海のプランクトン
      ★タッチプール、海の生き物どんな感じ
      ★どんな世界、電子顕微鏡の中
      ★知ってる、DNA(遺伝子)のこと
      ★何色かな、海藻いろいろ
      ★探検しよう、調査船「若鷹丸」

  詳細はこちら → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/h18ippankoukai.html
  お問い合わせ 電話022−365−7416


【プレスリリース報告】

 ◆大型クラゲについて中国の研究機関と調査研究の協力を開始
   (7月21日リリース)

 今年度から始まった水産庁事業「大型クラゲ発生源水域における国際共同調査」 の一環として、今月11日から14日まで当センターの研究者3名が上海にある中華人 民共和国水産科学研究院東海水産研究所を訪問し、大型クラゲに関する研究協力 について協議を行ないました。

 双方は、両機関おのおのが実施する大型クラゲの分布並びに生態研究等で得られ る成果について相互に交換することを確認しました。また、この協議の中で、同水 産科学研究院から、今年6月中旬に実施した調査で得られた東シナ海・黄海水域に おける大型クラゲの分布情報が提供されました。

 これによれば、大型クラゲ(Nemopilema nomurai)の分布海域は、北緯31度30分、 東経123〜125度で昨年とほぼ同様の海域でしたが、分布密度は昨年と比較して1/10 程度と少ないものでした。

 当センターとしては、大型クラゲに関する調査研究について、今後とも同水産科 学研究院との間の協力関係を維持発展させて参ります。

  詳細はこちら
   → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180721/


◆沿岸域の水温がアユ遡上量変動に影響
          −日本海沿岸域におけるアユ稚魚の生態解明が進む−
   (8月3日リリース)

 アユは我が国の夏を代表する魚ですが、特に日本海側の河川では、平成15〜16年 に広範囲にわたって海から遡上する稚アユの量が激減し、資源の枯渇が危惧されま した。
 このため、当センターでは、平成17年度からアユ資源の安定化を図るため、遡上 量の変動要因の解明や遡上量の予測技術の開発に取り組んでいます。

 これまでの調査から、平成15〜16年にみられた遡上量減少は、海での生残率が極 めて低かったためであること、一方、資源維持に最低限必要な親は生き残り、遺伝 的多様性は維持されていたことがわかりました。また、海で生活する稚アユの行動 範囲が河口周辺の沿岸域に限定されているとの知見も得られ、遡上量の変動要因の 一つは、晩秋から冬にかけて(特に10月)の沿岸水温で、高水温ほど翌年春の遡上 量が多い傾向があるなどのことがわかりました。

 この報告は平成17年度先端技術を活用した農林水産研究高度化事業「沿岸域にお けるアユの生態特性の解明及び遡上量予測技術の開発(平成17〜19年度)」におけ る初年度の成果の一部であり、さらに研究を進め、アユ遡上予測技術の開発に取り 組んでいきます。

  詳細はこちら
   → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180803/


【編集後記】

 今日は8月9日ですが、昨日の8月8日はタコの日だそうです。タコの足の数が8 本あることから、広島県・三原観光協会が記念日と定めて、1996(平成8)年か らタコ供養を行っているそうです。

 日本でタコといえば、酢だこ、たこ焼きなど食卓を飾る一品として欠かせませんが、 ヨーロッパや中東ではデビルフィッシュ(悪魔の魚)とされているそうです。

 ついつい見かけで判断してしまうのは、古今東西を問わないようですね。




【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
    → http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

  ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp  
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編集・刊行・配信:
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