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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 24 号     平成18年9月13日
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。  先週はとってもうれしいニュースがありましたよね。秋篠宮さま、紀子さま ご夫妻に待望の男子「悠仁(ひさひと)さま」の誕生です。おめでとうござい ます。すくすくとお育ちになられることを心より願っております。

【目次】

 ◆シリーズ        「栽培漁業のさかなたち」を連載中
 ◆ローカル便り      各研究所等でのトピックスを紹介
 ◆お知らせ        第4回成果発表会を開催します!!
                おさかな瓦版第12号刊行案内
 ◆イベント情報      各水研等で開催される一般公開の情報です
 ◆プレスリリース報告  9月1日・9月5日リリース
 ◆編集後記        担当者のひとりごと
 ◆配信手続き       配信停止・配信先変更等

【シリーズ】

  栽培漁業のさかなたち−16 トヤマエビ

 トヤマエビは、タラバエビ科タラバエビ属に属する深海性のエビで、水深 100〜400mの海底に生息し、北太平洋北部、ベーリング海、オホーツク海お よび日本海に分布しています。「トヤマエビ」の名前は、かつて富山湾でた くさん漁獲されたことに由来しています。一般的には「ボタンエビ」の名前 で流通していますが、標準和名の「ボタンエビ」というエビは、同じタラバ エビ属に属する別種なので、市場でも混乱することがあるようです。トヤマ エビは1kg当たり3,000〜4,000円の高価なエビとして取引されています。

 トヤマエビは、ホッコクアカエビ(甘エビ)などと同様に性転換をするエ ビで、小さいときは全て雄であり、その後、雌になります。性転換する年齢 は海域によって異なり、噴火湾で2〜3歳、オホーツク海で3〜4歳、日本海で 4〜5歳とされています。寿命は8〜10年とされ、体長は約20cmに達する比較 的大型のエビです。トヤマエビの繁殖生態は海域によって異なり、日本海で は雌が1年おきに産卵するのに対し、太平洋では毎年産卵します。産卵期は 一般的に初夏で、5〜6月に産卵を行い、卵を腹部に抱えたまま約10ヵ月間を 過ごし、翌年の3〜4月に幼生がふ化します。1回のふ化尾数は親エビの大き さにより異なりますが、概ね6,000〜10,000尾です。
ふ化した幼生はゾエアと呼ばれ、約1ヶ月で6回の脱皮を行って親と同じよ うな形態の全長5〜6mmの稚エビになります。その後は1年で体長約6cm、2年 で10cm、3年で12cmに成長し、20cmになるには8年ほど要すると言われていま す。

 漁獲統計では「トヤマエビ」という単独の銘柄はなく、その他のえび類と して集計されているため、全国の漁獲量は正確には把握されていません。漁 獲量の大半は北海道で、中でも噴火湾が漁獲量の70%を占めています。噴火 湾のトヤマエビ漁獲量は、1990年には790tまで増加しましたが、その後100 〜500tの間で激しく変動しています。また名前の由来となった富山湾では、 1963〜1964年には漁獲量が300tを超えていましたが、近年の漁獲量はわず か10t程度まで減少しています。そのため、各地で栽培漁業による資源の増 大が試みられています。

 トヤマエビの種苗生産は、1972年に北海道立栽培漁業総合センターで初め て行われ、その後、水産総合研究センター小浜栽培漁業センターや富山県水 産試験場でも技術開発が行われました。現在では親エビの入手や短期養成の 技術、基本的な飼育の技術、種苗生産における疾病を防除する技術等が開発 され、1機関当たり100万尾の稚エビを70%の生残率で安定生産できるように なっています。近年、放流種苗の遺伝的多様性について議論が高まっていま すが、これに関連して漁獲海域ごとの天然トヤマエビの遺伝的差異を把握す る調査が行われ、海域毎の遺伝的差異はないという結果が得られています。

http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_044.html

 生産した稚エビを放流種苗まで育てる中間育成技術開発では、餌料や適正 育成密度がほぼ解明されました。また、海洋深層水を利用することにより安 定した中間育成が行えるようにもなっています。

 放流技術の開発は富山湾をモデル海域として行われ、2000年には100万尾 の大量放流を行いました。また、放流はトヤマエビ用に開発された放流器で 行い、水深200〜300mの海底近くまで放流器ごと沈め、船上から音波を発信 することにより放流器の蓋を開けて放流する技術も開発されています。 親エビや1歳エビの標識放流追跡調査の結果から、トヤマエビの移動は小 さく、定着性が非常に強いため、栽培漁業に適したエビであることがわかっ てきました。しかし甲殻類に共通する、小型種苗に装着できる有効な標識が ないという問題点が残されているため、放流された小型エビの生態(移動、 成長など)や回収率(放流されたエビのうち、どれぐらいが漁獲されている か)は明らかになっていません。
 水産総合研究センターでは親エビ養成や種苗生産の技術開発がほぼ終了し たため、平成17年度以降はトヤマエビに特化した栽培漁業技術の開発を行っ ていませんが、放流の効果を明らかにするために必須である標識の技術開発 に、今後も積極的に取り組んでいきます。


【ローカル便り】

 ◆金子農林水産大臣政務官がクロマグロ種苗生産施設を視察

   平成18年8月22日に金子農林水産大臣政務官が、鹿児島県奄美大島の産 業視察の一環として、水研センター奄美栽培漁業センターに来場されました。

  詳しくはこちら   → http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_092.html

 ◆貝毒簡易測定キットの開発

   カキやホタテガイの貝毒を簡単に判別できる試薬キットを開発したこと   が、朝日新聞で報道されました。

 ◆コスタリカ訪問記

 2005年10月31日から11月20日まで、JICAのコスタリカ・ニコヤ湾持続的   漁業管理プロジェクト短期専門家(魚年齢査定評価)として中央水産研究   所の片山知史主任研究員が派遣され、その概要の報告です。

  詳しくはこちら
→ http://nrifs.fra.affrc.go.jp/letters/letter03-/200602/body.html

◆宇宙から観たクジラの水中生態

 人工衛星追跡や多情報データロガーなどの先端技術を使いクジラ、イルカ   、サメなどの大型海洋動物の回遊・潜水生態を解明するために実施した交付   金プロジェクトの成果を発表するシンポジウムが2006年10月7日(土)に開 催されます。

詳しくはこちら
→http://bg66.soc.i.kyoto-u.ac.jp/biologging/wiki_image/arai/H18Symposium/poster.jpg

◆日中韓MOU事前会議が開催

  現在、日本、中国及び韓国の間ではそれぞれ2カ国(日中、日韓、中韓)   による共同研究が実施されていますが、日中韓3カ国による共同研究は実施   されていません。東シナ海等同じ海を利用している3カ国の共同研究は、今   後の水産資源の有効利用に不可欠です。

詳しくはこちら
→ http://snf.fra.affrc.go.jp/temporary/mou/MOU.htm

◆沿岸域「自然共生」研究の成果報告会の開催

 農林水産省委託プロジェクト研究『流域圏における水循環・農林水産生態 系の自然共生型管理技術の開発』において、水産総合研究センターが担当し   た汽水域から沿岸域に至る水物質循環や生態系管理に資する研究の成果報告   会が2006年10月10日(火)に開催されます。

詳しくはこちら
→ http://nrife.fra.affrc.go.jp/seika/sizenkyousei.html


【お知らせ】

◆第4回成果発表会を開催します!!

 わたくしども水産総合研究センターでは、日頃さまざまな形で調査研究の成果 の普及に努めております。

 そのひとつとして水産関係者をはじめ一般市民を対象とした成果発表会を毎年 開催しておりますが、このたび第4回成果発表会を下記の通り行うことといたし ました。

 今年のテーマは「ふやす、とる、たべる−攻めの水産研究−」とし、当センタ ーが日頃取り組んでいる水産物の生産から消費までを対象とした幅広い調査研究 の成果をご紹介いたします。

日時:2006年10月4日(水)13:30〜16:30

場所:日本消防会館 ニッショーホール 港区虎ノ門2−9−16

  地図はこちら
→ http://www.fra.affrc.go.jp/seika/image/map.gif

プログラム:
  1.瀬戸内海のさかなを栽培する! −サワラが増えた−
  2.アサリの生まれと育ちをゲノムで判別!
  3.良質カツオを上手に獲る!
  4.宇宙からイカのサイズを探る!
  5.サケにバーコード!どうやって?何のため?
  6.やっぱり、さかなは健康食だ! −新たな健康機能とは−

より詳しい発表の概要はこちら
→ http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180905/besshi.htm

入場料:無料

ご来場の方全員に、水研センターオリジナルキーホルダーを差し上げています。
皆様お誘いあわせのうえ、是非!ご参加ください!!

参加をご希望される方はこちら
→ http://www.fra.affrc.go.jp/regist/

電話・FAXによる参加受付もしております。お問い合わせはこちらまで

→ 電 話:045−227−2625
   FAX:045−227−2702


◆おさかな瓦版第12号を刊行しました。

 このたび、当センターのニューズレター「おさかな瓦版」第12号を刊行し  ました。
 シリーズ「北の海のさかなたち」、4回目の今号はタラバガニです。

 もうひとつのシリーズ「書籍で知る日本の水産」気になる第4回の内容は、  暑い夏にはもってこいの怪談話!?です。魚を擬人化していて、こわいという  よりおもしろそうなお話です。

 また「おさかなクイズ」でさかなに関する豆知識などもわかりやすく掲載し  ています。
 次号は、平成18年10月10日刊行予定です。

第12号はこちら
→ http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/letter/no12.pdf

その他、水研センター発行の刊行物はこちら
→ http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/bull-index.html


【イベント情報】

◆各水研等で開催される一般公開の情報です
イベントカレンダー →
http://www.fra.affrc.go.jp/cgi-bin/event/event.cgi

●東北区水産研究所一般公開
  開催日 平成18年9月23日 10:00〜15:00
  場 所 東北区水産研究所(塩釜市新浜町3−27−5)
  入場料 無料
  テーマ 「きみの海がここにある」
  概 要★観察しよう、海のプランクトン
      ★タッチプール、海の生き物どんな感じ
      ★どんな世界、電子顕微鏡の中
      ★知ってる、DNA(遺伝子)のこと
      ★何色かな、海藻いろいろ
      ★探検しよう、調査船「若鷹丸」

詳細はこちら → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/h18ippankoukai.html
お問い合わせ 電話022−365−7416


●中央水産研究所上田庁舎一般公開
  開催日 平成18年9月30日 10:00〜16:00
  場 所 中央水産研究所(上田市小牧1088)
  入場料 無料
  テーマ 「水辺にもっと親しみを!〜知る・遊ぶ・味わう〜−集まれ海の仲間たち 」
  概 要★研究紹介
      ★千曲川にいる魚の展示・・・庁舎内の水路にいる淡水魚を中心に水槽で展示。
      ★ビオトープ(水路)探検・・・庁舎内のビオトープで水辺の生き物を観察する。
      (先着40名程度(未定)で午前と午後の2回行う)
      ★講演「淡水魚の食文化について〜アジア編〜」:講演時間30分(質疑応答を含む)
                   (利用加工部・機能評価研究室 金庭 正樹 室長)
      ★イッツ・クッキング・タイム!・・淡水魚を使った料理を味わう。熱薫作り体験。

詳細はこちら → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/koukai/h18/ueda/
お問い合わせ 電話0268−22−0594


●日本海区研究所一般公開
  開催日 平成18年9月30日 10:00〜15:30
  場 所 日本海区研究所(新潟市水道町1−5939−22 )
  入場料 無料
  テーマ 「のぞいてみよう魚たちのくらし」
  概 要★スルメイカのなぞを探ろう(解剖体験)
      ★魚たちのくらしの場を調べる
      ★海辺のいきもの大集合
      ★鮭 アラカルト
      ★おさかなカフェ「のぞいてみようサケのくらし」
      ★漁業調査船みずほ丸船内公開 (すべりにくい靴でおこしください)

詳細はこちら → http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/event/18ippannkoukai.html
お問い合わせ 電話025−228−0451



【プレスリリース報告】

    ◆近海まぐろはえ縄漁業の再生を図るために
−次世代型近海まぐろはえ縄漁船の実証化調査を実施−
   (9月1日リリース)

 水産総合研究センターでは、近年の魚価の低迷や燃費の高騰等により経営が非常  に厳しい状況にある近海まぐろはえ縄漁業の再生を図るため、経費の削減や漁獲物  の付加価値向上等をめざした実証化調査を実施します。

 具体的には、直巻きモノフィラリールシステム導入による従来船16名乗り組みか  ら2名の減員、低回転大直径プロペラやバトックフロー型船尾にすることによる燃料  消費量10%の削減、シャーベット状海水氷使用の小区画魚倉や魔法瓶式魚倉等を導  入して鮮度保持効果を高めるとともに、市場、仲卸、加工業者等と協力して製品の  差別化を行い販売単価10%向上をめざすなどです。

 調査はこれらの設備を盛り込んだ次世代型近海まぐろはえ縄漁船「海青丸」(149  トン)を用船して、平成18年9月1日から平成19年3月31日まで北部太平洋海域で行い  ます。

  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180901/


 ◆第4回成果発表会の開催について
   (9月5日リリース)

 独立行政法人水産総合研究センターでは、さまざまな形で調査研究の成果の普及  に努めています。その一つとして、水産関係者をはじめ広く一般の方達も対象とし  た成果発表会を毎年開催しています。

 本年の第4回成果発表会は下記のとおりとし、当センターが日頃取り組んでいる水  産物の生産から消費までを対象とした幅広い調査研究の成果を紹介致します。

入場無料でホームページ等で参加受付中ですので、よろしくお願い致します。

→ http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180905/


【編集後記】

 今日は9月13日ですが、昨日の9月12日は水路記念日です。

 明治2年8月に兵部省が設置され、翌3年3月その下に海軍掛と陸軍掛との分課が 設けられました。そして、明治4年7月28日に兵部省が海軍部と陸軍部に分けられ、 この時に海軍部に第1秘史局、第2軍務局、第3造船局、第4水路局、第5会計局の 5局が設置されました。ここに、当時わが国の緊急課題であった日本沿岸の安全を図 るための海図作りを使命とした水路局が初めて誕生したのです。

 その後、昭和32年、海上保安庁が水路局の誕生した7月28日を水路部の創立の 日として制定していましたが、昭和46年の創立100年を期して、太陰暦から太陽 暦に換算し、9月12日を創立の日とし、以後、この日を水路記念日としているそう です。

 カーナビやロードマップがあるから自動車をスムーズに運転出来るように、海図が あるからこそ漁船を安全に操船することが出来ます。私たちが、おいしいお魚を食べ ることが出来るのもいわば海図のおかげ。海図に乾杯! 


  【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
→ http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

 ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp  
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編集・刊行・配信:
独立行政法人 水産総合研究センター
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