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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 27 号     平成18年12月13日
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 今年も残すところわずかとなり、忘年会がもうお済みの方、これからの方、 半分終わったよ!という方といろいろいらっしゃると思いますが、飲み過ぎに はくれぐれも注意ですよ。

 今年の4月からメルマガを担当することとなり早9ヶ月、あっという間に 月日が流れて行きました。いろいろやらなければ・・・と思いつつなかなか 思うように出来ないものです。来年は今年よりもさらに充実した情報をお届 け出来るよう努力していきますので、何とぞよろしくお願いします。(担当:O)



【目次】

 ◆シリーズ         「栽培漁業のさかなたち」を連載中
 ◆イベント報告      農林水産祭(実りのフェスティバル)に出展しまし
                た!!
 ◆ローカル便り     クエの放流試験本格化-稚魚1万尾を標識放流-
               小学4年生を対象に特別授業を行いました。
               常陸宮両妃殿下が養殖研究所を視察されました。
               南伊勢高校の生徒(約20名)が南勢庁舎に来訪
                コスタリカ共和国ナショナル大学自然科学学部長
               が来所
 ◆お知らせ        「年報 平成17年度」刊行
 ◆イベント情報     平成18年度研究成果発表会の開催について
                               (日本海区)
                磯焼け対策シンポジウム『ウニを獲って藻場を回
                復しよう』の開催について
 ◆プレスリリース報告  色落ちしにくいノリを簡単に判別できる遺伝子を
               発見
  ◆編集後記       担当者のひとりごと
 ◆配信手続き      配信停止・配信先変更等



【シリーズ】
  
 栽培漁業のさかなたち−19 ズワイガニ


ズワイガニはクモガニ科に属する大型のカニで、北極海のアラスカ沿岸、 グリーンランド西岸、北米の大西洋・太平洋沿岸、ベーリング海、オホー ツク海、日本海、犬吠崎以北の太平洋沿岸などの200〜600mほどの水深帯 に広く分布・生息しています。その中でも日本海のズワイガニは、雄がマ ツバガニやエチゼンガニ、雌がセイコガニ、コウバコなどと呼ばれ、冬の 日本海を代表する食材として親しまれてきました。料理方法も様々で、茹 でガニ、蒸しガニ、カニ鍋(かにすき、かにちり)はもちろんのこと、焼 きガニ、刺身、カニしゃぶなどでも大変美味しく食べられます。最近では、 直接食べるだけでなく、殻を原料として精製したキトサンが、健康食品や 化粧品、医薬品などに用いられています。

名前の「ズワイ」は、楚(すわえ)が訛ったものと言われていますが、 「楚」とは大辞林(三省堂)によると「細く、まっすぐな若枝」のことだ そうで、ズワイガニの細長い足が木の枝を連想させたのでしょう。近年、 ズワイガニ(バイダル種)という表記で売られているカニを見かけますが、 これはオオズワイガニという別の種類ですのでご注意ください。但し、オ オズワイガニは一般にズワイガニよりも大きい上、味もそれほど変わらな いので、安く買えるようならお得かもしれません。

ズワイガニの卵は他の一般的なカニと同様、雌のお腹に抱えられたまま の状態でふ化します。ふ化直後の幼生はプレゾエアと呼ばれ、体長約3mmで、 すぐに海面近くまで浮上して浮遊生活を始めます。その後、脱皮するにし たがってゾエア、メガロパへと変態し、徐々に深い海へ生活の場を移しな がら、3ヶ月ほどで甲幅約3mmの稚ガニになります。ゾエア、メガロパの餌 は動物プランクトン、稚ガニ以降はクモヒトデや二枚貝、小型の甲殻類な どを食べています。稚ガニは8〜10年かけて10回の脱皮を繰り返し、甲幅約 8cmの親ガニになります。その後、雄は脱皮を続けて甲幅約15cm、足を広げ ると約80cmにも達しますが、雌はそれ以上脱皮をしませんので成長も止ま ります。1尾の雌ガニは直径0.6mmほどの卵を10万粒前後産み、卵は母ガニ のお腹に抱かれて1年から1年半後にふ化します。お腹に抱かれている期間 が長いため、雌は2年に一度しか産卵しません。

全国のズワイガニの漁獲量は、1968年の6万トン強をピークに急激に減少 し、現在は5千トン前後で推移しています。以前は卵を持った雌を大量に漁 獲し、子供がおやつ代わりに食べていたそうですが、そうした乱獲が資源の 減少に繋がったとも考えられます。資源量が減ったため、漁業法で禁漁期が 決められるようになり、日本海の主漁場である石川県以西では、雄は11月か ら翌年3月まで、雌は11月から1月までしか漁が許可されていません。

ズワイガニは、特に日本海側の各県で水産物として古くから重要視されて おり、研究機関等で飼育技術の開発に取り組まれてきました。1964年に福井 県水産試験場においてふ化幼生の飼育に関する研究が開始され、1969年には 世界で初めて稚ガニまで育てることに成功しています。その後、石川県、鳥 取県、兵庫県等の研究機関において大量生産を目的とした飼育技術の開発が 行われましたが、 1985年に石川県水産試験場が1,502尾の稚ガニを生産した のが最高で、大量に飼育することは困難でした。一方、水産総合研究センタ ーでは、1984年に小浜栽培漁業センターで種苗生産技術の開発に着手しまし た。ズワイガニが大量生産できない理由として、成長が遅く飼育が長期間に わたるため、清浄な飼育環境の維持が困難であることや、幼生が沈下するた め水槽底面の掃除が難しいことなどが挙げられます。しかし、1994年以降、 管理の容易な小型容器(容量1L)を用いた基礎飼育技術の開発に取り組んだ 結果、再現性の高い安定した飼育が可能となり、稚ガニまでの平均生残率が 30 %を超えるようになりました。その結果を活用し、より大きい規模で幼生 の沈下防止を目的とした飼育水の攪拌装置の開発や、沈下した幼生の細菌感 染の防止を目的とした飼育環境の清浄化を行った結果、2003年には6,800尾、 2005年には8,800尾の稚ガニを飼育することに成功しました。

http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_072.html

日本海西部のズワイガニは、平成14年度から国の施策として資源回復計画 の対象種になりました。水産総合研究センターでは、前述した栽培漁業の取 り組みだけではなく、北海道区、東北区、日本海区の各水産研究所が資源調 査を行って漁獲可能な量を算定し、それに沿った漁業が行われることで乱獲 に歯止めをかける取り組みも行っています。これらの取り組みにより資源が 回復し、以前のように気軽にズワイガニを食べられるようになることを夢見 て、今も研究が続けられています。



【イベント報告】

 ◆農林水産祭(実りのフェスティバル)に出展しました!!

 独立行政法人水産総合研究センターは、平成18年11月17日(金) 〜18日(土)の2日間にわたり東京国際展示場(東京ビッグサイト) で行われた第45回農林水産祭”実りのフェスティバル”に出展しました。

  オープン初日は、一般開場の前に秋篠宮殿下がご来場され、当センター のブースも御覧になられました。当初の予定では3分間程度の御視察とい うことでしたが、当センター理事長からの御説明にも熱心に耳を傾けられ、 時間を大幅に延長しての御視察となりました。

  当センターブースでは、ウナギ、イセエビ、タイマイの種苗の展示、は く製の展示、パソコンおさかなクイズ、タッチプール、また、アカイカの 墨を使ったいか墨習字を企画し、子供たちから年配の方まで多くの方に楽 しんでいただきました。中でも一番人気だったのはサケのふ化の瞬間を見 ることができる水槽でした。水槽の前には多くの人がじっと中の様子を見 つめ、そして歓喜の声をあげていました。

  大会会場には4万7千人の来場があり、当センターブースには 6、500人の方にお立ち寄り頂きました。

  ご来場頂きました皆様、ありがとうございました。

詳しくはこちら   →ttp://www.fra.affrc.go.jp/topics/181118/index.html


【ローカル便り】
  
 ◆クエの放流試験本格化 −福江島(長崎県五島)に稚魚1万尾を標識放流-

クエはハタ類の中でも体長1m以上、体重では50kgを超えるまでにもなる と言われる大型魚で、温帯から亜熱帯の外洋に面した沿岸岩礁域に生息し ています。九州地方では“あら”と呼ばれ、“あら鍋”、“あらしゃぶ”、 刺身などで珍重されます。特にちゃんこ鍋に欠かせないとされ、横綱朝青 龍も「博多は魚がおいしいからね」と九州場所を楽しみにしているそうで す。
  クエは超高級魚であることでも有名で、鍋の季節でもあり、脂ののって いる年末には市場単価が8千円/kgから時には1万円/kgの高値に達するこ ともあります。もともと、めったに漁獲されない幻の魚と言われていまし たが、近年では更に獲るのが難しくなるなど漁獲量の減少が懸念され、多 くの地域から栽培漁業による資源の回復が望まれています。

  詳しくはこちら   →http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_097.html


 ◆小学4年生を対象に特別授業を行いました。

  平成18年12月6日(水)多賀城市立 天真小学校において、海を題材とした 特別授業を行いました。

 (※今回は、4年生80名を対象に総合的な学習(社会授業)の一環として開催。)

  水産研究についての仕事を紹介した後、以下の内容で授業を行い、実験や クイズをしながら海について理解を深めてもらいました。

  「海のふしぎについて」 〜海の水はなぜしょっぱいの〜
    1.海水のお話し
    2.しょっぱさの計り方、
    3.もしも海水がしょっぱくなくなったら

  クイズでは、いろんな回答がでてきて、子供達の想像力の豊かさには驚きま した。また「どっちの海水の方がしょっぱいか?」の体験コーナーでは、飲み 比べてみて「うわぁ、しょっぱい!」、「どっちかなぁ?むずかしい・・・」 と歓声をあげたり、子供達にとって海を身近に感じてもらえたのではないでしょうか?

  こういった機会を通じて、より多くの子供達が海や水産に興味をもってくれたら幸いです。

  詳しくはこちら   →http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/181206tensinsho.html


 ◆常陸宮両妃殿下が養殖研究所を視察されました。

 平成18年11月8日(水)午前、伊勢志摩国立公園において開催中の「第48回自 然公園大会」に御臨席される常陸宮正仁殿下・同華子妃殿下が養殖研究所南勢庁 舎(南伊勢町中津浜浦)を視察されました。

  当日は当所職員による説明の後、ウナギ飼育室において、「世界で初めてシ ラスウナギの人工生産に成功したウナギの成魚」を御覧になられました。引き続 き、対魚病関連の研究成果パネルについての説明を致しました。

    詳しくはこちら   →http://nria.fra.affrc.go.jp/gallery/shisatu/index.html


 ◆南伊勢高校の生徒(約20名)が南勢庁舎に来訪

  平成18年11月17日(金)午後、南伊勢高校(南島校舎)の生徒(約20名)が南勢庁舎   を訪れました。当日は講義棟大会議室において、世界で初めてシラスウナギの人   工生産に成功したウナギについての講義の後、場所を飼育室に移し、このウナギ   を観察しました。引き続き、魚病・診断研修棟においてコイヘルペス(KHV)病を   はじめとする魚病に関連した研究成果に関わる講義を行いました。

  詳しくはこちら   →http://nria.fra.affrc.go.jp/gallery/kengaku/index.html


 ◆コスタリカ共和国ナショナル大学自然科学学部長が来所

 平成18年11月29日(水)にコスタリカ共和国ナショナル大学自然科学学 部長Luis Manuek Sierra Sierra 氏が独立行政法人国際協力機構による研修の一 環として来所されました。

 水産工学研究所では、水産情報工学部資源情報工学研究室の室長による「計量   魚群探知機による資源量測定」に関する講義と波浪平面水槽実験棟、海洋工学総   合実験棟、測器電子機器実験棟での研究紹介を行いました。

  詳しくはこちら   →http://nrife.fra.affrc.go.jp/topics/topics_index.html


【お知らせ】

  ◆「年報 平成17年度」を刊行しました

  このたび、当センターの業務全般を1年ごとに取りまとめ、分かりやすい 形でご紹介するため「水産総合研究センター年報」を発刊いたしました。 これを読めば水研センターがより近く見える1冊です。ぜひご覧ください。

    詳しくはこちら     →http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/annual/no2.pdf


 
【イベント情報】
 
 ◆平成18年度研究成果発表会の開催について

 水産業や水産研究に関係・関心のある方々を対象として、日本海区水産  研究所、能登島栽培センター及び宮津栽培センターにおける最新の研究成  果をご紹介するため、研究成果発表会を下記の要領で開催します。あらか  じめ日本海区水産研究所業務推進課(電話 025-228-0469:FAX 025-224-0950)  まで参加人数をご連絡いただければ、どなたでも参加できますので、ぜひ  お越しください。入場は無料です。

    記

  1.日  時 12月22日(金) 13:00より17:00まで

  2.場  所 ガレッソホール (新潟駅前:コープシティ花園4階)
          (新潟市花園1丁目2番2号:電話 025-248-7511)
  3.発表演題

 (1)新潟県沖日本海におけるアカガレイの産卵および親魚の成熟状態(仮題)

  (2)日本海中部沿岸域におけるカタクチイワシの成熟・産卵と餌環境(仮題)

  (3)化学の目で探る沿岸漁場の環境

  (4)能登島栽培漁業センターにおけるマダラ当歳魚放流試験の現状

  (5)アカアマダイの巣穴形成行動と標識の影響について

(都合により発表の順番を変更することがあります)

   詳しくはこちら      →http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/event/18seikaannai.html


 ◆磯焼け対策シンポジウム『ウニを獲って藻場を回復しよう』の開催について

 (独)水産総合研究センターでは、水産庁の委託を受け、長期にわたって衰退 している藻場の回復に向けた検討を行っています。

 先般、静岡県御前崎市で実施した、魚の食害対策に引き続き、水産工学研 究所の主催によるウニの食害対策に関するシンポジウムを次のとおり開催致します。

 効率的なウニの密度管理や身入り改善の方法などについて、研究、行政、 企業、漁業など幅広い分野からの講演を準備しております。ふるってご参加下さい。

   日時:平成19年1月12日(金) 10:00〜17:00
   場所:国立大学法人 東京海洋大学 「楽水会館」(東京都港区)

 なお、当日のプログラム等詳細な内容は、後日、(独)水産総合研究センター のホームページに掲載予定です。



【プレスリリース報告】

  ◆色落ちしにくいノリを簡単に判別できる遺伝子を発見(12月7日リリース)


 独立行政法人水産総合研究センターでは、窒素不足によるノリの色落ちを、短 時間かつ簡便に判別可能とする遺伝子群を発見しました。これは、窒素が欠乏した 状態になってから24時間後という短い時間で変動する遺伝子群をマイクロアレイ技 術により確認したもので、培養実験による品種間の色落ちの違いとも一致しました。

 これまで、ノリの色落ちのしにくさを比較するには、1週間以上の培養実験を 必要としましたが、今回開発した技術を用いることにより1日で確認が可能となり、 色落ちしにくいノリの品種の選抜や育種の研究の進展が期待されます。さらにこ の技術は、養殖場での色落ちの早期予測へも応用できる可能性があり、早期収穫 など色落ち被害の軽減対策に繋がることも期待されます。

 この研究成果は、平成12年度漁期の有明海での、窒素不足による養殖ノリの 色落ち不作問題を契機に開始された水産庁委託「先端技術を活用した有明ノリ養 殖業強化対策研究委託事業」において、福岡県水産海洋技術センター有明海研究 所、佐賀県有明水産振興センター、三重大学と連携のもと得られたものです。

   詳しくはこちら       →http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181207/

 

  【編集後記】
 
  今日は13日ですが、昨日の12月12日はバッテリーの日だそうです。
野球の背番号で「1」投手と「2」捕手が、野球用語のバッテリーを表わすこと から日本蓄電池工業会が1985年に制定したそうです。

   冬期はエンジンがかかりにくくなるため、準備点検をしてもらおうということから もこのころが選ばれたようです。

 それはそうとして、なんでピッチャーとキャッチャーのことを合わせてバッテリー と言うのだろう???んーーー今夜も眠れなーい!!
 


  【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
→ http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

 ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp  
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編集・刊行・配信:
独立行政法人 水産総合研究センター
経営企画部 広報室

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