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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 28 号     平成19年1月10日
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  読者の皆様、新年あけましておめでとうございます!

  2006年は内外ともにいろいろなニュースがありましたよね。
 うれしいニュースから悲しいニュースと盛りたくさんでありました。

   水研センター内では、うれしいニュースがいっぱいありました。
 詳しくは後ほどお伝えすると致しまして・・・
  2007年も良い年になるよう、張り切って参りましょう。(担当:O)
  

 


【目次】

 ◆シリーズ        新連載!「水産加工品津々浦々」
 ◆特集          2006年水研センター十大ニュース
 ◆お知らせ       おさかな瓦版第14号を刊行
 ◆イベント情報     磯焼け対策シンポジウム『ウニを獲って藻場を回
               復しよう』の開催について
 ◆プレスリリース報告  ゲノム情報を利用した養殖用アワビ品種作出に
               向け大きく前進
 ◆編集後記       担当者のひとりごと
 ◆配信手続き      配信停止・配信先変更等



【シリーズ】
  
 「水産加工品津々浦々」−1 「するめ」

 さて、今月から今まで連載してきました「栽培漁業のさかなたち」 に変わり新しいシリーズが始まります。

 日本列島には魚、貝類、イカ、海藻などを素材にした水産加工品 が数え切れないほどたくさん存在します。その中から毎回一品にス ポットライトを当てて紹介していく新コーナー「水産加工品津々浦々」 を始めます。記念すべき1回目の水産加工品はこれを知らない人は いないというくらい有名な「するめ」です。

  ○するめとは

 するめは、イカ類の内臓を除去して乾燥させた素干し品であり、 最も簡便な加工品、保存食品の1つとして、古くより親しまれてき たものです。平安時代には、すでに朝廷に献上されたとの記録が残 っています。
 室町時代前後より戦後まで、中国などへの輸出品の花形でもあり、 特に、長崎県五島のけんさきするめは五島するめと称され、その代 表であり、品質も極上品とされていました。


   ○生産と消費の動向

   近年の生産は、1993年(平成5年)の1万8千トンをピーク に、概ね1万3千トンで横ばい状態にあります。

 → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/surume/index.htm#fig_1

 北海道、青森、富山、長崎、兵庫、岩手などの生産が多く、また 最近では中国、ベトナム、タイからの輸入もあります。
 するめ製品は、原料別では、けんさきするめ(一番するめ)、二  番するめ、ぶどうするめ、藻するめ(水するめ)、芭蕉するめ、甲 付するめ、笹するめなどがあり、製造方法別では、並するめ、磨す るめ、尾孔するめ、お多福するめ、袋するめ、白するめなどがあり ます(須山ほか:イカの利用、1983)。


   ○原料選択のポイント
 原料として、ヤリイカ、ケンサキイカ、ブドウイカ、スルメイカ、 トビイカ、アオリイカ、モンゴウイカなどを用います。原料の鮮度 は品質を大きく左右するので、冷凍原料を含めて管理には注意が必 要です。

 
 ○加工の原理

    素干し品であり、乾燥により水分活性を低下させ、風味と保存性 を付与したものです。


 ○実際の製造過程

 原料は鮮度良好で透明感のあるものが良く、最近では、船上冷凍  などの冷凍原料も使われるようになっています。
    調理方法は外套膜(胴体)腹側の中央部を頭部から、鰭側方向に 内臓を傷つけないように先端まで切り裂きます。けんさきするめの 場合、先端より1〜2cm手前で止めるのがコツです。さらに、頭 脚部も開き、軟甲を残して、内臓・眼球・嘴(くちばし)を除去し ます。その後、海水で丁寧に洗浄し、最後に真水で洗います。塩分 の付着があると、乾燥が悪く、製品が吸湿しやすく、光沢も劣って しまいます。
 
   表皮の剥皮は、製品によって異なります。外観を重視する磨するめ などの場合は剥皮を行います。その際には剥皮機を使うことが多いよ うです。けんさきするめは、後端部の表皮を胴の長さの約10%程度 を残し、真横にまっすぐ切り取ります。通常、鰭は除去しますが小型 の場合鰭を残します。このような製品を佐伯するめと呼ばれます。

 いよいよ最後の行程の乾燥・整形となっていきます。竹さおなどに 張ったロープに、S字型の針金をつり下げ、これにイカの後端部を掛 けます。竹串で胴体を広げ、長い脚部は両端の竹串に掛けます。 8〜9分乾き程度で一端伸展・整形を行い、乾燥後完成となります。
 最近では、円筒形乾燥枠のついた回転式乾燥機があり、天気の良 い日は屋外で、夜間は室内で回転させながら乾燥し、機械ローラー などで伸展・整形を行います。回転式の乾燥機は、遠心力などで水 分がとびやすいため乾燥が早く、また、動いているので蝿などもつ かずに衛生的です。

 → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/surume/index.htm#pic_1

 ○製品の形態・包装等

    製品は長脚で適宜束ねてくくられ、包装されます。


 ○品質管理のポイント

 製品としては、肉質のしまりが良く、美しい黄白色で、特有の香味 を有し、脚部や吸盤の脱落もなく、形が整い、重量も揃っているもの が良品です。吸湿や褐変による品質劣化に注意が必要であり、−20℃ 以下の冷凍保管が望ましいです。表面に白粉が浮き出ることがあり ますが、これはベタイン、タウリン、その他遊離アミノ酸の混合物と されています。


 ○成分の特徴

   するめにはアミノ酸のタウリンなどのエキス成分が多く含まれます。

 → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/surume/index.htm#fig_2



 ○食べ方

 焼いて食べるほか、料理素材として、多くの料理に利用されています。 また、縁起ものや飾りものとしての用途としても多く利用されています。



 いかがでしたでしょうか。意外と知らないことがたくさんあった 人も多かったのではないかと思われます。

 これらは、「全国水産加工品総覧」 編集委員会編 監修 福田裕  山澤正勝 岡崎惠美子 A5判、638頁、¥7,500(本体)+税 発行所  (株)光琳を参考に記述致しました。

 この本は水産総合研究センターが主催する水産利用関係試験研究推進 会議において、刊行することが合意され、都道府県の試験研究機関関係 者など約150名もの専門家により執筆されたものです。
 さらに詳しく知りたいなど、ご興味がある方は、この本を是非ご覧に なって下さい。

 詳しくはこちらから
 → http://www.korinbook.com/main/book/zenkokusuisan.html



【特 集】
  
 2006年を振り返り、水研センターが取り組んだ研究開発の中から、 10件を選び2006年水研センター十大ニュースとしてご紹介致します。

1.中国産アサリの迅速判別法を開発

 「農林水産研究高度化事業」緊急課題即応型調査研究により、国内産と輸入 アサリ(中国からのものと韓国南岸からのもの)のミトコンドリアDNAの全長 解析と、それぞれの塩基配列の違いを精査し、中国産のものは2系統、韓国 南岸産のものは1系統に整理されることを明らかにした。さらに、塩基配列 の違いが比較的大きい中国産アサリについてPCR法を用いた迅速判別手法を開 発した。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180509/

2.大型クラゲ対策の研究開発を推進

・大型クラゲ出現・出現予測情報を作成し、漁業情報サービスセンターと連携し関係者に提供。
・大型クラゲによる漁業被害の軽減対策技術に関するシンポジウムを開催。
・大型クラゲ対策のための漁具改良マニュアル第3版を配布。
・大型クラゲについて中国の研究機関と調査研究の協力を開始、第3回大型クラゲ国際ワークショップを開催。
・有明海における大型クラゲ分布調査を実施、本年はエチゼンクラゲの幼生、成体ともに発見、捕獲されず。
などの取り組みで、大型クラゲ問題に精力的に対応。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180706/
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/1806152/
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180421/
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181013/
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181005/

3.簡便な魚類用麻酔剤の開発技術を確立

 手軽に利用できる麻酔剤を開発することを目的として、数種類の炭酸塩、 有機酸、固形化促進剤を組み合わせて炭酸ガス発泡剤を試作し、魚類の麻酔 効果を検討、食品添加物である重曹、食添コハク酸、食添グリセリンで作製 した固形発泡剤(錠剤)が麻酔剤として有効であることを明らかにした。ま た、試作品では、市販麻酔剤の10分の1以下のコストで同様の麻酔効果が得 られた。今後、安全・便利・安価な市販麻酔剤の開発が可能になると期待さ れる。本技術は、現在特許出願中(特願2006-007865)。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr17/180207/masui1.htm

4.色落ちしにくいノリを簡単に判別できる遺伝子を発見

 窒素不足によるノリの色落ちを、短時間かつ簡便に判別可能とする遺伝子 群を発見。窒素が欠乏した状態になってから24時間後という短い時間で変動 する遺伝子群をマイクロアレイ技術により確認し、培養実験による品種間の 色落ちの違いとも一致。これまで1週間以上の培養実験が必要であったノリの 色落ちのしにくさの比較が、1日で確認可能となり、色落ちしにくいノリの品 種選抜や育種研究の進展が期待される。さらに、養殖場での早期予測による 早期収穫など色落ち被害の軽減対策に繋がることも期待される。この成果は、 福岡県水産海洋技術センター有明海研究所、佐賀県有明水産振興センター、 三重大学と連携のもと得られたもの。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181207/

5.次世代型漁船3隻による実証化調査がスタート

 9月には直巻きモノフィラリールシステムやシャーベット状海水氷使用の 魚倉を装備した次世代型近海まぐろ延縄漁船「海青丸」(149トン)によ る実証化調査が、また、10月には当業船のインド洋再進出の先駆けとして 二重反転プロペラやクーラー式の保冷魚倉を装備した次世代型海外まき網漁 船「日本丸」(744トン)及びミニ船団から更なる効率化を目指して揚網 時の省力化のための整反機やフィッシュポンプを装備した次世代型単船大中 型まき網漁船「北勝丸」(300トン)による実証化調査が、厳しい漁船漁 業界の救世主となるべく期待を込めてスタートした。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180901/
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180928/

6.さけますセンター全事業所の幼稚魚に耳石温度標識を施して放流
−さけます類の生態解明研究が進展−

 さけますセンターでは、さけます類の幼稚魚へ大量に標識を施すことが可 能な耳石温度標識技術を1998年から導入し、順次この標識設備の設置を進め てきた。2005年秋に全事業所への設置が完了し、2006年春に、個体群維持を 図るために放流したサケ、カラフトマス、サクラマスの幼稚魚全て(約1億4 千万尾)に耳石温度標識を施した。今後も継続して、一定多数の耳石標識魚 を放流、追跡調査することによって、日本系さけます類について、個体群毎 に放流から回帰に至るまでの移動分布、成長、生残の度合い等についての信 頼性の高いデータを把握することが可能となり、日本系さけます資源の維持 安定や国際的な資源管理に重要な調査研究の進展が期待される。



7.赤潮プランクトンの球形シャットネラはディクチオカ属であることが判明

 これまでラフィド藻綱シャットネラ属の一種とされていた赤潮生物シャッ トネラ・グロボーサ(球形シャットネラ)が、全く別の分類群に属するプラ ンクトンであることを明らかにし、日本プランクトン学会・日本ベントス学 会合同大会で発表。シャットネラ・グロボーサとディクチオカ属2種のリボゾ ームRNA遺伝子の塩基配列解析の結果、シャットネラ・グロボーサはディクチ オカ・フィブラの骨格を持たない遊走細胞であることが明らかとなった。シ ャットネラ・グロボーサの真の種が明らかになったことにより、モニタリン グがより正確に行えるようになり、赤潮生物としての本種の発生機構解明な ど今後の研究への進展が期待される。

  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180921/

8.ゲノム情報を利用した養殖用アワビ品種作出に向けて
−アワビのゲノム連鎖地図を作成−

 アワビ類の高成長や耐病性といった、養殖を行う上で重要な性質に関係す る遺伝子の位置を明らかにして養殖優良系統を作り出すために、エゾアワビ のゲノム連鎖地図を作成した。水産生物、特に貝類では、家畜や作物と比べ、 ゲノム情報の蓄積とそれを利用した育種研究は著しく遅れており、今後本成 果をもとに、アワビのゲノム構造(配列)の解明や、養殖有用形質関連遺伝 子の同定を進め、ゲノム情報を利用した養殖優良系統の作出を行うことによ り、アワビ養殖の振興に大きく貢献することが期待される。この研究成果は、 遺伝学の分野でも高く評価され、アメリカの遺伝学雑誌Geneticsに掲載が決定。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181221/

9.海藻の発酵産物でマダイイリドウイルス病を撃退

 エクロニアという海藻を原料として調製した発酵産物を養殖のエサに配合し てマダイに与えたところ、養殖現場で問題となっているイリドウイルス感染症 に対する抵抗性が高められることを見出し、日本水産株式会社と共同特許出願 を行った。発酵食品や海藻を食べるとヒトの健康増進に役立つことは一般によ く知られているが、魚に対してもよい効果があることが判明、今回の発見は、 薬剤等を使用しない安全安心な養殖魚の育成に役立つものと期待される。

http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr17/180317/irido1.htm

10.沿岸域の水温がアユ遡上量変動に影響
−日本海沿岸域におけるアユ稚魚の生態解明が進む−

 平成15〜16年に日本海側の河川でみられたアユの遡上量減少は、海での生 残率が極めて低かったためであること、一方、資源維持に最低限必要な親は 生き残り、遺伝的多様性は維持されていたことを明らかにした。また、海で 生活する稚アユの行動範囲が河口周辺の沿岸域に限定されているとの知見も 得られ、遡上量の変動要因の一つは、晩秋から冬にかけて(特に10月)の沿 岸水温で、高水温ほど翌年春の遡上量が多い傾向があることなどを明らかに した。この成果は、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業「沿岸域に おけるアユの生態特性の解明及び遡上量予測技術の開発(平成17〜19年度)」 における初年度の成果の一部であり、さらに研究を進め、アユ遡上予測技術 の開発に取り組む。

  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/180803/



【お知らせ】

  ◆おさかな瓦版第14号を刊行しました。

このたび、当センターのニューズレター「おさかな瓦版」第14号を刊行しました。
シリーズ「北の海のさかなたち」、6回目の今号はウニです。

もうひとつのシリーズ「書籍で知る日本の水産」気になる第6回の内容は、江戸時代の博物学者・栗本丹洲著「皇和魚譜」です。

また「おさかなクイズ」でさかなに関する豆知識などもわかりやすく掲載しています。次号は、平成19年2月13日刊行予定です。

  第14号はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/letter/no14.pdf

  その他、水研センター発行の刊行物はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/buelltin/bull-index.html



 
【イベント情報】
 
  ◆磯焼け対策シンポジウム『ウニを獲って藻場を回復しよう』の開催について

 (独)水産総合研究センターでは、水産庁の委託を受け、長期にわたって 衰退している藻場の回復に向けた検討を行っています。

 先般、静岡県御前崎市で実施した、魚の食害対策に引き続き、水産工学研究所 の主催によるウニの食害対策に関するシンポジウムを次のとおり開催致します。

 効率的なウニの密度管理や身入り改善の方法などについて、研究、行政、 企業、漁業など幅広い分野からの講演を準備しております。ふるってご参加下さい。

   日時:平成19年1月12日(金) 10:00〜17:00
   場所:国立大学法人 東京海洋大学 「楽水会館」(東京都港区)

  詳しくはこちら
      → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181220/1.pdf


【プレスリリース報告】

  ◆ゲノム情報を利用した養殖用アワビ品種作出に向け大きく前進
    〜アワビのゲノム連鎖地図を作成〜
   (12月21日リリース)


       
   詳しくはこちら
       → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr18/181221/



  【編集後記】
 
  今日は110番の日です。警察庁が昭和60年12月に制定し、翌年から実 施されています。110番はGHQの勧告で昭和23年10月1日に、東京等の8 大都市で始められました。東京では最初から110番でしたが、大阪・京都・ 神戸では1110番、名古屋では118番等地域によって番号が異なっており、 全国で110番に統一されたのは昭和29年だそうです。

 110番や119番(救急車)はあまりにも有名ですが、171は何の番号 だか皆さんわかりますか。171番は災害用伝言ダイヤルといいまして、地震、 噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況 になった場合に提供が開始される声の伝言板です。

 いざというときの為に是非覚えておきましょう。ちなみに海上でのもしもの 時は118番ですからね。
 


  【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
→ http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

 ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp  
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