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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 32 号     平成19年5月9日
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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 ゴールデンウィークは、最終日を除いては全国的に穏やかな天気に 恵まれ、みなさん行楽に出かけられたのではないでしょうか。

 当センター広報施設「さかなと森の観察園(日光市中禅寺湖湖畔) TEL0288−55−0055」では、新緑の森の中でマスたちが 元気に泳いでおります。日光へお出かけの際は是非お立ち寄りくださ い。(担当:O)
  



【目次】

◆シリーズ     水産加工品津々浦々「すくがらす」
◆ローカル便り  貝毒の研究で、水産学進歩賞を授賞!
           練習船「天鷹丸」実習学生の来所
           平成17年度栽培漁業種苗生産,入手・放流実績の刊行
            小学校2年生が遠足(施設見学)で養殖研に来所
◆お知らせ     漁業生産のこれからを考える研究集会を開催します
            FRAニュース第10号を刊行
            おさかな瓦版第16号を刊行
◆イベント情報   第10回地域水産加工技術セミナーを開催します
◆イベント報告   まぐろ研究所立ち上げシンポジウムを開催しました
◆編集後記    担当者のひとりごと
◆配信手続き   配信停止・配信先変更等



【シリーズ】
  
 水産加工品津々浦々−5 「すくがらす」


 日本列島には魚、貝類、イカ、海藻などを素材にした水産加工品  が数え切れないほどたくさんあります。その中から毎回一品一品に  スポットライトを当てて紹介していくコーナー「水産加工品津々浦  々」。5回目に紹介する水産加工品は、沖縄料理のひとつである  「すくがらす」です。

 

 ○すくがらすとは

 沖縄の方言でアイゴの稚魚のことを「スク」、塩漬けを「カラス」  といい、すくがらすはアイゴ稚魚の塩蔵品のことです。スクは旧暦  の6月1日、7月1日、8月1日前後の大潮の時、満ち潮に乗って  イノー(礁池、干瀬の内側の遠浅の海)に大群を成して寄ってきま  す。特に6月1日のスクは、夏の到来を告げる風物詩であり、漁師  たちにとっては臨時ボーナスにあたります。海岸に寄ってくる3cm  ほどのスクは、卵からかえって1ヶ月の稚魚で、イノーで生まれた  稚魚が、1ヶ月後に戻ってきたものです。獲れたてのスクは3杯酢、  わさび醤油、酢味噌を用いて刺身でも食べますが、多くは塩蔵品の  すくがらすとして加工されています。

→  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/sukugarasu/index.htm#1


○原料選択のポイント

 スクは太平洋中西部からインド洋にかけての熱帯・亜熱帯の海の  珊瑚礁域に生息し、月の周期に従い行動する魚です。沖では動物性  プランクトンを食べているので臭くはありませんが、岸近くで海藻  を食べるとすぐ臭うようになるため、海藻を食べる前に獲る必要が  あり、加工用原料もこれを用います。また、塩蔵加工は稚魚をその  まま用いるため4cm以上のスクは骨が硬く、食に適しません。

  原料の鮮度低下には最も注意を払う必要があります。スクは、漁 獲時から魚体温の上昇が始まるため、朝に漁獲されたものが原料と しては適しています。収穫は、主に沖縄県沿岸ですが、収穫時期が 限定されることから、近年加工用原料は収穫期間の長いフィリピン 等の海外からの輸入に頼り、その割合は加工原料の約90%を占め ています。


○加工の原理

 食塩で原料魚の水分を低下させ、防腐効果を持たせるとともに、  熟成期間において、スクが持つ酵素の働きで筋肉タンパク質を分解  して旨味の元であるアミノ酸をつくり、好塩酵母により魚体の表面  のトリメチルアミンを分解し独特な臭みを減少させます。また、塩  化ナトリウムは筋肉タンパク質を溶解する作用があり、逆にカルシ  ウムやマグネシウムは、凝固させる方に働くためじっくりと熟成が  進みます。すくがらすは、食塩による脱水作用で身締めを行うもの  であり、身締まりの度合いが品質を左右します。

→  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/sukugarasu/index.htm#2


○実際の製造過程

 原料は沖縄沿岸およびフィリピンの輸入原料が用いられます。  最初に、濃度24%の塩水で洗浄し、粘液、夾雑物などを除去しま  す。洗浄工程は3回行います。その後、ザルなどを用いて十分に水  切りを行ったら、選別工程に入ります。完全な形をとどめていない  不良原料や、4cm以上の大きな原料を除去します。選別が終わっ  たら原料1kgに対して、塩を500gの割合で添加し十分に混合  して、原料へ塩をすり込みます。

 続いて貯蔵の工程に入ります。貯蔵熟成は、5〜8度に設定した  貯蔵庫で約3ヶ月行います。貯蔵熟成期間が短いと、臭みが出たり、  びん詰め後に白濁を起こします。貯蔵熟成を開始して、1ヶ月を経  ると生臭い魚そのものの匂いから塩辛の匂いに変わり始めますが、  まだスクは銀色を呈し生魚の面影を残しています。3ヶ月を経ると  すくがらすの風味が出てきます。貯蔵熟成の終了は、スクの色が茶  褐色の色を呈した時点で判断します。

 貯蔵熟成の終了したスクは、びん詰め後に漬汁を添加しフタを閉  めます。この時点ですくがらすの副原料として、泡盛に漬け込んだ  唐辛子が添加されます。漬汁は2種類あり、すくがらす本来の風味  を生かすために、貯蔵熟成で薄い飴色になった漬汁の上澄み液を用  いる製品と、風味を押さえるために漬汁に20%の塩水を用いた製  品があります。特に後者の製品は若年層の消費者や観光土産品とし  て人気が高いです。

→  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/sukugarasu/index.htm#3

 
○製品の形態・包装等

 一般的に製品形態は150〜300gを充填したびん詰めの製品  が主流です。


○表示

  名称    すくがらす
  原材料名 アミアイゴ、塩
  内容量   280g
  賞味期限 07.09.01(例)
  保存方法 常温保存、開封後は冷蔵保存
  栄養成分 エネルギー 73kcal
         タンパク質 10.5g
          脂質     2.9g
         炭水化物   1.2g
         ナトリウム 8500mg


 
○機能性成分

 成分の固定までは至っていませんが、沖縄県工業技術センターの  測定において、アンジオテンシン変換酵素阻害活性が認められてい  ます。

 
○食べ方

 一般的に広く用いられている食べ方はすくがらす豆腐であり、沖  縄豆腐の上へ乗せるだけの簡単料理です。塩辛さが豆腐の味をひき  たてる絶妙の組合せで酒の肴として最も好まれています。また、す  くがらすを軽く水洗い後レモンをかけてもおいしく食べられます。  漬汁は沖縄のチャンプルー料理や煮物などの隠し味として用いられ  ます。

→  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/sukugarasu/index.htm#4


○すくがらすにまつわる人物

 沖縄であまりにも有名な酒の肴、すくがらす豆腐は、沖縄の美食家、  尚順男爵(琉球国最後の王である尚泰を父として、明治七年、第三王  子として生まれる、松山王子)が考えだしたそうです。


 いかがでしたか。意外と知らないことがたくさんあった人も多かっ  たのではないでしょうか。

 これらは、「全国水産加工品総覧」 編集委員会編 監修 福田裕  山澤正勝 岡崎惠美子 A5判、638頁、¥7,500(本体)+税 発行所  (株)光琳を参考に記述致しました。

 この本は水産総合研究センターが主催する水産利用関係試験研究推  進会議において刊行することが合意され、都道府県の試験研究機関関  係者など約150名もの専門家により執筆されたものです。
  さらに詳しく知りたいなど、ご興味がある方は、この本を是非ご覧  になって下さい。


 詳しくはこちらから
 → http://www.korinbook.com/main/book/zenkokusuisan.html



【ローカル便り】
  
 ◆貝毒の研究で、水産学進歩賞を授賞!

 東北区水産研究所の鈴木敏之主任研究員が、平成18年度水産学進 歩賞(日本水産学会)を受賞しました。

 水産学進歩賞は、優れた業績を上げ、水産学の発展に寄与した者 に授与されますが、今までに比べ、異例の若さで受賞となりました。

詳しくはこちらから
 → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/seika/20070419suzuki-jusho.html



◆水産大学校 練習船「天鷹丸」実習学生の来所

 平成19年4月18日(水)に独立行政法人水産大学校 練習船 「天鷹丸」の実習学生が来所しました。

 当所 漁業生産工学部 上席研究員 川島敏彦による「漁船のテ クノロジー −最近の動向−」に関する講演と実験施設での研究紹 介を行いました。

 詳しくはこちらから
 → http://nrife.fra.affrc.go.jp/topics/20070426/topics_20070426.html

 

 ◆平成17年度 栽培漁業種苗生産,入手・放流実績の刊行

 このたび、平成17年度の「栽培漁業種苗生産,入手・放流実績」 をとりまとめ、刊行いたしました。
 この報告書は、全国の関係機関における海産魚介類の種苗生産と 種苗放流の実績を調査し、一元的にとりまとめた統計資料です。調 査は、昭和52年から水産庁の委託を受けて(社)日本栽培漁業協会 が行ってきましたが、平成15年10月からは独立行政法人水産総合研 究センターがその業務を引き継ぎ、(社)全国豊かな海づくり協会 に委託して実施しています。

詳しくはこちらから
 → http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_108.html

  

 ◆五ヶ所小学校2年生が遠足(施設見学)で養殖研に訪れました

 平成19年4月26日(木)午前、地元五ヶ所小学校2年生39名 が遠足(施設見学)に訪れました。当日は晴天に恵まれ、児童たちは 当所で飼育されている魚についての説明を受けた後、屋外水槽で飼育 されているヒラメ、マダイなどを興味深く観察していました。

詳しくはこちらから
 → http://nria.fra.affrc.go.jp/gallery/ensoku/index.html


  
  【お知らせ】

 ◆研究集会「資源変動と流通加工の変化に対応した多獲性魚類の 漁業生産のこれから」を開催します

   日   時:平成19年5月25日(金)9:30〜17:45
   会   場:宮城県民会館601大会議室
        (仙台市青葉区国分町3-3-7)
   主催共催:東北区水産研究所・水産海洋学会
   コンビーナー :上野康弘(東北区水産研究所八戸支所)
            新田信一(宮城水産加工研究所)
            稲田博史(東京海洋大)

 1.東北・北海道太平洋岸における多獲性魚類の漁獲量の変動とその要因
 2.漁業生産現場の変化:魚価の変遷、経営上の問題点のレビュー
 3.主要水揚げ港周辺の冷凍、加工、流通の質的、量的な変化とそれを招いた要因
 4.世界的な水産物流通・加工・消費の動向と日本の生産との関係
 5.今後の方向について(改善についてのアイデア)
 6.総合討論

 入場無料ですので、是非ご参加ください。

 問い合わせ先:独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所
         (事務関係)業務推進部業務推進課企画調整係 高橋
               TEL 022-365-7448 FAX 022-367-1250
         (内容について)八戸支所資源生態研究室 上野・中神
               TEL 0178-33-3411 FAX 0178-34-1357

   詳しくはこちらから
 → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/event/20070525workshop/program.pdf



 ◆FRAニュース第10号を刊行しました。

 このたび、当センターの広報誌「FRAニュース」第10号を刊行 しました。
 今号は、特集として「環境変動と水産研究」についてとりあげまし た。今、新聞やニュースなどでよく耳にする地球温暖化の問題が、漁 業に与える影響について各分野から調査研究の一例を紹介しています。

  FRAニュースは季刊で、次号は平成19年7月刊行予定です。

  第10号はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/news/fnews10.pdf

  その他、水研センター発行の刊行物はこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/bull-index.html



 ◆おさかな瓦版第16号を刊行しました。

 このたび、当センターのニューズレター「おさかな瓦版」第16号 を刊行しました。
 シリーズ「東シナ海のさかなたち」第2回目に取り上げたさかなは、 減ってしまった魚の代表格「ぐち」です。

 また、開発調査センターが取り組む、カツオ刺身の美味しいマジッ クの話なども必見です。
 「おさかなクイズ」のコーナーでは、さかなに関する豆知識なども わかりやすく掲載しています。次号は、平成19年6月15日刊行予 定です。

 第16号はこちら
   → http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/letter/no16.pdf

その他、水研センター発行の刊行物はこちら
   → http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/bull-index.html



【イベント情報】
 
◆第10回地域水産加工技術セミナーを開催します

 第10回地域水産加工技術セミナー「新たな越前ブランドの創出に向けて −クラゲ転じて福となす」を6月13日午後に福井県越前町の越前生涯学習 センターで開催します。

 詳細なプログラム等は近日中に当センターWebページでお知らせします。 入場無料ですので、ぜひお越し下さい。

 

【イベント報告】
 
◆まぐろ研究所立ち上げシンポジウムを開催しました

 平成19年4月26日(木)東京海洋大学楽水会館大会議室において、 「まぐろ研究所」立ち上げ記念シンポジウム「まぐろ関連研究、今後の 研究展開方向」を開催しました。

 本シンポジウムには、当初の予想をはるかに超える500名近くの方 々に来場頂き、改めて、まぐろへの関心の高さを感じさせられました。


      詳しくはこちらから
 → http://www.fra.affrc.go.jp/topics/190426/





【編集後記】
 
 今日、5月9日はアイスクリームの日です。明治2年の5月9日に日本 で初めてアイスクリームが製造販売されたことを記念して、日本アイスク リーム協会が制定しました。

 発売したのは横浜の町田房蔵で、アメリカで酪農技術を学んで明治元年 帰国した出島松蔵にこのアイスクリームの製造方法を学んだとされていま す。町に「あいすくりん」売りが出現するのは、これからずっとずっと後 のことです。

 販売したアイスクリームは大工さんの日給の2倍と言われてますので、 かなり高価なものだったようです。

 庶民でも手軽に食べられる今の時代に感謝!!  


  【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
  また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
→ http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

 ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp  
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