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        おさかな通信 (水研センターメールマガジン)
 
          第 4 号     平成17年1月12日                     
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 新年 明けましておめでとうございます。
 本年も、水産総合研究センター並びにおさかな通信ともどもよろしくお願
いいたします。
 当センターは今年の4月から始まる平成17年度が中期計画最終年を迎
え、これまで5年間の総まとめと次期中期計画策定に向けて、従来にも増
して皆様からのご意見・ご要望を頂きつつ、世界でも有数の水産専門の研
究機関としてご期待に応えるべく、本年も邁進して参ります。
 
 
 
【目次】
 
 ◆シリーズ          「世界の海から」のテーマで連載中です
 ◆特集            2004年水研センター十大ニュース    
 ◆イベント等ご報告      ブランド・ニッポンを試食する会など 
 ◆ローカル便り       各部・各研究所等より
 ◆プレスリリース報告   12月10日リリース   
 ◆編集後記         担当者のぼやき
 ◆配信手続き        配信停止・配信先変更等
 
 
 
【シリーズ】
 
世界の海から
  ・・日本人の食卓には世界のさかながいっぱい!・・
 
 シリーズ第3号は南の冷たい海に棲み、身質のよさからギンダラより
も高値となった
 
メ ロ(Mero)
 
 現在日本ではごく近縁の2種のさかなが、メロとして、区別することな
く、販売されてます。
@和名;マジェランアイナメ
  (学名:Dissostichus eleginoides  英名:Patagonian toothfish)
A和名;ライギョダマシ
  (学名:Dissostichus mawsoni  英名:Antarctic toothfish)
 
 両種は南極に棲むノトセニアというグループに属し、外見も、身質も非
常によく似ています。このグループはうきぶくろがありません。その中の
Dissostichus属はこの2種のみが知られます。いずれも体の長さは2m
内外になりノトセニアの中で最も大きくなります。ほかのさかなやイカ、
甲殻類、オキアミなどを海底のみではなく中層でも捜して食べるよう、
筋肉中の脂肪で浮力を調節できるように進化しました(これが美味しさ
の秘密)。大きな口には鋭い歯があり(英語名はここから)、南極海のさ
かなの覇者といえるでしょうが、マッコウクジラやオットセイには食べられ
ます。
 
このさかなをみる
 
 →図鑑でみる(マジェランアイナメ)
  オオクチ(旧業界名)
   http://jamarc.fra.affrc.go.jp/zukan/i/i-m052/i-258.htm
 
 →剥製をみる(2種)
   マジェランアイナメ 
    http://jamarc.fra.affrc.go.jp/jyoho/hakusei/m_ainame.htm
   ライギョダマシ
    http://jamarc.fra.affrc.go.jp/jyoho/hakusei/raigyo.htm
 
 →このさかなの分類的位置 水産生物情報データーベース
http://aquadb.nrifs.affrc.go.jp/~aquadb/cgi-bin/tax_hl.cgi?TTAXID=100907 
 
 
 両種は南緯30〜35度以南の海域の陸棚の浅瀬から深さ1,500mの斜
面に棲んでいますが、ライギョダマシのほうが、より南極に近いところに
います。1980年代からチリやフランスなどのはえなわ漁業が盛んになり、
日本にも輸入されるようになりました。全世界の漁獲量は2000と2001年
には約60,000トン(両種あわせて)のピークに達しましたが、資源の枯渇
を防ぐため、南極海洋生物資源保存条約(日本も参加)による保護措置
が講じられ、2003年には約27,000トンに減少しました。
 
このさかなの資源についての解説、平成15年度国際漁業資源の現況:
 →http://kokushi.job.affrc.go.jp/H15genkyou/H15syousai/61L.pdf
 
 
 2003年に日本へ輸入された製品量は通関統計によれば、約10,000トン
(フィレーが1/4、残りはドレスおよびカマ)です。これは原魚に換算すると、
約14,000トンになり、世界の漁獲量の約半分が日本に輸入されたことに
なります。
 
 両種は日本への輸入が始まったころ、ギンダラと身質が似ることから、
「ギンムツ」と言う名前で販売されました。しかしギンダラと誤認するような
紛らわしい名称は避けるべきとの観点から、2003年以降この名称は使用
しないこととなりました。チリでの名称が「Mero」だったことから、現在この
名称で販売されています。
 
 漁獲量の減少と欧米での需要増から、メロの国内価格は、2004年夏か
ら冬にかけて約1.3倍上昇し、この冬にはフィレーがキロ1,600-1,800円で
輸入業者から販売され、卸売り市場では300円程度上乗せして販売され
ています。フィレーを切り身にしたものは神奈川県内の量販店で2枚232
グラムが723円(キロあたり3,116円)でした。
 
 西京漬けにした切り身の焼きものや、煮付けなども美味しく、特にカマの
煮付けが絶品なメロは、ギンダラよりも高値となっています。
 
 受難のメロ資源への保護措置が効果を発揮し、世界の人々がほどほど
の値段でこのさかなを賞味できることを願いたいものです。
 
 
 
【特集】
 
 2004年を振り返り、水研センターが取り組みました研究調査・技術開
発のうち、特に優れた10件につきまして十大ニュースとしてご紹介いたし
ます。
 
 1.DNAチップを用いた魚介類細菌性疾病の診断技術を開発(12月)
  
  淡水魚や海水魚の代表的な23種類の病原体細菌のDNAをスポットし
 たマイクロアレーにより、迅速な診断を可能とする技術を開発し、特許申
 請中。(養殖研究所)
  なお、本件につきましては本号「プレスリリース報告」の欄にてもご紹介
 しております。
 
 プレスリリースはこちら 
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr16/161210/dna1.htm
 
 
 2.飼育されたタイマイの産卵・ふ化に世界で初めて成功(6月)
 
  5年間長期育成した2頭の親個体が計894個の卵を産み、約2ヶ月後
 に309頭の子ガメが誕生。これからも続々との期待感でゾクゾク。(八重
 山栽培漁業センター)
 
 プレスリリースはこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr16/160625/taimai.htm
 
 
 3.貝毒の原因となる鞭毛藻類の拡大は人為的原因であると解明
   (12月)
  
  カキやホタテの毒化原因プランクトンのDNAマーカーを世界で初めて
 開発。北半球の10地点間での違いは大きく、海流等による遺伝的な
 交流は認められないが、広島を含む国内2地点の標本はほとんど同一
 であり、人為的な拡大であることを証明した。(瀬戸内海区水産研究所)
 
 
 4.世界で唯一のJ−QUESTでサンマ、イカなどの計測に成功(10月)
 
  水深300mの耐圧容器に小型軽量魚探と高感度のステレオカメラを組
 み込み、魚群に近接して魚種、姿勢、TS(反射強度)等を精密に同時計
 測できるシステム。次の技術開発のターゲットも見えてきた。(水産工学
 研究所)
 
 
 5.水産海洋データベースをウェブ上で公開(10月)
 
  水産庁研究所が保有する20世紀初めから現在までの日本周辺海域の
 海洋環境、卵・稚仔、プランクトン、魚類関連の調査データ130万件以上
 を収録し、公開。(独)科学技術振興機構の推進する事業の一環。(中央
 水産研究所)
 
 プレスリリースはこちら → 
 http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr16/160930/suisankaiyodb.htm
 
 
 6.高水温耐性をもった微細藻類の作出に成功(10月)
 
  100種以上についての20年に渡る選抜育種の成果として、タンパク質
 が豊富で30〜35度の高水温耐性をもった餌料藻類の作出に成功し、工
 業化に向けた共同研究企業を募集中。(養殖研究所)
 
 
 7.年内に2キロ以上に育つブリ生産技術を開発(12月)
 
  天然よりも2ヶ月早く採卵し、生産された人工種苗を育成。天然モジャコ
 では1.5キロ止まり。ブリ養殖に新たな光をもたらす技術となる。(五島栽
 培漁業センター)
 
 
 8.コイヘルペスウイルス病に関する国際シンポジウム等を開催(2,3,
   12月)
 
 ○大型クラゲに関する日中韓国際ワークショップを2月に横浜で開催し、各
  国の状況と情報を交換。エチゼンクラゲの学名を統一し、今後の共同調査
  等について協議。  
 ○2003年秋に我が国各地で猛威をふるったコイヘルペスウイルス(KHV)
  病に関する国際シンポジウムを東南アジア漁業センター、農水省、国際獣
  疫事務局との共催により3月に横浜で開催。
 
 プレスリリースはこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr15/160219/160219.htm
 
 ○12月にも東京海洋大学との共催でKHV国際シンポジウムを開催。
 
 プレスリリースはこちら
  → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr16/161227/khv1.htm
 
 
 9.大中型まき網実証化調査の結果が実現に向かって加速化
 
  開発調査部の大中型まき網調査船北勝丸のシステム実証化調査の成果
 として、民間漁船による試験操業実現への動き等、漁船漁業構造改革推進
 会議の中間とりまとめで提言されたミニ船団の制度化への動きが加速された。
 (開発調査部)
 
 
 10.春の学会での学会賞、論文賞、発表賞を受賞。その後も続々と。
 
 ○松山幸彦(瀬戸内水研)、古板博文(養殖研)両名が水産学会奨励賞、神
  山孝史(東北水研)他、大久保信幸(北水研)他両組が水産学会論文賞、
  佐々千由紀(西海水研)他が海洋学会論文賞、中村智幸(中央水研日光)
  が応用生態学会発表賞をそれぞれ受賞。
 ○PICES第13回年次会合ベストプレゼンテーション賞に谷津明彦、高須賀
  明典(いずれも中央水研)両名が受賞。
 ○日本DNA多型学会優秀研究賞に長井 敏(瀬戸内水研)が受賞。
  (本件につきましては、上記3にてもご紹介しております。)
 
 
 
【イベント等のご報告】
 
 ◆ブランド・ニッポンを試食する会2004
 
  平成16年12月3日に都内帝国ホテル「光の間」において、ブランド・
 ニッポンを試食する会2004を開催いたしました。
  今年で3回目を迎えたこのイベントには、農林水産省所管独立行政法
 人試験研究機関が日頃の研究成果の中から食材を持ち寄り、フランス
 料理の一流シェフにより、食材の特長を生かしたすばらしいフランス料理
 に仕上げ、事前申し込みを頂いた約150名の方にご賞味頂きました。
  リピーターの方も多く、今後これらの食材が本物のブランド・ニッポンとし
 て育っていくことを主催者一同願っております。
 
   当日の様子 →  http://www.fra.affrc.go.jp/new/brand2004.htm
 
 
 ◆UJNR第33回日米合同会議
 
  平成16年11月2日から、西海区水産研究所(長崎市)において、天然
 資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)水産増養殖専門部会第33
 回日米合同会議が開催されました。
  増養殖漁業の生産確保と沿岸域の環境保全の観点から、日米の研究
 者が話題提供を行い、増養殖漁場の環境と生態系研究の展望について
 討議を行いました。
 
  詳細はこちら → http://www.fra.affrc.go.jp/new/ujnr.htm
 
 
 ◆PICES第13回年次会合
 
  平成16年10月14日から23日まで米国ハワイ州ホノルル市において、
 北太平洋の海洋科学に関する機関(PICES)第13回年次会合が開催さ
 れました。
  「大陸斜面を越えて−北太平洋外洋域の複雑性と変動性」をテーマに 
 水研センターから26名の研究者をはじめ、388名の参加者による討議が
 行われました。
 
  詳細はこちら → http://www.fra.affrc.go.jp/new/pices13.htm
 
 
 
【ローカル便り】
 
 ◆「水産経済研究連絡会」を設立(中央水研)
 
 中央水産研究所では、現場や行政の水産経済研究分野に対する研究ニ
ーズに的確に対応するため、水産経済研究連絡会を設立しました。参集範
囲は、国立大学法人、都道府県水試及び独法水産研究機関の水産経済研
究関係者、その他関係者で、事務局は中央水産研究所水産経済部が担当
します。メーリングリストで「日常の」情報交換を行うとともに、総会、幹事会、
研修会等の開催を予定しています。
 
 
 ◆新鮮で美味しいホッケを食卓に(開発調査部)
 
 開発調査部では、北海道日本海海域において、新たな漁業生産システム
による生産コストの削減や漁獲物の付加価値向上等を目的として、小樽地区
において沖合底びき網漁業(かけまわし漁業)の調査を行っています。
 主要漁獲物であるスケトウダラ、ホッケ等の水揚げには、殺菌冷海水による
沖ジメ(鮮度維持)、フィッシュポンプ利用による水揚げ(省人化及び迅速化)
を行っています。漁獲したホッケの新鮮さを活かして、北海道機船漁業協同組
合連合会では様々な加工品(ホッケのフライ、メンチ等)の開発を行っています。
 
 
 
【プレスリリース報告】
 
 「新しい技術による魚病迅速診断法の開発に成功 
 −DNAチップを用いた魚介類細菌性疾病の診断−」 12月10日リリース
  
  養殖魚介類の病気による被害額は年間100〜200億円にもなり、その
中でも細菌性疾病は種類も多く、出荷間近の大型魚にも発生するため、ワ
クチンによる予防と、発生した場合に蔓延防止のための迅速な対処を行う
必要があります。
 そこで養殖研究所は、DNAチップを用いることにより、魚病の迅速な診断
法を開発しました。
  
詳細はこちら → 
  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr16/161210/dna1.htm
  
 
 
【編集後記】
 
 今日は平成17年1月12日。1日違いますが、今から26年前の昭和
54年1月13日・14日、国・公立大学の入学試験に、共通第1次学力試
験(共通1次試験)が始まりました。
 また今から15年前の平成2年1月13日・14日に、それまで国・公立
大学のみ行っていた共通1次試験に代わり、私立大学も参加できる大学
入試センター試験スタートしました。
 今年の試験は今週末の1月15日・16日です。受験生の皆さん、そして
ご関係者の皆さん、体調を整えベストコンディションで受験日をお迎えくだ
さい。
 そして、ご卒業後は是非水研センターに!
 
 
  
【配信手続き】
 
 配信停止、配信先変更等は下記アドレスまでメールにてご連絡願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしこちらまでお寄せください。
  
   
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