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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 56 号    平成21年5月13日
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 読者の皆様、先週までゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。
 帰省された方、国内外問わず旅行された方、休み返上で仕事や勉強をされた方な ど、いろいろな過ごし方をされたかと思います。
 最近、新型インフルエンザが世間を騒がせていますが、マスク着用や手洗い、うが いなどしっかりと予防対策をしましょう。(担当:O)


【目次】

 ◆シリーズ
    ・水産加工品津々浦々「乾し海苔」
 ◆ローカル便り
    ・北見でカラフトマス稚魚放流体験会2009を開催
    ・つくばリサーチギャラリーで一般公開〜今年も大人気!おさかなクイズ〜
    ・ふっくん、ふーちゃん、あんじいが“ゆるキャラ”イベントに登場!!
    ・カリスマ場長、ラジオ番組に出演!
    ・まちづくり・しおがま出前講座で「温暖化と環境変動を追う」を講演
    ・イラストマー標識をつけたアカアマダイを放流!!
 ◆お知らせ
    ・図書資料デジタルアーカイブを開設
    ・水産総合研究センター所蔵古文書目録を刊行
    ・栽培漁業技術シリーズNo.14「ハナサキガニの種苗生産技術」を刊行
    ・研究開発情報「北の海から」第4号を刊行
    ・水産総合研究センター叢書「東北フィールド魚類図鑑」の紹介
 ◆プレスリリース報告
    ・平成21年度第1回日本海海況予報
 ◆編集後記
    ・担当者のひとりごと
 ◆配信手続き
    ・配信停止・配信先変更等



【シリーズ】
  
 水産加工品津々浦々−29 「乾し海苔」


 日本列島には魚、貝、イカ、海藻などを素材にした水産加工品が数え切れないほどた くさんあります。その中から毎回一品一品にスポットライトを当てて紹介していくコーナー 「水産加工品津々浦々」。29回目の水産加工品は、お寿司、おにぎり、ラーメンと毎日 お目にかける「乾し海苔」です。

 
○乾し海苔とは

 私たちがいつも食べている乾し海苔は、スサビノリやアサクサノリなどの海藻を、和紙 と同じ作り方で薄い板状に乾燥したものです。
 大宝律令(701年に完成した日本の律令)にも記述が見られ、古くから日本人の食料 として利用されてきたことがうかがえます。江戸時代の享保年間には海苔すきが始ま り、現在のような形の乾し海苔が作られていたようです。

 海苔1枚の規格は19×21cmで重量は約3gほどです。
 乾し海苔となる原藻(ノリ)は、南は鹿児島県から北は宮城県までの、主に太平洋側の 内湾で養殖されています。

○生産と消費の動向

 乾し海苔生産枚数は、昭和40年代後半の養殖技術の普及に伴って次第に増加しま した。大型全自動機械の導入が進んだ昭和60年前後以降は、海苔の年間生産枚数 はほぼ80億枚から110億枚の間で推移しています。

 産地別の内訳は年変動がありますが、有明海が約40%、瀬戸内海が約35%、伊勢 湾以東の東日本が約25%となっています。
 ほとんどは国産ですが、最近では韓国産や中国産のものも見受けられるようになりま した。

 年間の消費量は近年約100億枚強で推移しており、コンビニエンスストアのおにぎり を始めとする業務で利用される割合が、年々増加して60%を超えています。
 一方、贈答での消費は景気の低迷やギフト商品の多様化などによって年々減少して、 近年は7〜8%の消費に過ぎません。家庭での消費量は約30億枚で、毎年ほとんど変 わりません。

○原料選択のポイント

 乾し海苔は色が黒くつやが豊富で、歯切れが良く、味のあるものが良いとされます。ま た、ノリは複数回の摘採を行うため、初回摘みが品質的に優れ、病気の感染がなく、縮

れやくびれなどの芽イタミと呼ばれる症状のない原藻が、高品質の乾し海苔を生産する のに適しています。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/hoshinori/index.htm#1

○加工の原理

 乾し海苔加工は紙をすくのと同じ原理で行います。品質の劣化を防ぐために、できる だけ短時間で終了しなければならず、現在は、原藻から乾し海苔製品になるまですべて 全自動化されています。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/hoshinori/index.htm#2

○実際の製造

1.原藻
 摘採回数が進むと葉体が厚く堅くなるなど、漁場環境や養殖管理の違いで品質が異
 なるため、原藻の品質を損なわない製造条件選択が重要となっています。

2.貯留
 細菌の付着や自己消化による品質低下を防ぐため、低温での保存を心がけなければ
 ならなりません。

3.細断
 刃の切れ味を良くし、原藻の品質に応じてミンチの目の大きさを調整し、穴あきや縮
 み等を防ぎます。

4.調合・海苔すき
 ノリ質に応じ乾燥後の重量を考えて調合・海苔すきを行います。

5.脱水・乾燥
 製造工程の中で品質に最も影響を及ぼす行程となります。乾燥工場の特性を熟知し
 ておき、ノリ質に合わせた乾燥する温度、湿度等を調整することが重要となります。基
 本的には、柔らかいノリは低温で時間をかけて乾燥、かたいノリは高温での乾燥を心
 がけて行わなければなりません。

6.選別・結束
 異物検出器などの選別機器の整備調整は確実に行い、不良品の出荷を未然に防ぎ
 ます。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/hoshinori/index.htm#3

○製造装置

 現在の乾し海苔製造は、全自動乾燥機をメインとし、貯留装置、ミンチ、調合機、異物 検出機、結束機などの周辺機器を組み合わせて行われます。現在ではすべての製造 工程が自動化されており、貯留装置に原藻投入後は、100枚の束になった乾し海苔が 出てくるまで、あまり人手がかかりません。

 全自動乾燥機は年々大型化が進んで処理能力が増大し、最も大型のものでは1時間 あたり1万枚以上の乾燥能力があります。このため、最初の製品が完成したのちに重 量などが規格外だったことが判明しても、すでに大量の規格外乾し海苔が乾燥機内に 存在することとなってしまいます。機械が大型化すればするほど、原藻の品質を的確に 把握することが重要となってきます。

○品質管理のポイント

 乾し海苔の品質は、原藻の良し悪しが大きな比重を占めています。栄養塩豊富な海 で育った、色が濃く病気や芽イタミのない葉体を材料にすることが最も重要となってきま す。乾し海苔の加工は、原藻の持っている品質をいかに落とさずに製品に仕上げるか、

ということに尽きます。それには、全自動乾燥機内部の乾燥温度や湿度のみならず、乾 燥工場全体を乾燥装置として考えた温度、湿度、空気の取り入れや排出等の制御が必 要となります。

○安全・衛生管理

 これまで乾し海苔の衛生管理としては、乾し海苔製品へ異物など余計なものの混入を 防ぐことに主眼が置かれていました。しかし近年、食品に対する安全衛生管理の徹底 が求められており、今後乾し海苔に対しても生菌数の制御を重視しています。

○成分の特徴

 乾し海苔は、栄養素に富んだ食品です。タンパク質、脂質、炭水化物が豊富であるこ とはもちろんのこと、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素も他の食品に比較して豊富に 含まれています。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/hoshinori/index.htm#4

○機能性成分

 乾し海苔には食物繊維が多く含まれています。食物繊維は、便秘などを予防する整腸 作用があり、血中コレステロールの上昇を防ぐ効果があります。海苔の食物繊維はポ ルフィランと呼ばれる多糖類で、水溶性のため野菜の食物繊維に比べて柔軟です。


 いかがでしたか。意外と知らないことがたくさんあったのではないでしょうか。

  これらは、「全国水産加工品総覧」 編集委員会編 監修 福田裕 山澤正勝
  岡崎惠美子 A5判、638頁、¥7,500(本体)+税 発行所(株)光琳を参考に
  記述致しました。

 この本は水産総合研究センターが主催する水産利用関係試験研究推進会議において刊行することが合意され、 都道府県の試験研究機関関係者など約150名もの専門家により執筆されたものです。
 さらに詳しく知りたいなど、ご興味がある方は、この本を是非ご覧になって下さい。

  詳しくはこちらから
  →  http://www.korinbook.com/main/book/zenkokusuisan.html


【ローカル便り】

◆北見でカラフトマス稚魚放流体験会2009を開催しました

 4月20日、さけますセンター北見事業所と常呂漁業協同組合と共催で、北見市立南 小学校4年生の総合学習の一環として、カラフトマス稚魚の放流体験会を開催しまし た。

 子供たちは、センターの職員からカラフトマスのふ化放流について説明を受けたの ち、カップに入った稚魚を常呂川に放流していました。

 当日は、小学生82名と引率者4名のほか、北見市農林水産商工課、漁業関係者な ど27名も加わり、総勢113名による稚魚放流イベントとなりました。

   詳しくはこちらから
   →  http://salmon.fra.affrc.go.jp/event/2009_0420kitami/2009kitami.htm

◆つくばリサーチギャラリーで一般公開を行いました
          〜ことしも大人気!おさかなクイズ!!〜

 4月17日〜18日の2日間にわたり、農林研究団地(茨城県つくば市)にある「食と農 の科学館(通称:つくばリサーチギャラリー)」で、一般公開を行いました。

 おさかなクイズは、小さな子供から年配の方まで多くの方が挑戦していて、クイズを通 して水産や魚のことを楽しみながら理解していただけたようです。

   詳しくはこちらから
   → http://www.fra.affrc.go.jp/topics/210417/
   食と農の科学館(つくばリサーチギャラリー)はこちらから
   → http://trg.affrc.go.jp/index.html

 ※おさかなクイズは、これから開催されるセンターの一般公開などでも挑戦できます
  ので、ふるってご参加下さい。
 
◆ふっくん、ふーちゃん、あんじいが“ゆるキャラ”イベントに登場しました

 4月12日、サンポートしぶしアピア(鹿児島県志布志市)で「南九州マスコットキャラクター全員集合!」と銘打った“ゆるキャラ”イベントが開催され、当センターのマスコットキャラクター、ふっくん、ふーちゃん、あんじいもお目見えしました。

 このイベントは南九州の地域や事業のPR、活性化を図るということで、総勢15キャラクターが集結しました。

   詳しくはこちらから
   → http://ncse.fra.affrc.go.jp/04news/index.html#20090412

◆カリスマ場長、ラジオ番組に出演しました

 4月3日、鹿児島県にある志布志栽培漁業センター 照屋場長が鹿屋市のラジオ局・ FMかのやの番組「社長の生活」に出演しました。

 この番組は、地域の企業や団体の長の生活ぶりを紹介するもので、ハタ類の種苗生 産技術の確立にあたって数々のめざましい業績を挙げてきた場長にぜひ、と出演依頼 があったようです。

   詳しくはこちらから
   → http://ncse.fra.affrc.go.jp/04news/index.html#20090403

◆まちづくり・しおがま出前講座で「温暖化と環境変動を追う」を講演しました

 3月17日、東北区水産研究所は、みのが丘集会所にて塩竃市主催の「平成20年度 まちづくり・しおがま出前講座」にて講演を行いました。

 塩竃市民から「東北区水産研究所ってどんなところ?(温暖化−環境変動への対応に ついて)」の要望を受け、海や魚が今どうなっているのか?また、海の役割や将来の予 測などを交えながら講演を行いました。

   詳しくはこちらから
   → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/demae/h20/20090317siogama.html

◆イラストマー標識をつけたアカアマダイを放流しました

 3月9日、宮津栽培漁業センターは、伊根町や宮津市養老、江尻のアカアマダイの資 源回復を願っている漁業者の皆さんにご協力をいただき、全長9cmのアカアマダイ2, 000尾を若狭湾に放流しました。

 アカアマダイは、京都府での市場価値が極めて高く、丹後半島で漁獲されるものを「丹 後グジ」としてブランド化するよう取り組んでいます。

   詳しくはこちらから
   → http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_145.html


【お知らせ】

◆図書資料デジタルアーカイブを開設しました

 図書資料館では、平成5年に水産庁水産資料館より所蔵資料約17万点を移管され、現在に至っておりますが、この中には、渋沢敬三氏寄贈による祭魚洞文庫(5,700冊)をはじめ、多くのめったに見られない資料が含まれています。

 これら貴重な資料を多くの方に見ていただくためにデジタルアーカイブを構築し、その第一弾として、約40点の資料を電子化し公開しました。

   詳しくはこちらから
   → http://nrifs.fra.affrc.go.jp/book/D_archives/index.html

◆水産総合研究センター所蔵古文書目録 −村上茂夫家文書(宮城県気仙沼市)−を
 刊行しました

 水産総合研究センターが所蔵する古文書は、昭和24−29年度に水産庁が日本常 民文化研究所に委託して行った「漁業制度資料調査保存事業」によって収集されたも のです。

 「漁業制度資料」と呼ばれているこれらの古文書は、近世から近現代に至る漁業制 度・漁村・漁業の実態を示す貴重な文献であり、歴史研究などの社会的利用に供する ために、神奈川大学日本常民文化研究所と協力して平成7年度からその整理を行い、 平成13年度よりその目録を順次刊行しています。

 今回は村上茂夫家(宮城県気仙沼市)に伝わる古文書の目録です。

  詳しくはこちらから
  →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/book/hist-docs/mokuroku07/mokuroku07.html

◆栽培漁業技術シリーズNo.14「ハナサキガニの種苗生産技術」を刊行しました

 当センターでは、体系化された栽培漁業に関わる技術を現場へ普及するために、技 術シリーズを刊行しています。

 今回、通巻14号として「ハナサキガニの種苗生産技術−親ガニの養成,種苗生産, 中間育成および放流手法の開発−を刊行しました。

   詳しくはこちらから
   → http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_146.html

◆研究開発情報「北の海から」第4号を発行しました

 北海道区水産研究所では、北海道周辺海域だけでなくベーリング海でのさけ・ます類 資源調査など、北太平洋の亜寒帯水域において水産資源とそれを取り巻く海洋環境に 関する研究を進めており、その研究成果をわかりやすくお知らせすることを目的として、 「北の海から」を発行しています。

 第4号として、「ホッケの飼育実験から見えるもの」、「マツカワ栽培漁業における北海 道区水産研究所の役割」などを掲載しています。

   詳しくはこちらから
   → http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/news/news.html

◆水産総合研究センター叢書「東北フィールド魚類図鑑」を紹介します

 昨年11月に水産総合研究センター叢書として、「東北フィールド魚類図鑑」を出版しま した。
 本書には、東北地方の太平洋岸に生息する魚類の508種が、写真とともに掲載され ています。

   詳しくはこちらから
   → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/topics/h21/200811TFzukan.html
   その他の叢書「地球温暖化とさかな」、「守る・増やす渓流魚」はこちらから
   → http://www.fra.affrc.go.jp/topics/210401/


【プレスリリース報告】

◆平成21年度第1回日本海海況予報

 水産関係機関が検討し、日本海海区水産研究所がとりまとめました。
 2009年4月から6月の見通しのポイントとして、「対馬暖流域の表面水温が“やや高 め(+1℃程度)”で経過」、「対馬暖流域の50m深水温が、西部及び北部とも“やや高 め(+1℃程度)”で経過」する模様です。

   詳しくはこちらから
   → http://abchan.fra.go.jp/gk21/20090408.pdf


【編集後記】

 本日、5月13日は「メイストームデー(5月の嵐の日)」です。
 「バレンタインデー」から88日目、「八十八夜の別れ霜」ということで、別れ話を切り出 すのに最適とされる日だそうです。
 良いことばかりでなく、何かしらの試練が待ち受けているようです。それらを乗り切れ ば・・・何かを発見できるんでしょうね。





【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
  →  http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

  ご意見・ご感想等  →  www@fra.affrc.go.jp
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