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おさかな通信 (水研センターメールマガジン)

第 59 号    平成21年8月12日
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 梅雨が続いているような天候が続き、夏本番!という日が待ち遠しい今日この頃です が、読者の皆様、いかがお過ごしですか。
 今月に入ってから、大雨や台風、地震など発生しております。被災された方々には、 心よりお見舞い申し上げます。


【目次】

 ◆シリーズ
    ・水産加工品津々浦々「しょっつる」

 ◆ローカル便り
    ・中央水産研究所横須賀庁舎一般公開の報告
    ・瀬戸内海区水産研究所一般公開の報告
    ・オニオコゼの移動回遊調査を開始
    ・世界記録を更新!−ズワイガニの稚ガニ、生産尾数3万尾を突破−

 ◆お知らせ
    ・横浜みなと博物館で「夏休み展示」を開催
    ・シンポジウム「海洋ゲノム情報を活用した革新的食料生産技術の開発」
     を開催
    ・東北区水産研究所で一般公開を開催
    ・養殖研究所で一般公開を開催
    ・中国四国農政局「消費者の部屋」へ出展
    ・おさかなセミナーくしろ2009を開催
    ・教養講座「海からのメッセージ」を開催

 ◆プレスリリース報告
    ・大型クラゲについて
    ・サケの資源変動に関する検討について
    ・平成21年度北西太平洋サンマ長期漁海況予報
    ・平成21年度第1回太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報
    ・平成21年度第2回日本海スルメイカ長期漁況予報
    ・平成21年度第1回太平洋スルメイカ長期漁況予報

 ◆編集後記
    ・担当者のひとりごと

 ◆配信手続き
    ・配信停止・配信先変更等



【シリーズ】
  
 水産加工品津々浦々−32 「しょっつる」


 日本列島には魚、貝、イカ、海藻などを素材にした水産加工品が数え切れないほどたく さんあります。その中から毎回一品一品にスポットライトを当てて紹介していくコーナー 「水産加工品津々浦々」。32回目の水産加工品は、しょっつる鍋で使われる「しょっつ る」です。

 
○しょっつるとは

 しょっつるは秋田県の伝統的特産品である魚醤油です。しょっつるは原料となる魚介 類(ハタハタなど)に食塩を加えて、腐敗するのを抑制しながら1年以上の時間をかけて 熟成し製造します。したがって、その主な成分は魚介類のタンパク質が分解されたアミノ 酸やペプチドで、旨味と独特の風味が特徴の調味料となります。

 使用される原料となる魚介類は、ハタハタが豊漁だった時代はハタハタが主に使用さ れていましたが、ハタハタの漁獲量が激減した時期はイワシなどが使用されていまし た。近年、ハタハタ資源が順調に回復しており、原料として再びハタハタが使用されるよ うになっています。

 しょっつるは食塩濃度が高いため、鍋物用(しょっつる鍋)として使われるのがほとんど です。日本国内には他にも「いしり」、「いかなご醤油」などの魚醤油がありますが、「しょ っつる」という名前を使うのは秋田県のみです。

○生産と消費の動向

 しょっつるの生産量統計はありませんが、秋田県内の約10箇所の製造所で製造を行 っており、製造量はさほど多くなく、100t以下と推定されます。しょっつるの消費はほとん ど秋田県内であると思われていますが、おみやげや贈答として県外での消費もありま す。

○原料選択のポイント

 原料になる魚介類は、ハタハタの場合、雄(オス)が使用されます。ハタハタは秋田県 では産卵のため接岸する12月上旬に多く漁獲され季節ハタハタとして親しまれています が、漁獲量のうち雄が約7割を占め雌(メス)より単価が低いため、しょっつるの原料とし

て適しています。ハタハタでもハタハタ以外の魚種でも、しょっつる製造でもっとも重要な ものは自己消化酵素であると考えられています。したがって、鮮度がよい魚介類が望ま れます。実際は、製造時期や製造量の調整のしやすさから凍結された原料が便利です が、鮮度が比較的良ければ原料として使用されます。

○使用する副原料

 副原料は食塩です。自家製しょっつるでは麹(こうじ)を使用することもありますが、市 販されているものは、ほとんど食塩のみです。

○加工の原理

 しょっつるは、原料となる魚介類に食塩を加え、高塩分濃度で腐敗を抑えながら魚介類 の持つ自己消化酵素により1年以上の時間をかけて分解してできます。

 自己消化酵素はタンパク質を分解する酵素が主で、魚介類のタンパク質を徐々に分 解しペプチドが生成され、さらにアミノ酸まで分解します。魚介類のタンパク質は、その 構成アミノ酸として旨味系アミノ酸のアスパラギン酸やグルタミン酸が多く、両者で全アミ

ノ酸の2割前後を占める場合もあります。したがって、魚介類のタンパク質が自己消化 酵素で分解されると旨味の強い液体となります。これがしょっつるです。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/syottsuru/index.htm#01

○製造の実際

1.原料
 季節ハタハタの場合は雄を主に使用します。異物の混入に注意をはらいながら選別
 し、洗浄します。近頃は冷凍のハタハタが使用される場合が多くなっています。ハタ
 ハタのほかにはコウナゴ、イワシ、コアミ(アミ類)などが使用されています。

2.食塩添加・混合
 原料となる魚介類に対して、30〜40%の食塩を直接まぶしながらよく混合します。
 食塩が均一に混ざらない場合、食塩濃度のばらつきができて、濃度の低い部分では

 腐敗が起こる場合があります。また、ハタハタなど原料となる魚が小型のものはその
 まま食塩と混合しますが、大きい魚は適当な大きさに切って食塩と混合します。

3.漬込・熟成
 常温で1年以上漬け込みを行い、自己消化酵素で分解されるのを待ちます。昆虫など
 異物が入らないようにする必要があります。漬け込み容器の容量は製造所ごとに異な
 ります。

4.撹拌
 熟成期間に定期的に撹拌を行います。これにより漬け込み中に生じやすい塩分濃度
 のばらつきをなくし、特に塩分の低い部分の腐敗を抑えることができます。また、均一
 で一定の製品を製造するためにも重要な作業です。

5.熟成終了
 熟成は1〜2年で終了します。常温のため温度制御は行わないので、製造する年によ
 り多少の違いが発生します。窒素量などを分析して終了時期を管理することが望まれ
 ます。

6.煮沸
 煮沸前に骨など分解されていない物を取り除き、沸騰まで加熱し10分程度煮沸しま
 す。この工程で油脂の分離と分解されたタンパク質等の凝集があり、後のろ過工程
 を容易にするとともに自己消化酵素の活性がなくなり、殺菌の効果がでます。

7.油脂除去
 煮沸した原料液を冷却し、浮いた油脂分を除去します。除去が不完全ですと、次のろ
 過工程での目詰まりの原因となります。

8.ろ過
 ろ過工程は、清澄なしょっつるを製造するために必要かつ重要な工程です。かつては
 海砂など使用してろ過していましたが、濾布やろ過器が使われるようになり、ケイ藻土
 などがろ過助剤として使われます。

9.びん詰
 ろ過したしょっつるは、通常、びん詰されます。びん詰前にしょっつるを60℃以上に加
 熱し、そのまま冷却せず充填します。びんも加熱殺菌しておくことが必要です。これに
 よって耐塩性菌の殺菌効果がでます。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/syottsuru/index.htm#02

○新製造法

 自己消化酵素の活性を補うため、分解酵素であるプロテアーゼ製剤を添加する方法も行 われています。これにより、旨味が増強されるなどの効果があります。

 →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/syottsuru/index.htm#03

○製品の形態・包装等

 びん詰が主流ですが、ペットボトルのものもあります。

○食べ方

 しょっつる鍋だけでなく、うどん、ラーメンのスープの材料にも適しています。新たな用 途への拡大が期待されます。


 いかがでしたか。意外と知らないことがたくさんあったのではないでしょうか。

  これらは、「全国水産加工品総覧」 編集委員会編 監修 福田裕 山澤正勝
  岡崎惠美子 A5判、638頁、¥7,500(本体)+税 発行所(株)光琳を参考に
  記述致しました。

 この本は水産総合研究センターが主催する水産利用関係試験研究推進会議におい て刊行することが合意され、都道府県の試験研究機関関係者など約150名もの専門 家により執筆されたものです。
 さらに詳しく知りたいなど、ご興味がある方は、この本を是非ご覧になって下さい。

  詳しくはこちらから
  →  http://www.korinbook.com/main/book/zenkokusuisan.html


【ローカル便り】

◆一般公開を開催しました(中央水産研究所横須賀庁舎)

 中央水産研究所横須賀庁舎は、7月18日(土)に一般公開を開催しました。当日はあいに く曇り空でしたが、355名の来場がありました。

   詳しくはこちらから
   →  http://nrifs.fra.affrc.go.jp/event/koukai/h21yokosuka/photo/index.html

◆一般公開を開催しました(瀬戸内海区水産研究所)

 瀬戸内海区水産研究所は、7月18日(土)に一般公開を開催しました。当日は天候にも恵 まれ、715名と昨年を大きく上回る方々の来場がありました。

   詳しくはこちらから
   →  http://feis.fra.affrc.go.jp/event/h21koukai/h21houkoku/h21koukai-houkoku.html

◆オニオコゼの移動回遊調査を開始しました

 瀬戸内海区水産研究所は、7月14日に放流した稚魚の移動範囲を探ることを目的として、 広島県尾道市周辺海域にダート型標識と呼ばれる黄色もしくはピンク色のプラスチック製 マークを取り付けたオニオコゼを放流しました。

 標識のついたオニオコゼを見つけられましたら、研究所の方へご連絡下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://feis.fra.affrc.go.jp/topics/090722/090722topics.html

◆世界記録を更新!ーズワイガニの稚ガニ、生産尾数3万尾を突破しました−

 小浜栽培漁業センターは、ズワイガニ種苗生産の技術開発の成果の積み重ねによって、 昨年度の1.8万尾を大幅に上回る約3万尾の稚ガニの量産に成功しました。

   詳しくはこちらから
   →  http://ncse.fra.affrc.go.jp/00kenkyu/001topics/060topics_149.html

【お知らせ】

◆横浜みなと博物館で「夏休み展示」を開催します

 センターは、8月11日(火)から8月23日(日)までの13日間、横浜みなと博物館(旧:横浜 マリタイムミュージアム)1階展示室で、夏休みの小中学生を対象に「地球にやさしい最 先端のエコ漁船と漁業」を展示します。

 横浜みなとみらい地区にお出かけの際は、是非お立ち寄り下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr21/210730/

◆シンポジウム「海洋ゲノム情報を活用した革新的食料生産技術の開発」を開催します

 8月18日(火)に発明会館(東京都港区)で水産ゲノムに関するシンポジウム「海洋ゲノム 情報を活用した革新的食料生産技術の開発」を開催します。

 参加は無料ですが、事前に申込みが必要となりますのであらかじめご了承下さい。

  詳しくはこちらから
  →  http://www.fra.affrc.go.jp/topics/210724/

◆東北区水産研究所で一般公開を開催します

 東北区水産研究所は、8月29日(土)に研究の内容や成果を多くの皆様に知っていただく ため、研究所の一般公開を開催します。

 入場は無料となっていますので、お近くにお越しの際は、是非立ち寄り下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://tnfri.fra.affrc.go.jp/event/h21/20090829openhouse.html

◆養殖研究所で一般公開を開催します

 養殖研究所は、8月29日(土)に研究の内容や成果を多くの皆様に知っていただくため、 研究所の一般公開を開催します。
 また、今年は養殖研究所発足30周年ということもあり、翌8月30日(日)に記念講演会を 開催いたします。

 入場は無料となっていますので、お近くにお越しの際は、是非立ち寄り下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://nria.fra.affrc.go.jp/event/koukai09/koukai09.html

◆中国四国農政局「消費者の部屋」へ出展します

 瀬戸内海区水産研究所は、8月17日(月)から9月4日(金)までの19日間、中国四国農政局 「消費者の部屋」で「健康な海を目指して−海と有害化学物質−」として展示し、海と有 害化学物質の関係等の紹介を行います。

 お近くにお越しの際は、是非お立ち寄り下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://feis.fra.affrc.go.jp/topics/090729/h21syouhisya.pdf

◆おさかなセミナーくしろ2009を開催します

 北海道区水産研究所は、8月30日(日)に釧路市生涯学習センターで「おさかなセミナー くしろ2009“北の海のけものたち”」を開催します。
 セミナーでは、釧路川の住人でしたクーちゃんでおなじみのラッコや、アザラシ、トド 、オットセイの生態などについて、最新の研究成果をもとにわかりやすく紹介します。

 入場は無料となっていますので、お気軽にお越し下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://hnf.fra.affrc.go.jp/H-jouhou/osakana/kemono.htm

◆教養講座「海からのメッセージ」を開催します

 西海区水産研究所と長崎海洋気象台は、9月6日(日)に長崎市立図書館多目的ホールで教 養講座「海からのメッセージ」を開催します。
 身近な海をもっと知っていただくために、海の生き物や海の様子について専門家がわか りやすくお話しします。

 入場は無料となっていますので、お気軽にお越し下さい。

   詳しくはこちらから
   →  http://snf.fra.affrc.go.jp/event/event21_01/event21_01.html


【プレスリリース報告】

◆大型クラゲに関する情報について

 大型クラゲの出現動向については、引き続き調査を行うとともに迅速に情報提供を行っ ていきます。

   詳しくはこちらから
   →  http://www.fra.affrc.go.jp/kurage/

◆サケの資源変動に関する検討について
    〜減少要因と今後の対応策の中間報告をとりまとめ〜

 平成20年秋のサケ来遊数の減少要因と今後の対応策について、サケの放流状況や放流後 の海洋環境等の分析を行い、関係機関と連携しながら検討し、その結果を中間報告として とりまとめ、8月4日に開催した「さけます関係研究開発等推進特別部会」において報告し ました。

   詳しくはこちらから
   →  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr21/2108041/

◆平成21年度北西太平洋サンマ長期漁海況予報について

   詳しくはこちらから
   →  http://abchan.fra.go.jp/gk21/20090804.pdf

◆平成21年度第1回太平洋イワシ・アジ・サバ等長期漁海況予報について

   詳しくはこちらから
   →  http://abchan.fra.go.jp/gk21/20090729.pdf

◆平成21年度第2回日本海スルメイカ長期漁況予報について

   詳しくはこちらから
   →  http://abchan.fra.go.jp/gk21/20090722.pdf

◆平成21年度第1回太平洋スルメイカ長期漁況予報について

   詳しくはこちらから
   →  http://abchan.fra.go.jp/gk21/20090717.pdf


【編集後記】

 本日8月12日は、豆腐の日です。

 1993年に日本豆腐協会が豆腐の消費拡大のため、「10」(トー)と「2」(フ)の語呂を合 わせて毎月12日と10月2日を「豆腐の日」に制定しました。

 この時期は、やっぱり冷や奴で一杯?!ですかね。



【配信手続き】

 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。

  配信解除、配信先変更等
  →  http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html

  ご意見・ご感想等  →  www@fra.affrc.go.jp
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