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        おさかな通信 (水研センターメールマガジン)
 
          第 8 号     平成17年5月11日                      
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 ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?
 帰省された方、行楽に出掛けた方、はたまた海外旅行へ行かれた方まで
いらっしゃると思います。それどころじゃないよ!とお仕事に励んでおら
れた方、お疲れ様です。
 空気がすがすがしくなった5月、気分も新たに、仕事に勉強に励みまし
ょう!
 
 
 
【目次】
 
 ◆シリーズ        「世界の海から」のテーマでの最終回です
 ◆調査船運航状況     若鷹丸のご紹介
 ◆お知らせ          おさかな瓦版刊行案内ほか
 ◆ローカル便り      各部・各研究所等より
 ◆プレスリリース報告   4月20日リリース   
 ◆編集後記        担当者のひとりごと
 ◆配信手続き       配信停止・配信先変更等
 
 
 
【シリーズ】
 
世界の海から
  ・・日本人の食卓には世界のさかながいっぱい!・・
 
 前号でお話しした、ニシシマガツオのうきはえなわ効率を漁具の水平距
離あたりで計算してみましょう。
 好漁時6,000尾のニシシマガツオが、水平距離11キロのはえなわ
に漁獲される訳ですから、100mあたりでは、6,000尾÷110=
55尾の漁獲です。ちなみに漁具水平距離100mにある釣針は7,000
針÷110=64針です。以上から、かなり効率的な漁獲が行われている
ことがわかります。スペイン、ポルトガルの漁師達は狭い船上で大忙しだ
ったでしょう。
 
 北太平洋のシマガツオの資源開発は、海洋水産資源開発センター(現水
研センター開発調査部)によって1978年に始められました。
 シマガツオを漁獲する方法として、当時は公海(200海里漁業水域よ
りも外側の海)での操業が可能であった表層流し網漁業(表面から深さ約
10mまで、目合160mm程度の網をカーテンのように敷設し、網にか
かったさかなを獲る。北洋でさけ・ますを獲るために日本が採用した漁法)
が選択されました。 
 調査は1983年まで行われ、夏季に好漁が得られました。1980年
の調査では247トンのシマガツオが漁獲され、6月20日には北緯40゜、
東経168゜の公海域で1操業当たり最大漁獲(16.1トン:
12,300尾)が記録されました。
 
 このときの漁具の効率を、同じように比較してみましょう。
 この日、表層流し網は755反が使用され、1反あたりの浮子綱(あば
づなと読みます)長さ31.9mから、漁具の総延長は約24キロと計算
されます。
 従って、100mあたりでは12,300尾÷240=51尾が漁獲さ
れたことになります。
 
 シマガツオの調査海域を見る
  → http://jamarc.fra.affrc.go.jp/kaigyo/simaga.htm
 
 なお、1984年からは南太平洋で表層流し網およびひき縄等によりニ
シシマガツオの資源開発が行われましたが、北太平洋と比べ不漁なため
1990年に終了しました。
 
 上記のように2タイプの漁具の効率を比較したことについては、両者の
漁具の深さが異なり、また釣りと網での漁獲の方法も違いますので、単純
に比較できないかも知れません。
 
 しかし、
 1. スペインのはえなわ漁業は約500mという操業水深からもわかる
   ように、この水深付近の海域に集積したニシシマガツオを狙って好
   漁となったと考えられます(日本でも冬季に伊豆付近で大量に獲れ、
   ゲームフィッシュの対象となっています)。
    従って、公海域ではえなわで同様の漁獲をあげることは難しいの
   では?と推定します。しかし、小型のはえなわ漁船により、表層流
   し網に匹敵する効率的操業がなされていたことは貴重な知見です。
 
 2. 一方、北太平洋での好漁は公海域の潮目(温かい海水と冷たい海水
   が接する境)で得られています。潮目に魚群集積があるとの経験則
   から漁場を選定し、この好漁を得たのです。公海域でシマガツオを
   効率的に漁獲できた事実は記憶されるべきとしても、1992年か
   ら大規模な公海流し網漁業は国連決議により禁止されています。
 
 このような事情から、当センターではより効率的な漁獲を目指して、
2004年からシマガツオを表・中層トロール(巨大な百合の花のような
網を船尾から2本のワイヤーで引っ張る)で漁獲する試みを開始しました。
 中層トロール網の製作および操業技術を磨きながら、調査航海が続いて
います。
 
 以上、シマガツオとニシシマガツオの資源開発の歴史を約100年にわ
たりみてきました。
 世界の漁業生産を拡大するためには、現在、低利用の公海域の中・小型
浮魚資源の開発が鍵になるといわれています。シマガツオとニシシマガツ
オは、その有力候補といえます。見方を変えるとこの2種の効率的な漁獲
方法が確立できれば、人類は海洋からのたん白源を得る大きな安心キップ
を手にいれることができるでしょう。
 その時、世界の公海域から供給されるシマガツオとニシシマガツオは、
日本のみならず、世界の食卓に並ぶかもしれません。その方法を捜して調
査船は今日も遙かな海にいます。
                     (前 水産情報展示室長)
 
 
 
【調査船運航状況】
 
 ◆ 若鷹丸(東北区水産研究所)は、5月10日から29日まで、北海
  道道東及び三陸沖の混合・親潮海域において、マイクロネクトン(小
  型遊泳動物:海中の動物プランクトンを餌として食べ、マグロなどの
  大型魚類や海産哺乳類の餌となる、食物連鎖の重要な役割を果たして
  います)や、海水中の栄養塩、溶存酸素など海洋環境調査を目的とし
  て航海を行っています。
 
  若鷹丸の詳細 
    → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/wakataka/index.htm
 
 
 
【お知らせ】
 
 ◆「おさかな瓦版」第4号を刊行しました
 
  このたび、当センターのニューズレター「おさかな瓦版」第4号を刊
 行しました。
  創刊号からのシリーズ「亀の不思議」や、タイやブリのお話しからイ
 ルカやクジラなどの生態調査のお話し、おさかなクイズやおさかな一口
 メモなどのおさかなに関する豆知識まで掲載しています。
  ニューズレターは隔月号で、次号は6月10日発行予定です。お楽し
 みに!
  
  第4号はこちら
    → http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/letter/no4.pdf
 
 
 
【ローカル便り】
 
 ◆「大型クラゲ」で中国との共同研究−研究交流集会を開催(中央水研)
 
  「中国沿岸におけるエチゼンクラゲの生態学的調査研究」というテー
 マで、平成16年度より中国との国際共同研究を行っています。
  その一環として、2月27日から3月6日までの日程で、中国から2
 名の研究者を招聘し、横浜と新潟で大型クラゲ類に関する研究交流集会
 を開催しました。日本側(水研センター、広島大学、新江ノ島水族館、
 加茂水族館等)からの講演もあり、横浜では約70名、新潟では約30
 名の参加がありました。
 
  今後も共同研究を進展させ、中国での大型クラゲ発生状況や日本への
 来遊に関係する環境要因についての情報を収集し、日本国内で実施中の
 プロジェクト研究「大型クラゲの大量出現予測、漁業被害防除及び有効
 利用技術の開発」と併せて、大型クラゲ来遊機構の解明と予測に役立て
 て行きます。
 
 
 ◆Web版「中央水研ニュース」を公開(中央水研)
 
  中央水産研究所では、印刷物としての「中央水研ニュース」を第34
 号で廃刊とし、第35号(平成17年3月発行)からは装いも新たにし
 てWebで配信することとしました。
  年6回の配信を目指し、よりホットな研究情報の提供に心がけます。
  「中央水研ニュース」のURLはhttp://nrifs.fra.affrc.go.jp/news.html
 ですが、Web版の最近号は以下のURLからご覧下さい。
 
  No.35 http://nrifs.fra.affrc.go.jp/news/news35/
  No.36 http://nrifs.fra.affrc.go.jp/news/news36/
 
 
 ◆東北水研ニュース第68号刊行(東北水研)
 
  このたび、当センター東北区水産研究所より「東北水研ニュース」
 第68号が刊行されました。
  東北水研の平成16年4月〜12月までの活動状況、最新研究情報、
 水族館との連携協力などについてご案内しております。
  是非ご覧ください。
 
  第68号はこちら → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/tnf/news68/index.htm
 
 
 ◆平成17年度第1回東北海区海況情報を掲載(東北水研)
 
  東北水研では、2ヶ月毎の定期的に東北海区の海況(親潮・黒潮につ
 いての、水温・海流などを総合した海洋の状況)今後の見通し、経過、
 現況を東北海区海況情報としてお知らせしております。
  このたび、平成17年度第1回といたしまして、平成17年4月〜6
 月の見通しなどのご紹介をしております。
 
  詳細はこちら 
    → http://tnfri.fra.affrc.go.jp/kaiyo/kaiyoubu/predict/index-j.html
 
 
 
【プレスリリース報告】
 
 ◆アユの生態、遡上量予測技術および冷水病の実用的ワクチン開発に関
  する研究課題の実施が決定   4月20日リリース
 
   アユといえば、日本全国のほぼ全域の河川に生息し、太公望達にも
  愛されている内水面漁業の最重要魚種です。
   しかし、ここ数年は海から遡上する稚魚量の減少や、冷水病と呼ば
  れる細菌性の病気のまん延により1991年をピークに減少の一途を
  たどっており、内水面漁協の経営や地域産業に深刻な影響を与えてお
  ります。そこで水産総合研究センター(担当:中央水産研究所及び養
  殖研究所)では、本年度から平成19年度までの3か年間で「沿岸域
  におけるアユの生態特性の解明と遡上量予測技術の開発」および「ア
  ユ冷水病の実用的ワクチン開発」の2つのプロジェクト研究に着手す
  ることになりました。
 
   詳細はこちら 
    → http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr17/170420/ayu1.htm
 
   本件につきましては、日経ネットプレスリリースにも紹介されまし
  た。
 
 
 
【編集後記】
 
 今日は5月11日。 「長良川鵜飼い開きの日」だそうです。
 
 なんと約1300年の歴史があるそうです。野生の海鵜を3年程度飼い
慣らし、伝統装束を身にまとった鵜匠が見事な手綱さばきで鵜を操りなが
らアユを捕らえます。
 そのアユですが、最近は日本全国で数がどんどん減っており、有効な対
策が望まれているところです。当センターを始めとする全国の研究者達の
英知を結集し解決していきたいと思います。
 将来の子供達にも、1300年間続いた歴史を引き継いでいきたいです
ね。
 
 
 
【配信手続き】
 
 配信停止、配信先変更等は下記URLにて手続き願います。
 また、ご意見・ご感想等も、どしどしお寄せください。
  
  配信解除、配信先変更等 
    → http://www.fra.affrc.go.jp/mail/index.html
 
  ご意見・ご感想等  → www@fra.affrc.go.jp
 
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編集・刊行・配信:
  独立行政法人 水産総合研究センター
    総合企画部 広報課 
  〒220−6115 
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