プレスリリース
独立行政法人水産総合研究センター
[要 旨]
平成13年度行政対応特別研究「有明海の海洋環境の変化が生物生産に及ぼす影響の解明」の一環として、10月1日~3日に独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所は、漁業調査船「陽光丸」による有明海漁場環境調査を実施する。
この調査は、有明海における水温、塩分、クロロフィル、溶存酸素、懸濁物等の漁場環境の潮汐及び季節に伴う変化を詳細に把握するための計3回(7月実施、10月、1月実施予定)の同様の調査の第2回目として行われる(別紙)。
独立行政法人 水産総合研究センター
研究担当 西海区水産研究所 企画連絡室 酒井保次、皆川 恵 TEL:095-822-8158
広報担当 研究推進部 研究情報科 広報官 梅澤かがり TEL:045-788-7529
別紙
1.調査の背景・目的
①これまでの調査で比較的手薄であった有明海の長軸に沿った中央水域(図1、SA1~SA8)の漁場環境(水温、塩分、クロロフィル、溶存酸素等)を詳細に把握し、データの充実を図る。
②漁場環境の潮汐に伴う変動の幅を季節毎に確認するため、定点(図1、G0~G7)で漁場環境の連続観測を実施する。この調査によりこれまで得られている漁場環境データをより正確に比較することやデータの充実を図ることが可能となる。
2.調査計画
調査日時:平成13年10月1日~3日
調査海域:有明海湾口から湾奥部にかけての16点(図1、SA1~SA8、G0~G7)
調 査 船:独立行政法人水産総合研究センター
西海区水産研究所漁業調査船「陽光丸」(499トン)
調 査 員:独立行政法人水産総合研究センター
西海区水産研究所 研究員3名
調査内容:1)気象、海象(気温、風向、風力、気圧、波浪)
2)漁場環境(水温、塩分、濁度、クロロフィル、溶存酸素等)
3)プランクトン調査(口径45cm、網目幅100μmのプランクトンネットで 動物プランクトンを採集し、種組成等を分析する)
漁場環境については全観測項目ともCTDを用いて、表層から底層まで0.5~1m毎に鉛直的に連続測定を行う。調査点SA1~SA8では各地点1回ずつ漁場環境を観測するとともに、プランクトン調査を実施する。また、調査点G0~G7では潮汐による日周変動を把握するため、各点3時間毎に計5回漁場環境を反復観測する。さらに、調査点G2では、基礎生産量(光合成により生産された炭素の量)を測定する。
3.得られたデータの活用
得られた漁場環境データは今年観測されている他の調査データとともに、昨年あるいは平年のデータと比較し、今年の漁場環境の特徴を季節毎に把握するために利用される。また、反復観測された漁場環境データにより、有明海の漁場環境のより正確な把握が可能となる。
[用語の解説]
CTD:
海洋観測に通常よく使用されている調査機器で、塩分、水温、水深を同時に測定することができる。なお、今回使用するCTDには濁度、クロロフィル、溶存酸素を測定する機能がついている。
図1 調査地点
SA1~SA8:表層から底層まで0.5~1mごとに各点1回ずつ漁場環境を観測する地点
G0~G7:各点3時間毎に表層から底層まで漁場環境を計5回観測する地点