プレスリリース

平成14年3月15日
独立行政法人水産総合研究センター
マダイイリドウイルス全遺伝暗号を解読
-安価な遺伝子組換えワクチン・効果の高いDNAワクチンの開発に期待-


〔要旨〕
 マダイイリドウイルスは,多くの海産魚類に被害を与えている。予防対策として,ホルマリンによってマダイイリドウイルスを不活性化させた「ホルマリン不活化ワクチン」が普及しつつあるが,製造コストがかかるため安価なワクチン開発が望まれている。
 そこで,安価で効率のよいワクチンを開発する手法として,ワクチンとして有効な特定の抗原タンパク質(感染防御抗原)のみを含む「サブユニットワクチン」開発のために,基礎情報としてのDNA塩基配列決定の研究を開始した。
 養殖研究所病理部ウイルス研究室では,10万対塩基以上と予想される大きなDNAをゲノムに持つマダイイリドウイルスの遺伝子解析を進め,平成11年全塩基配列を決定し,翌年全ての遺伝子の中からワクチンの有効な成分となる感染防御抗原と推定されるタンパク質の遺伝子を探索し,これらを同定する事に成功した。
 大きなゲノムを持つ魚類病原ウイルスの全塩基配列の決定は世界でも過去に2例しかなく,わが国では初めてのことである。
 今後,この感染防御抗原の遺伝子を用いて,遺伝子組換え技術により安価で有効なサブユニットワクチンの開発が期待される。


本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
本部 研究推進部 研究情報科 広報官 梅澤かがり TEL:045-788-7529
養殖研究所 企画連絡室長 反町 稔
        病理部長 井上 潔
        ウイルス研究室 主任研究官 栗田 潤 TEL:0599-66-1830

研究内容の説明