プレスリリース
平成14年7月3日
独立行政法人水産総合研究センター
独立行政法人水産総合研究センター
有明海の漁場環境調査の実施について
[要 旨]
平成14年度行政対応特別研究「有明海の海洋環境の変化が生物生産に及ぼす影響の解明」の一環として、7月6日~13日に独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所は、同研究所所属の漁業調査船「陽光丸」、瀬戸内海区水産研究所所属「しらふじ丸」等による有明海漁場環境調査を実施する(別紙)。
なお、7月9日には西海区水産研究所並びに有明4県(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県)が、共同で漁場環境調査を実施する。
本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
研究推進部 業務企画課 広報官 梅澤かがり TEL:045-788-7529
西海区水産研究所 企画連絡室長 芦田勝朗 TEL:095-822-8158
独立行政法人 水産総合研究センター
研究推進部 業務企画課 広報官 梅澤かがり TEL:045-788-7529
西海区水産研究所 企画連絡室長 芦田勝朗 TEL:095-822-8158
別紙
調査日時:平成14年7月6日~13日
「陽光丸」 7月8日~13日
「しらふじ丸」 7月6日~12日
共同調査 7月9日
調査海域:有明海湾口から湾奥部(図1~5)
調査機関:独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所
西海区水産研究所漁業調査船「陽光丸」(499トン)
瀬戸内海区水産研究所漁業調査船「しらふじ丸」(138トン)及び用船
福岡県水産海洋技術センター有明海研究所
佐賀県有明水産振興センター
長崎県総合水産試験場
熊本県水産研究センター
2.調査の目的・内容
(1)漁場環境調査
①広域観測調査(「陽光丸」)
有明海の長軸に沿った中央水域(図1青丸印)及び湾奥部(図1赤丸、橙丸印)の漁場環境(水温、塩分、濁度、クロロフィル、溶存酸素等)を詳細に把握する。このため、各地点1回ずつCTD(用語の解説参照)を用いて、表層から底層まで0.5~1mごとに鉛直的に連続観測を行う。
②日周変動調査(「陽光丸」、「しらふじ丸」) 漁場環境の日周変動を把握するため、定点(図2)で調査船を定置して漁場環境(水温、塩分、濁度、クロロフィル、溶存酸素等)を1時間ごとに25時間観測する。
③潮汐による変動調査(4県との共同調査)
有明海湾奥部で漁場環境の潮汐による変動を把握するため、有明4県(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県)と共同して、各点で3時間ごとに計5回水温、塩分、溶存酸素を反復観測する(図3)。
④底質環境調査(「しらふじ丸」)
底質環境の変化を把握するため、湾奥部を中心とした定点(図4)で採泥し、粒度組成等の底質を調査する。
(2)プランクトン調査(「陽光丸」)
有明海の生産力を評価するための基礎資料となる、植物プランクトンの光合成活性及び基礎生産量を、湾奥西部(図5)において現場法(用語の解説参照)により測定する。
なお、気象、海象観測(気温、風向、風力、気圧、波浪)をすべての調査で実施する。
3.得られたデータの活用
一連の漁場環境調査により得られたデータは、昨年あるいは平年のデータと比較し、今年の漁場環境の特徴を広域的に解明するために活用される。また、溶存酸素などの漁場環境の日周変動や潮汐に伴う変動が詳細に解明されることが期待される。さらに、基礎生産量及び光合成活性データは、栄養塩をめぐってノリと競合関係にある植物プランクトンの栄養塩摂取能力を評価する際の基礎資料として活用される。
〔用語の解説〕
CTD:
海洋観測に通常使用される調査機器で、塩分、水温、水深を同時に測定することができる。なお、今回使用するCTDには、濁度、クロロフィル、溶存酸素を測定する機能が付いている。
現場法:
光が到達している層から採取した海水に標識された炭素(13C)を加え、透明な瓶に封入して採取した層に1昼夜吊し、その間に植物プランクトン等により固定された標識炭素の量から固定された全炭素量(基礎生産量)を算出する分析手法。
調査地点