プレスリリース
独立行政法人水産総合研究センター
第33回日米合同会議の開催について
[要旨]
天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)水産増養殖専門部会は,11月2日から5日間の日程で第33回日米合同会議を独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所(長崎市)において開催します。
米国から専門家15名の参加者を迎え,事務会議,シンポジウムなど関連行事を行います。
開催日時および場所:
事務会議 平成16年11月2日 (西海区水産研究所)
シンポジウム* 平成16年11月2日13時~3日17時 ( 〃 )
※ シンポジウムへの一般の参加は可能ですが,事前の登録が必要です。また,発表及び討議はすべて英語で行われます。
独立行政法人 水産総合研究センター
総合企画室 広報課 広報官 飯田 遥 TEL:045-227-2624
養殖研究所 企画連絡室長 秋山敏男・企画連絡科長 小西光一 TEL:0599-66-1830(代)
養殖研究所 生産技術部長 横山雅仁 TEL:0599-66-1830(代)
・シンポジウムのお知らせポスター
〔説 明〕
(1)趣旨:
「天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)」は昭和39年に日米両国の合意に基づき設置され,資源・エネルギー,食料,環境等の諸問題の解決を目的として活動しています。水産増養殖専門部会は,水産増養殖分野における日米の重点研究事項について幅広く最新の情報交換・研究協力を行うことにより,相互の研究水準の向上を図るため,(独)水産総合研究センター養殖研究所に日本側事務局を置き,両国において交互に合同会議を開催してまいりました。
本年は,我が国が合同会議の開催担当となり,(独)水産総合研究センター西海区水産研究所(長崎市)において事務会議およびシンポジウムを開催します。
事務会議では,両国間における研究交流,研究情報の交換,共同研究のあり方などについて協議する予定です。
シンポジウムでは「増養殖漁場の生態系と環境収容力-持続的増養殖漁業の構築に向けて-」と題して,増養殖漁場における漁業生産活動の持続的発展と行政施策立案に対する科学的根拠の提供のため,増養殖漁場の環境と生態系に関する研究の方向性・展望について日米の研究者による討議を行います。
また,付随して九州西岸域において現地検討会を行い,浅海域における増養殖漁業の現状について意見交換を行います。
(2)主催:独立行政法人水産総合研究センター
米国商務省海洋大気局(USDC NOAA)
〔解 説〕
UJNR
天然資源の開発利用に関する日米会議(US-Japan Conference on Development and Utilization of Natural Resources 略称UJNR)は,1964年1月の第3回日米貿易経済合同委員会での合意に基づいて設置された。現在,UJNRの下には17の専門部会が設けられ,それぞれの分野において行政ニーズに応じた活発な協力が行われている。
水産増養殖専門部会
本部会は水産増養殖分野における日米の重点研究事項について,幅広く最新の情報を交換し,また,研究協力を行うことにより,相互の研究水準の向上を図ることを目的として設置された専門部会である。(独)水産総合研究センター養殖研究所に日本側事務局を,米国商務省海洋大気局(NOAA)に米国側事務局を設け,水産増養殖分野における共同研究,研究協力および,日米研究者交流の企画・支援,情報・文献の交換などを行っている。
日本側代表(日本側部会長):独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所長 酒井 保次
米国側代表(米国側部会長):シーグラント大学プログラム水産増養殖責任者 James McVey(ジェームス マクベイ)
UJNR水産増養殖専門部会の活動は,水産施策に関わる問題に関して,1)米国と分担して研究が可能な分野,2)日米双方の研究を連携することにより一層効率的に解決が図られる分野等の探索に重点が置かれている。また,問題の解決に必要となる基礎的技術や応用技術に関して,3)その骨格となる技術の効果と限界,および4)今後,問題解決のために必要となる技術の開発に向けた研究の展望について双方が論議し,研究や行政方策の推進方針に貢献できるようシンポジウムなどが企画されている。
また両国間で,連携のネットワークが構築されており,下記の事例のような突発的な事態に速やかに対処することができる体制となっている。
行政施策に貢献した事例
(1)平成9年ナホトカ号の重油流出事故に際し,水産庁が対応のため必要とした原油汚染の実例と処理対策に関する文献収集がUJNRを介してなされた。
(2)OIE(Office International des Epizooties, 国際獣疫事務局)の国際動物衛生規範で問題となっていたカキの疾病について,行政からの要請に応えるため,UJNRを通じて専門家の派遣を照会し,平成13年3月に日本側専門家を派遣して貝類の疾病診断技術を習得した。これにより,日本国内で原虫を確認しOIEに登録した。
(3)平成15年我が国におけるコイヘルペス(KHV)病の大発生に際し,UJNRの枠組みを通じ,本疾病の権威であるカリフォルニア大学デービス校Hedrick教授にその診断方法の研修を依頼した。養殖研究所の担当者が同教授を訪問し,研修を受けるとともに,KHV株,KHV培養のための株化細胞(KF-1)を供与された。これによりコイヘルペス病の確定診断をはじめ,同病の拡大防止に大きく寄与した。
水産物の流通が国際的になり,また,水産生物に関わる研究がバイオテクノロジーの発達に伴い急激に進展する一方,コイヘルペス病の流行など我が国だけでは対処しえない問題が多発する中,国際的な連携協力の重要性が増大しており,UJNR水産増養殖専門部会の活動が果たす役割も大きなものとなっている。このため,部会活動を今後とも継続・強化することが日米双方の共通の認識となっている。
日米合同会議
水産増養殖専門部会では,開催地が日米交互となるよう適地を選定し,毎年日米合同会議を開催している。近年,合同会議は,事務会議,シンポジウム,現地検討会などのイベントで構成されている。
日本側からは(独)水産総合研究センター職員が,米国側からは商務省海洋大気局職員がパネルメンバーとして事務会議が開催され,部会の運営に関わる日米間での協議が行われる。
また,シンポジウムは両国共通のテーマに関しての5ヵ年計画に基づき開催され(本年は第6次5ヵ年計画の3年目にあたる),シンポジウムの成果はシンポジウム・プロシーディングとして刊行されている。シンポジウム等への参加者は,他の独立行政法人,大学,都道府県試験研究機関,および民間からの参加も募っている。
本年度は我が国が開催担当となっており,第33回の日米合同会議が(独)水産総合研究センター西海区水産研究所(長崎市)を会場として開催される。本年度のシンポジウムのテーマは「増養殖漁場の生態系と環境収容力-持続的増養殖漁業の構築に向けて-」であり,増養殖漁場における漁業生産活動の持続的発展と行政施策立案に対する科学的根拠の提供のため,増養殖漁場の環境と生態系に関する研究の方向性・展望について日米の研究者によって討議される。
また,付随して九州西岸域において現地検討会を行い,浅海域における増養殖漁業の現状について意見交換を行う。