プレスリリース

平成16年12月8日
希少野生生物種タイマイ救出のための連携作戦を開始します
(資料)

〔経緯と対処〕
 水産総合研究センター八重山栽培漁業センターに下関水族館から連絡があり,緊急保護しているタイマイを元気な状態にして海へ帰してもらいたいとの依頼があった。
 タイマイは熱帯および亜熱帯域に棲息しており、今回は黒潮をはずれて対馬暖流に迷い込んだものと推察される。山口県で放流すると水温の低い日本海に漂着して死亡する恐れもあり、水産総合研究センターとしては、希少水生生物の保護の観点と本種の増養殖技術開発及び放流手法の開発に取り組んでいることから、全面的に協力することとした。

1 タイマイの捕獲状況
 (1)平成16年11月21日に山口県豊浦町の漁業者の建網(小型の定置網)にタイマイが入網し,漁業者により保護された。
 (2)漁業者が豊浦町役場および山口県漁政課と相談した結果,下関水族館で緊急保護することとなった。
 (3)タイマイの大きさは5.4㎏で,2~3歳と推定され,標識はなかった。
 (4)山口県漁政課の担当者が希少生物に指定されているタイマイの捕獲後の取扱に関して水産庁と環境省へ相談した。その結果、タイマイの捕獲や受渡しには,環境省の希少野生動植物種譲渡し等許可及び希少野生動植物種譲受け等許可申が必要とのことであった。

2 下関水族館からの依頼内容
 水族館では,このタイマイを展示する見込みがないので,放流したい。しかし,周辺海域の水温が低く,放流しても生存できない可能性がある。このため,タイマイの親養成および放流技術の開発を行っている八重山栽培漁業センターに引き取ってもらい,自然条件下で生きてゆけるような体力を回復するまで養生させてもらい、その後にタイマイの棲息域である石垣島周辺海域で放流してもらいたいとのこと。

3 当センターの対処
 (1)当センターでは絶滅の危機に瀕しているウミガメ類の長期養成技術、産卵・孵化管理技術、飼育技術及び放流技術の開発に取り組んでおり、その一環として、今回保護されているタイマイを養生させ,標識放流することとする。
 (2)このため,このタイマイを譲り受け,これまでの技術開発成果を活用して,体力を十分回復させてから,生息海域に放流する。

4 輸送計画
 (1)希少野生動植物種譲渡し等許可申請書,希少野生動植物種譲受け等許可申請書を環境省に提出。
 (2)漁業者,山口県漁政課及び下関水族館との輸送の了解及び打合わせを行う。
 (3)タイマイの譲受け(12月14日)八重山の当センター八重山栽培漁業センターに輸送。約1週間養生後,放流,地元小学生に参加要請。


参 考
 八重山栽培漁業センターでは特別採捕で得られた卵からふ化した仔ガメを1~2歳まで養成し、マイクロチップ型の内部標識とプラスチック型の外部標識を装着して放流し、放流後の移動・分散状況を調べている。現在のところ、対馬暖流に乗って日本海で再捕された事例はなく、黒潮に乗って北上し三重県の紀伊長島で約1年後に再捕されたのが1例、その他は石垣島周辺海域で再捕されている。また、海外では台湾と中国で1例ずつ再捕されており、沖縄県以北での再捕事例は少ない。
 さらに、八重山諸島の石西礁湖周辺海域で天然のタイマイを放流した事例では、ほぼ放流周辺海域で棲息しているとのことであり、八重山諸島が本種の産卵場所の北限とされている。