プレスリリース

平成17年1月19日
独立行政法人水産総合研究センター
色落ちノリから新規プレバイオティクス素材を発見


[要旨]
1.ノリは全国で年間約100億枚、金額にして1000億円程度生産されているが、近年、「色落ちノリ」と呼ばれる低品質のノリが多量に発生している。それらの収穫された量はノリ生産量の1~2%程度(干し海苔換算で1~2億枚、400~800トン程度)とされるが、収穫されないものも含めるとさらに相当量発生しているものと思われる。色落ちノリは、外見が黒みに乏しく食用に適さないため、その多くが廃棄処分となっている。この低品質ノリの有効利用は、水産業にとって重要な課題の一つである。

2.水産総合研究センター中央水産研究所と熊本県水産研究センターは共同で、色落ちノリには強いビフィズス菌増殖促進物質(プレバイオティクス)であるグリセロールガラクトシド(以下GG)が大量に含まれ、機能性食品素材として使用できることを見出し、特許を出願した。

3.プレバイオティクスは、体内の腸内細菌叢を改善し、抗アレルギー、抗腫瘍性、免疫機能強化などの健康機能が期待され、多くの食品や飲料に使用されており、市場規模は、主要な製品であるオリゴ糖で年間2万トン、約60億円であり、年々拡大している。今回発見した物質がプレバイオティクスとして応用されれば、ノリ養殖業等に大きく貢献しうると考えている。

4.水産総合研究センターにおける本研究は、農林水産技術会議事務局の委託プロジェクト研究「健全な食生活構築のための食品の機能性及び安全性に関する総合研究」の課題の一部として行われた。

5.今後は、今回発見したGGの効果を確認し、GGやGGを多量に含む色落ちノリを応用した様々な機能性食品・機能性飲料などの開発研究を官民共同で進めて行くことが重要と考えている。


本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
総合企画部 広報官 飯田 遥 TEL:045-227-2624
中央水産研究所 企画連絡室長 奥田邦明 TEL:045-788-7601
  利用加工部長 福田 裕 TEL:045-788-7662
  機能評価研究室 石原賢司 TEL:045-788-7660

別添資料