プレスリリース

平成17年10月6日
独立行政法人水産総合研究センター
大型クラゲ洋上駆除実証試験調査結果について(中間報告)


【要旨】
 水産総合研究センターは、大型クラゲ対策の一環として、9月29日から10月16日までの18日間の予定で、①表中層トロール網を用いた大型クラゲ洋上駆除試験、及び②電子標識(タグ)を装着した大型クラゲの行動調査等を、日本海において実施中です。(別紙参照)
 このうち洋上駆除試験については、10月5日までの調査の結果、今回新たに設計・製作した駆除用漁具が、大型クラゲを小片に切断するのに有効であることが確認されました。また、電子標識(タグ)についても、大型クラゲに装着することに成功しました。装着した電子標識(タグ)は、一定時間を経過した後に自動的に水面に浮上し、人工衛星を経由して、タグが浮上した位置データ等を当センターの研究所へ送信してくる手筈になっています。
 今回の調査により得られる成果は、効果的な駆除漁具の普及及び大型クラゲの来遊予報の精度向上等を通じて、大型クラゲを原因とした漁業被害の軽減に役立つことが期待されます。


本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
本部 総合企画部 広報官 皆川 惠 TEL:045-227-2624
水産工学研究所 企画連絡室長 武内智行 TEL:0479-44-5926
  漁業生産工学部長 小田健一 TEL:0479-44-5941


別  紙
大型クラゲ洋上駆除実証試験調査結果(中間報告)

1.目 的
  大型クラゲは近年我が国沿岸に頻繁に大量出現し、漁業に大きな被害を与えています。この調査では大型クラゲによる漁業被害を軽減するための技術開発の一環として、来遊する大型クラゲを洋上において駆除するための曳網の開発等を行うことを目的としています。

2.調査海域等
  (1)調査機関(担当研究所)
   独立行政法人水産総合研究センター(水産工学研究所)
  (2)調査海域
   日本海を中心とする大型クラゲ大量来遊海域
  (3)調査期間
   9月29日~10月16日

3.調査船
  第7開洋丸(499トン、1,600馬力)

4.調査内容
  (1)表中層トロール網を用いた大型クラゲ洋上駆除試験
   表中層トロ-ル網を改良し、大型クラゲを損傷できるようにした構造のコッドエンド(網の末端の魚がたまる部分)を装着します。
   この改良網によって大型クラゲを効率的に粉砕できるかどうかを調査します。
  (2)電子標識を用いた大型クラゲの行動調査
   電子標識を大型クラゲに装着して,大型クラゲの移動距離等について調査しています。
  (3)その他
   漁獲物の測定や海洋観測等を行っています。

5.調査結果の概要
(1)表中層トロール網を用いた大型クラゲ洋上駆除試験
   青森県、秋田県、石川県、福井県沖において、計7回延べ260分間、4ノット(毎時7.4㎞)で曳網を行いました。その結果、7回のうち3回で大型クラゲが入網し、これらのクラゲは今回試作した網の末端に取り付けた格子状のワイヤー(40㎝間隔、径5㎜)により、40㎝×40㎝よりも小さく切断されることが判明しました。
(2)電子標識を用いた大型クラゲの行動調査
   福井県沖において、大型クラゲ4個体に電子標識を装着しました。
   約1カ月後には人工衛星を介して電子標識に記録されたデータを回収し、この回収したデータを解析することにより、これまで不明であった大型クラゲの移動経路などの解明に役立てることが可能です。

6.成果の利活用
   今後は、今回開発した大型クラゲ用の駆除漁具を基に、水産庁、各都道府県の水産関係試験研究機関と連携しながら、それぞれの漁場現場に適した駆除漁具の開発を進めるとともに、併せてマニュアル化することにより、本駆除漁具を漁場現場へ普及していく予定です。また。電子標識を用いた大型クラゲの行動調査の結果、大型クラゲの移動距離などについての情報が得られることから、これらの情報は、活用することにより、大型クラゲの来遊予報の精度向上に役立てることができます。水産総合研究センターとしては、これらにより大型クラゲを原因とした漁業被害の軽減に寄与していきたいと考えています。

・ 別添資料