プレスリリース

平成18年9月28日
まき網漁業の効率化・経営健全化のため2つの調査を開始します-「海外まき網漁業のインド洋調査」、「完全単船式まき網漁船の実証化調査」-
(参考資料1)「海外まき網漁業のインド洋調査」

 海外まき網漁業は、カツオ、キハダを主対象に年間17~20万トン、200億円余りを水揚げする我が国遠洋漁業の基幹を成す漁業です。 しかしこの漁業を営む全船が操業する太平洋中・西部海域では、近年、カツオ・マグロ類の持続的利用を目的とした国際資源管理機関(WCPFC:中・西部太平洋マグロ類委員会)が組織され、新たな資源管理の検討が始まっています。 また、まき網漁業では、流れ物に蝟集する魚群を対象とする操業時に若齢マグロ類を漁獲することによる資源への悪影響が大きな問題となっています。 このような状況に対応し、健全な漁業経営とするため、海外まき網業界からは、かつて我が国の海外まき網漁船10隻が出漁した実績があり、現在も入域可能なインド洋海域において、周年操業できる漁場開発が切望されています。

 このことから、当センターでは、平成18年度から5カ年にわたる中期計画において、海洋水産資源開発事業の一環として、海外まき網漁業を対象にインド洋における周年操業を確立するため、対象資源の資源状況並びに分布に応じた効率的な操業パターンを探求するとともに、若齢まぐろ類の混獲を最小限にする手法について調査を行います。

 インド洋での調査では、EU等外国まき網漁船との競合を余儀なくされるため、効率的な調査を行うためには競争力のある漁船が必要です。そのため10月8日から新しく建造された「日本丸」 (744トン)を用船して、新たに調査を開始します。 本船は、海外まき網業界内で検討を進め、水産庁の「漁船漁業構造改革推進会議」に提案され、次世代型として早期に実証化の必要がある漁船像のひとつとしてとりまとめられたものです。

 投網方法は、省力化が進んだ搭載艇を用いない北欧型である「ブイライン投網方法」を採用しています。 また燃費効率の向上を図るため漁船では世界で初めてとなる「二重反転プロペラ」、実験装置としてコイルを用いない「クーラー式の保冷魚倉」、ブライン液に利用する「海水濃縮装置」、航行・操業の安全性を考慮した全方位視界のブリッジ、ILO基準に準じた居住区とベッドなど多くの機能、設備が改善されています。また若齢まぐろ類の調査に関しては、操業対象の魚群特性把握をねらいとして搭載艇に計量魚群探知機を装備しています。


<用語説明>
・ブイライン投網方法:
 ノルウェーなど北欧でアジ・サバを対象とした単船型まき網操業でさかんに行われ、レッコボートの替わりにシーアンカーを投入して投網する方法。


・二重反転プロペラ:
 2つのプロペラを反対方向に回転させることにより、プロペラの後部に発生する渦流のエネルギー損失が少なくなり推進効率を増加する効果を利用したプロペラ。
 日本丸では、前側プロペラは通常のディーゼル推進、後側は電気推進となっている。


・クーラー式の保冷魚倉:
 魚倉の断熱効果を増し、冷却コイルの代わりに冷気を天井部から床部へ循環させることにより、冷却する方式。
 積み付け率の向上とメンテナンス費用の削減が期待される。


・海水濃縮装置:
 水分を凍結させ残存する海水の塩分濃度を高めていく装置。
 魚を大量に凍結させる「ブライン液用」の飽和塩水に利用し、塩の消費量削減効果が期待される。